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プロローグ
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4月の第1月曜日。僕の通う学校は入学式と始業式が同じ日に行われる。そして各教室に別れての新学年についてのオリエンテーションも午前中に終わり。各々友達と部活動に行く生徒、残って勉強に励む生徒がいる。
さすがは普通科。文武両道といったとこか。
しかし入部届けも必要ない帰宅部に入った僕は足早に学校を出て駅までは昔ながらの城下町を通り、目的の駅へ向かう。
早く帰ってTVゲームに精を出そう。
高校2年生にもなり、部活も勉強もこれから。ついでに恋愛なんてのもーー
大抵の学生はこんな意気込みだろう。
しかし僕は入っていたソフトボール部を2年生に上がる前に先輩2名と揉め辞めてしまった。
お互いつまらない意地の張り合い。後悔も少し残るし蟠りも少なからず残っている。
そのせいか、ほかの部活に入る気になれないし部活動に精を出す気にすらならない。
勉強なんてもってのほか。とりあえず高校は入っとかなければ。と親に言われ進学高に入学したものの、ここ1年、いや生まれてこの方勉強にも精を出してはいない。
このままパッとせず1年経って、進路すら決めれず今後は路頭に迷うのだろうか? なんて親不孝だ。
いつもの城下町散策ルートをでると駅舎が見えてくる。
昨年駅舎を立て替え綺麗な見栄えになった。タクシーや学生を迎えに来た保護者の車が3台ほど止まれるロータリーを挟み1階には小さいがイタリアンの雰囲気を感じる食堂があり、改札がある2階には有名な喫茶店と市営の図書館が並んでいる。
まあ憧れの喫茶店のおかげで地味だった街並も少々はお洒落にもなっただろうか。コーヒーの飲めない僕にとってはどうでもいい事だ。
また僕が通う学校付近には他にも私立高校や情報に特化した授業が受けれる北高校がある。進学校と違い他の2校の生徒達は部活や勉強はなく、帰路に着くため電車を待つ生徒もいればこれから遊びに出かける生徒も多い。
学校近隣にスーパーやコンビニもある。しかし街全体でみると、高校生が遊ぶ場所となるといささか寂しい街である。
なので学校が早く終わる日は電車で郊外にでて大型ショッピングモールに足を運ぶ学生も多い。
僕は改札へ行くため2階へと向かうエスカレーターを登る。途中有名な喫茶店の窓際の席がふと目につく。
新学期初日からデートをしている学生だろうか。
「・・・いいな。いつか僕にも」
僕は嘆息しながらつい口から独り言を吐いた。
内心面白くないと思うも口を紡いだのは本心だ。
結局、喫茶店に入る勇気はないので改札をくぐりホームの空いた席で時間を潰す。
高校生活が始まった頃は、こんな僕でも彼女の1人ぐらいわーー。と夢見ていたが、何のことはない。
・・・自分! 無様っ!
部活や勉強もしていない。いやする気がない。
今となれば不必要なものと感じられる。苦手なものからはとことん目を背けてきた。
友人関係だってその産物である。
所謂リア充と僕が感じる人とは距離を置いている。
容姿はというと身長は170cmで58kgだが童顔が相まって、とてもではないがブレザーが似合っているとは言い難い。未だに近所のオバちゃんに中学生と間違えられる。
「顔は中の中よりの上、ブサイクでもないしイケてもない」
近くの北高校に通う大きい妹から、こうお墨付きをいただいた。(一応辛口な妹なので褒め言葉として受け取っている。)
そして何より中身がないのだ。存在感なんてほとんどないし。幻のシ○クスマンにでも目指そうか。
中学から今までで無理矢理クラスメイトから印象を問われた際に「優しい人」としか女の子に褒めてもらったことがない。
この言葉は本当に印象が薄い男子に女子が送る『こんな人いたっけ? とりあえず優しいって言っとけばいいや』という意味だ。透けなくても見える。
高校生にして何もしていない。遊んでもない。
これが俗に言われる。高校生ニート! なのか?
