ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり

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七月の定期ライブは初の試み(1)

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 ぼやぼやとしていると、あっという間に七月も末。
 七月の定期ライブは平日なので、客寄せの意味も兼ねて三大大手グループが開幕を担う。
 魔王軍、勇士隊と来てから三番手。
 星光騎士団は本日巨大モニターからSBO内からリアルタイム配信という形。
 これは東雲学院芸能科にとっても初の試み。
 定期ライブは元々全国配信しているのだが、ゲーム内で行うライブを生配信するのは初めてだ。
 そして――

「どうもどうもー! eスポーツチーム『ライデン』格闘チーム所属の逢魔おうまあげはでぇーっす!」
「みんなおっはよぉー。星光騎士団団長で可愛い担当、宇月美桜うづきみおちゃんだよぉ~ん」
「星光騎士団衣装担当、後藤琥太郎ごとうこたろうでーす」
「星光騎士団ドルオタ担当、「音無淳おとなしじゅんでーす」
「星光騎士団顔面担当! 花房魁星はなぶさかいせいだぜー!」
「星光騎士団頭脳担当、狗央周くおうあまねです」
「はいはーい! 星光騎士団役者担当、柳響やなぎひびきですー! どうもーぉ」
「星光騎士団ゲーム担当、鏡音円かがねまどかです」
「本日は鏡音くんの誕生日月ということで、鏡音くんの所属しているeスポーツチームの先輩である逢魔あげはさんにゲストとして来ていただきました~。東雲学院現地物販では鏡音くんの誕生日月お祝いで鏡音くんのリクエストを受け、我々で作ったショコラケーキの販売が数量限定で行われておりますので、ライブ後ぜひご購入くださいねー」

 と、淳が手を振る。
 モニターからは凄まじい歓声。
 なんなら逢魔の方のコメント欄から『ケーキ!?』『誕生日月ってなに』『ケーキ売ってんの現地!?』『音無くんたちが作ったって言った?』『ケーキ作ったマ!?』『かがねくんお誕生日おめでとう~』『ショコラケーキリクエストかわよ』『普通に食いたい』『ケーキ食べたい』『朝から飯テロ』『手作りケーキ販売してるってことでおけ?』『可愛い』『ケーキー』『通販してませんか!?』という凄まじい流れ。
 皆さん、平日朝十時だというのに配信の視聴者数は八千人を超えている。
 くどいようだが、本日平日。
 夏休みに入ってすぐだというのに、みんな出かけないのだろうか?

「誕生日月ってなんなん? ケーキ!? なんやもう気になることいっぱい言ってはるなあ!?」
「ふふふー。星光騎士団は誕生日月のメンバーのために、リクエストに答えてケーキを作るんですよぉ。ケーキは物販で有料販売するしぃ、同じレシピで製作されたケーキが『片森洋菓子店』のオンラインショップで期間限定販売されておりま~す」
「お一人ワンホール限定、予約必須と前払い制、八月いっぱいまで販売なので、ご注意くださいねー」

 宇月と淳でカメラに手を振る。
 超絶初心者の逢魔が「え! 本当にケーキ買えるん!? すごい!」と大変にいい反応をしてくださるので、淳たちも説明のしがいがあるというもの。
 ファーストソングのステージにも、お客さんがかなり集まってきており、誕生日月のケーキのことを知らなかった層が「そんなことしてるんだ現地」「いいなー」「現地行けなくてもネット通販で買えるの!? 初めて知った!」「えー、後でネットで調べてみよ」と嬉しそうに話している。
 そう、こういう現地に来れない層や、東雲学院芸能科にまったく知識のない層の取り込みが本日の目的。
 そのためにゲームを通して逢魔をゲストに迎えてSBOのステージを予約した。

「ワイも食べてみたーい。ネットで注文したら食えるん?」
「はい。片森洋菓子店の方では一人用から四人用まで取り揃えておられますので、ネット注文の際はサイズをご指定くださいね」
「はあー、そんなんやっとるんやな~。で、円は今月誕生日やったん? おめでとうさんやん」
「ありがとうございます」

 コメント欄が『お誕生日おめでとうー』『おめでとうー』一色になる。
 淡々とお礼を言っている鏡音。
 ステージの客席からも「お誕生日おめでとうー」というお祝いの言葉が飛んできて、鏡音が少し照れながら客席の方にもお辞儀をして「ありがとうございます」と返す。

「ほな! サーバーで遊んどるプレイヤーのみんなー! ワイと一緒に攻略に行こうやー! なんと今から星光騎士団のライブがあるんやとー! つまり! 無料の歌バフがてんこ盛りやでー! ってことでワイ、今から未攻略のダンジョン踏破してきますわー!」
「はーい、いってらっしゃいー」
「またあとでねぇ?」
「はいなー! ほな、ダンジョン潰して来たらまたくるさかい! そん時お話ししようなー! 一旦離脱~」

 逢魔、一度ステージを降りる。
 そのままワープでサードソングに飛び、そこから近場の未到ダンジョンを制覇に向かった。
 数日で装備も現時点での最高のものに変えてあるので、あっという間にダンジョン踏破を成してげることだろう。

「さあ、そんなわけでー! 普段は夜だったりランダムだったりする東雲学院芸能科、星光騎士団のライブ! 平日朝の定期ライブとしてお楽しみくださいなー! いっくよー! 今日の一曲目は――」

 宇月がマイクを片手に曲名を叫ぶ。
 後藤がカラオケ選曲でセトリを整えて、全員がダンス開始の定位置について前奏が開始すると一斉に踊り始めた。

「~~~~♪」

 現地、野外大型モニターで放映されるのは三曲まで。
 それ以降もSBOステージは続くが、学院の野外大型ステージは他のグループがパフォーマンスをする。
 なので、SBOステージは星光騎士団のオンステージ。

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