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両想い
自分の涙や鼻水で濡らした胸元を握りしめ、「エリー」と名を呼ぶ。でも彼は、
「エリーじゃない」
と応じて強く抱きしめる。
態度では自分がかつての友人であると伝えてくるのに、その名は否定される。
確かに私の知る〝エリー〟は少女であり、彼は立派な男性だ。
姿も名も——ひと目ではわからぬ姿で現れたのは、何か事情があるのだろう。
「私、あなたの本当の名前が知りたいです」
「……だめ、二度は名乗れない。魔女にもっと奪われるから」
そういって頭に口付けを落とし、懐かしい笑顔で微笑んだ。
「でもエマが呼ぶ名なら、女の名前でもいいんだ。昔の俺はあの姿が心底嫌だったけど、エマが女と思い込むからベッドも風呂も一緒だったよな。毎晩、エマは俺を人形みたいに胸に抱えて寝ただろう? 俺、あれすごく好き」
「う……うん……そう、だったね」
当然、もう人形のようだった美少女とは違う。
声も体格も完全な男性に言われると、落ち着かない気分になる。
「魔塔に連れてかれて一人の晩は、寂しいし、悔しいし……泣いたりもしたよ。でも夢の中ではエマとずっと一緒にいられた。そのうち夢でエロいこともしたから、夢精も自慰も、俺のはじめては全部エマで済ませたんだ」
「……ッ? な、何を、変なこと言わないで……っ」
「ハハ。だから本物に会えて嬉しい。この日のためにずっと我慢して生きてきたから、俺は今が一番幸せ」
抱きしめられると、なんだか他の事は全て些細なものに感じた。
私も過去の全ては明かせないし、エリーにはエリーの事情があるのだと。
友人に恋心を抱くのは複雑な気分だけど……どちらも大切で大好きだという気持ちには変わりなかった。
(でも、これは両想い、じゃないのかな。夢の中ではそういうこともしたのに、どうして無理って言われちゃったんだろう。——え、まさか、これでは……っ?)
抱き合っていた体を突き放し、ローブで隠れた胸元を見た。
既に見られて舐められもした気がするけど、全裸となると事情が代わってくるのかもしれない。
「もう泣くやめた? 体調も変じゃなければ自室に連れていくよ。医官には部屋で診てもらえるようにするし、ゴミ処理の報告も俺がしておくから」
「あの……」
「ん、なに?」
「好きな、好みとかってある、ありますか。その、胸、とか」
「胸?」
「女の人の、大きさとか、気にするの」
不思議そうな顔をする彼の手をとり、思い切って自分の胸元にあてた。
「えっ、なに、えっ」
「気になるなら隠すから、それでもダメ?」
「えっ、は、何がですか?!」
「わ、私……今日の事、一生忘れない。何度も思い出すから、あなたが助けてくれた事。でも、そしたら悪い事も忘れられないでしょ……? だから、もっと幸せな思い出がいっぱい欲しいんだけど、ダメですか……!」
「え、な、わっ」
迫られて後ろに倒れた彼を、なんと私は思いっきり押し倒していた——
彼は驚きのあまり、すっかり口も瞳も開かれている。
そんな顔を見下ろして、とんでもない事をしていると焦った。
胸元に手を付き、すぐに体を起こすけど、なにか……お尻の下に違和感を覚えた。
「これ……」
修道服の下穿きに膨らみを感じて、おそるおそる手を伸ばす。
「エ、エマ、だめ」
「ここ、硬くなってる……?」
「アッ」
触るとはっきりと屹立しているのがわかり、思わず安堵の息をつく。
「これ……もっと触ってみても、いいですか」
「えええええっ、なん? えっ、ちょッ、あっ」
両手ですっかり顔を覆ってしまっているけど、白い肌は首元まで赤くなっている。
(これって、多分、本気で嫌がられてるわけじゃ、ない、感じ、だよね……?)
私は彼の太ももまで下がり、跨りながら腰紐を解いていく。
「——あっ、あ?! 脱がすの?!ちょっと待って、ウッ」
「すごい……エリーの凄くおっきくなってる。これ、ビクビクしてるけど……気持ちいいって事だよね、ちがう……?」
「違わないですけどぉ……もうやだ、我慢できなくなるからやめてよ」
「我慢って、どうして? 私とそういう事するのは、嫌じゃないって事なんだよね 」
「い、嫌なわけないだろ。好きなんだから」
「好き……」
さりげなく告げられる言葉に、嬉しくて胸がいっぱいになる。
エリーは上体を起こし、熱を帯びた目で睨んでくる。
「もう、どいて。俺に意地悪してんのか」
「うん……そうなのかも。私も、あなたが好きだから、もっと意地悪したいです」
そう応えてると、艶やかな男のものの先に、ちゅっと口付けをした。
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