言われてはないか。
そんな事を考えていると電車がホームに入る。
田舎の鉄道なので1時間に1本しか上りも下りもない。
もし電車に乗り遅れると次の電車まで1時間半は待たなければならないのだ。帰りはまだしも行きに乗り遅れると遅刻は決定的になる。
しかし車窓から見えるこの街の桜並木は城下町の雰囲気も相まって何度見ても情緒ありとても美しい。ちなみにこの景色が気に入り学校を選んだ。
街から出ても春らしい花が線路沿いに咲いていたり、水底がはっきり見える綺麗な川が見えたりする。
僕のお気に入りは学校前の駅から3駅行った宝国駅と家黒駅の間にある景色だ。車窓から見える渓谷は吸い込まれそうな圧倒感すら感じられる。春もさるかとながら冬になると渓谷は、雪化粧を施しさらに圧倒的な美しい景色が一面に広がる。
約30分ほど車両に揺られ地元の最寄り駅に到着すると、そこは完全な無人駅である。不正下車や乗車に使われたこともある。
ここまで間に5駅あったが全て無人駅である。
ホームに降りると改札などはなく、すぐ駅舎から出れる。外を見渡せば360°山が広がっており、やはりこの季節は満開の桜の木々が咲き誇っている。また周りには畑が連なり、コンビニなんかなく商店も最近潰れてしまった。道行く人々は年配の方か下校中の小学生ぐらいだ。
田舎のよしみかわからないが、村自体とても小さいのでみんな顔見知りだ。
「もーかえったん?」
「お帰り。尋ちゃん。」
と聞き馴染んだ会話をすることが毎日の日課だ。
そんな自給自足ができそうな場所に僕は両親と妹が2人そして祖母という家族構成で暮らしている。
そんな奈須野家は僕や大きい妹が卒業した中学校のすぐ目の前にある。
去年の秋頃から建設工事をしていた一軒家が4月に入ってすぐに完成していたな。とその新築に目をやるも玄関を開け帰宅を告げる。
早速、家に帰るやいなやTVゲームの電源を入れ三国志を題材にしたゲームを始める。今日は早く帰ったので目の前の中学校ではまだ授業を行なっているようだった。小さい妹はちゃんと授業受けているかな? 兄としては僕みたいな人畜リンになって欲しくないと気になるところだ。
そんなこんなで現在進行形でニート模擬生活を送っている。今日この頃。
そして個人プレイの呂布で天下を取りに行こうとしていると。
突然玄関のチャイムが鳴る。
妹は2人は学校、両親は共働きで日中はいない。祖母は所有している畑に行っているのか誰も出ない。
「誰もいないのか? ・・・めんどくさっ。」
おおよそ客人を迎えに行く態度ではないが、重要な郵便物とかだったら困ると不承不承ながら2階の自室から降り玄関に向かい、玄関の戸を開く。
さすがは普通科。文武両道といったとこか。
しかし入部届けも必要ない帰宅部に入った僕は足早に学校を出て駅までは昔ながらの城下町を通り、目的の駅へ向かう。
早く帰ってTVゲームに精を出そう。
高校2年生にもなり、部活も勉強もこれから。ついでに恋愛なんてのもーー
大抵の学生はこんな意気込みだろう。
しかし僕は入っていたソフトボール部を2年生に上がる前に先輩2名と揉め辞めてしまった。
お互いつまらない意地の張り合い。後悔も少し残るし蟠りも少なからず残っている。
そのせいか、ほかの部活に入る気になれないし部活動に精を出す気にすらならない。
勉強なんてもってのほか。とりあえず高校は入っとかなければ。と親に言われ進学高に入学したものの、ここ1年、いや生まれてこの方勉強にも精を出してはいない。
このままパッとせず1年経って、進路すら決めれず今後は路頭に迷うのだろうか? なんて親不孝だ。
いつもの城下町散策ルートをでると駅舎が見えてくる。
昨年駅舎を立て替え綺麗な見栄えになった。タクシーや学生を迎えに来た保護者の車が3台ほど止まれるロータリーを挟み1階には小さいがイタリアンの雰囲気を感じる食堂があり、改札がある2階には有名な喫茶店と市営の図書館が並んでいる。
まあ憧れの喫茶店のおかげで地味だった街並も少々はお洒落にもなっただろうか。コーヒーの飲めない僕にとってはどうでもいい事だ。
また僕が通う学校付近には他にも私立高校や情報に特化した授業が受けれる北高校がある。進学校と違い他の2校の生徒達は部活や勉強はなく、帰路に着くため電車を待つ生徒もいればこれから遊びに出かける生徒も多い。
学校近隣にスーパーやコンビニもある。しかし街全体でみると、高校生が遊ぶ場所となるといささか寂しい街である。
なので学校が早く終わる日は電車で郊外にでて大型ショッピングモールに足を運ぶ学生も多い。
僕は改札へ行くため2階へと向かうエスカレーターを登る。途中有名な喫茶店の窓際の席がふと目につく。
新学期初日からデートをしている学生だろうか。
「・・・いいな。いつか僕にも」
僕は嘆息しながらつい口から独り言を吐いた。
内心面白くないと思うも口を紡いだのは本心だ。
結局、喫茶店に入る勇気はないので改札をくぐりホームの空いた席で時間を潰す。
高校生活が始まった頃は、こんな僕でも彼女の1人ぐらいわーー。と夢見ていたが、何のことはない。
・・・自分! 無様っ!
