バックレそびれた(元)悪役令息の冒険日記

葛城 惶

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旅の支度は入念に?

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 ダンジョン攻略が決まってから、俺達は準備に追われた。

 マグリットとアントーレは剣術と槍術の猛特訓。ケヴィンは得意な弓術をさらに磨いた。ルードヴィヒは魔術師団長のお祖父さんに様々な上級魔術の伝授を受け、ニコルは旅に必要な物資を掻き集めてくれた。

 俺はと言えば、医薬術の先生の指導のもと、ポーションの作成に勤しんだ。

『回復系魔術が使えると言っても体力には限界があるからね。極力、ポーションを使いなさい』

 疲労回復、解毒、状態異常防御・回復、その他諸々。でもね、先生、媚薬とかエチエチ用ローションの作り方を熱心に語るの、止めて。俺、そういう事する気無いから。

『もしかしたら、全員の相手をしなきゃいけないかもしれないから』

って、総受け、嫌です。絶対、イヤ。俺の尻は排泄のためにあるのであって、その他の使用は厳禁です。俺、痔にはなりなくない。痛いの知ってるから前世で。
 え?座りっぱなしの仕事してるとなるんだよ、若くても。みんな隠してるだけ。

 それだけでなく、みんなもレイトン先生や魔術学校の先生から得意な属性の魔術の特訓も受けた。
 アントーレは全属性それなりだけど、特に雷属性とその他、攻撃性の魔術、それと王家の者に継承されている聖魔術を皇帝直々から伝授されてた。さすが王子。ポンコツでも王族。でもなんだか、アントーレはあまり嬉しそうじゃなかった。教えてる皇帝は嬉しそうだったけど。

 ルードヴィヒは魔術師だから、全属性OK だけど、特に他のみんなが使えない精霊召喚術とか教わってた。マグリットは火と土、ケヴィンは風と水の攻撃性の魔術の制度を上げる特訓をした。

 ニコルはある意味、戦闘要員じゃないから、魔術特訓は無いけど、妖精術、精霊術を使ってレイトン先生と情報収集。

 俺は転移魔法を教わり、回復系、防御系を徹底的に訓練した。その間、俺はなんと教会に缶詰め。大司祭さま直々にしごかれた。

 あれ?俺は勇者ポジじゃないの?

『攻撃出来ない勇者っている?聖女ポジでしょ、君は』

 そんな~。俺、男の子ですよ、レイトン先生。ちなみにいわゆる聖剣は無いけど、王家に伝わる秘伝の剣があるんだって。皇帝陛下が特別に貸してくれた。アントーレに。
 まあ王子様だからな。

 て、こいつが勇者なの?

 ポンコツ勇者、大丈夫なの?

『君達が付いてるからな』

て、ニコニコしないで陛下。謀ったね。

 でもポンコツだけど、意外に可愛いがられてるんだね、王子。追放かと思ったら、可愛い子には旅をさせろ、まんまなシチュだったのね。

 意外なことに授業とか面倒なこと、全部バックレてたこいつが、全く逃げない。異様に前向き。

『ラフィがいるから、頑張れる。頑張んなきゃと思うんだ』

 何その青春真っ只中なセリフ、止めて、お願い。お前、いつからキャラ変わったの?


 
 それに引き換え、家の家族ときたら......。


『ラフィアン、決して前に出てはいけないよ。状況がまずくなったらすぐ逃げるんだ。戦うのは他の連中に任せておけばいい』

 父さん、それ最低。前世の親父だったら、絶対そんなこと言わない。そんなことしたらぶん殴られる。

『ラフィアン、行っちゃダメ。そうだ、行くフリをして逃げちゃいなさい。母さんの実家に隠れてなさい』

 母さん、アウトー!俺が主役なの。俺が行かなきゃ駄目なの。

『騎士団の奴ら、護衛に付けようか?二十人くらい?』

 目立ち過ぎてイヤです。トニー兄さん、それ職権乱用だよ。懲罰ものだよ?ブラコンもたいがいに。俺だって旅くらい出来るんだから、ふんす!

『まぁ気を付けて』

スゥエン兄さんありがとう。でもなんか笑顔が真っ黒なんだけど?なんか企んでるよね、きっと。

 早くこの家族からバックレたいわ、俺。



 と様々な思惑を背負いつつ、出発。レイトン先生の付けてくれたドローン・カラスに見守られつつ、先行き不安な旅が始まった。

 元々が乙女ゲームで恋愛ゲームだからね、ギルドなんか無い。他の冒険者なんてのもまずいない。
 いてもにわか仕立てのケヴィンと同じようなラノベファン的な若者ばかり。
 無理だろ、お前ら。いくらガン○ムを一生懸命に履修しても、ガン○ムを操縦できるわけじゃない。わかってる?君達はエ○ァには乗れないんだよ?


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