部活や勉強もしていない。いやする気がない。
今となれば不必要なものと感じられる。苦手なものからはとことん目を背けてきた。
友人関係だってその産物である。
所謂リア充と僕が感じる人とは距離を置いている。
容姿はというと身長は170cmで58kgだが童顔が相まって、とてもではないがブレザーが似合っているとは言い難い。未だに近所のオバちゃんに中学生と間違えられる。
「顔は中の中よりの上、ブサイクでもないしイケてもない」
近くの北高校に通う大きい妹から、こうお墨付きをいただいた。(一応辛口な妹なので褒め言葉として受け取っている。)
そして何より中身がないのだ。存在感なんてほとんどないし。幻のシ○クスマンにでも目指そうか。
中学から今までで無理矢理クラスメイトから印象を問われた際に「優しい人」としか女の子に褒めてもらったことがない。
この言葉は本当に印象が薄い男子に女子が送る『こんな人いたっけ? とりあえず優しいって言っとけばいいや』という意味だ。透けなくても見える。
高校生にして何もしていない。遊んでもない。
これが俗に言われる。高校生ニート! なのか?
言われてはないか。
そんな事を考えていると電車がホームに入る。
田舎の鉄道なので1時間に1本しか上りも下りもない。
もし電車に乗り遅れると次の電車まで1時間半は待たなければならないのだ。帰りはまだしも行きに乗り遅れると遅刻は決定的になる。
しかし車窓から見えるこの街の桜並木は城下町の雰囲気も相まって何度見ても情緒ありとても美しい。ちなみにこの景色が気に入り学校を選んだ。
街から出ても春らしい花が線路沿いに咲いていたり、水底がはっきり見える綺麗な川が見えたりする。
僕のお気に入りは学校前の駅から3駅行った宝国駅と家黒駅の間にある景色だ。車窓から見える渓谷は吸い込まれそうな圧倒感すら感じられる。春もさるかとながら冬になると渓谷は、雪化粧を施しさらに圧倒的な美しい景色が一面に広がる。
約30分ほど車両に揺られ地元の最寄り駅に到着すると、そこは完全な無人駅である。不正下車や乗車に使われたこともある。
ここまで間に5駅あったが全て無人駅である。
ホームに降りると改札などはなく、すぐ駅舎から出れる。外を見渡せば360°山が広がっており、やはりこの季節は満開の桜の木々が咲き誇っている。また周りには畑が連なり、コンビニなんかなく商店も最近潰れてしまった。道行く人々は年配の方か下校中の小学生ぐらいだ。
田舎のよしみかわからないが、村自体とても小さいのでみんな顔見知りだ。
「もーかえったん?」
「お帰り。尋ちゃん。」
と聞き馴染んだ会話をすることが毎日の日課だ。
そんな自給自足ができそうな場所に僕は両親と妹が2人そして祖母という家族構成で暮らしている。
そんな奈須野家は僕や大きい妹が卒業した中学校のすぐ目の前にある。
去年の秋頃から建設工事をしていた一軒家が4月に入ってすぐに完成していたな。とその新築に目をやるも玄関を開け帰宅を告げる。
早速、家に帰るやいなやTVゲームの電源を入れ三国志を題材にしたゲームを始める。今日は早く帰ったので目の前の中学校ではまだ授業を行なっているようだった。小さい妹はちゃんと授業受けているかな? 兄としては僕みたいな人畜リンになって欲しくないと気になるところだ。
そんなこんなで現在進行形でニート模擬生活を送っている。今日この頃。
そして個人プレイの呂布で天下を取りに行こうとしていると。
突然玄関のチャイムが鳴る。
妹は2人は学校、両親は共働きで日中はいない。祖母は所有している畑に行っているのか誰も出ない。
「誰もいないのか? ・・・めんどくさっ。」
おおよそ客人を迎えに行く態度ではないが、重要な郵便物とかだったら困ると不承不承ながら2階の自室から降り玄関に向かい、玄関の戸を開く。
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