6 / 9
プロじゃなくても
しおりを挟む
バドミントンは好きだ。
学生時代のすべてを捧げるくらいにはバドミントンを愛していたし、孝一と組むダブルスも、勝利したときの高揚感も忘れることなど絶対にない。
だが、一生食っていくには手に職をつけたほうがいいような気がしていた。
だから工業高校に進んだのだ。
バドミントンの技術も何にも変えられない貴重なものだとは思う。
それも、全国で通用する実力だ。
それでも、いつまでも現役でいれるわけではない。
常に勝利を求めるのは、果たして善一が求めたバドミントンだっただろうか。
そのプレッシャーに耐えられるだろうか。
現実に立ち返ったとき、善一は自分の気持ちと真摯に向き合った。
孝一と肩を並べて更に高みを目指すのは楽しい。
胸がドキドキして、試合の前は楽しみで緊張なんてほとんど感じたことはない。
でも、それは自分自身の意志だ。
善一自身がバドミントンを楽しんでいるから、自ずと結果がついてきたものだ。
そこに他人の期待がのしかかってくると想像しただけで、善一は心臓を無遠慮に鷲掴みにされるような不快さを覚えた。
言語化できない違和感に襲われて、善一は自分がプロに向いていないことを自覚した。
高校三年生を間近に控えた春、すでに大学やスポーツ用品メーカーからスポンサーになるとの打診が孝一とともにペアで、という話があった。
インターハイに集中したいからと返事を保留にしていたこともあり、考える時間はまだあった。
インハイ予選を前に、善一は孝一に胸の内を曝け出した。
「俺、孝一ともっとバドをしたい。でも義務感があるのは嫌だ。楽しめなくなりそう」
「だろうと思った。俺もだ。義務になると多分、バドを全力で楽しめない」
「じゃあ……」
「プロの話は断る。どんな形になろうと就職したからバドしないってことは絶対ないからな」
「それはもちろん」
プロにならないからと言って、バドミントンを辞める理由にはならない。
将来的に実業団に所属し、アマチュア選手になるという選択肢だってある。
もしそうでなくても、地域のバドミントンクラブに所属してもいい。
善一はとにかく孝一とダブルスができればよかった。
孝一と同じ気持ちでいたことに、善一は身を震わせて喜んだ。
この結論が出た日に両親に揃って報告すると残念がられたが、自分たちで決めたならと後押ししてくれた。
翌日には顧問に報告し、顧問経由で断りを入れてもらった。
学生時代のすべてを捧げるくらいにはバドミントンを愛していたし、孝一と組むダブルスも、勝利したときの高揚感も忘れることなど絶対にない。
だが、一生食っていくには手に職をつけたほうがいいような気がしていた。
だから工業高校に進んだのだ。
バドミントンの技術も何にも変えられない貴重なものだとは思う。
それも、全国で通用する実力だ。
それでも、いつまでも現役でいれるわけではない。
常に勝利を求めるのは、果たして善一が求めたバドミントンだっただろうか。
そのプレッシャーに耐えられるだろうか。
現実に立ち返ったとき、善一は自分の気持ちと真摯に向き合った。
孝一と肩を並べて更に高みを目指すのは楽しい。
胸がドキドキして、試合の前は楽しみで緊張なんてほとんど感じたことはない。
でも、それは自分自身の意志だ。
善一自身がバドミントンを楽しんでいるから、自ずと結果がついてきたものだ。
そこに他人の期待がのしかかってくると想像しただけで、善一は心臓を無遠慮に鷲掴みにされるような不快さを覚えた。
言語化できない違和感に襲われて、善一は自分がプロに向いていないことを自覚した。
高校三年生を間近に控えた春、すでに大学やスポーツ用品メーカーからスポンサーになるとの打診が孝一とともにペアで、という話があった。
インターハイに集中したいからと返事を保留にしていたこともあり、考える時間はまだあった。
インハイ予選を前に、善一は孝一に胸の内を曝け出した。
「俺、孝一ともっとバドをしたい。でも義務感があるのは嫌だ。楽しめなくなりそう」
「だろうと思った。俺もだ。義務になると多分、バドを全力で楽しめない」
「じゃあ……」
「プロの話は断る。どんな形になろうと就職したからバドしないってことは絶対ないからな」
「それはもちろん」
プロにならないからと言って、バドミントンを辞める理由にはならない。
将来的に実業団に所属し、アマチュア選手になるという選択肢だってある。
もしそうでなくても、地域のバドミントンクラブに所属してもいい。
善一はとにかく孝一とダブルスができればよかった。
孝一と同じ気持ちでいたことに、善一は身を震わせて喜んだ。
この結論が出た日に両親に揃って報告すると残念がられたが、自分たちで決めたならと後押ししてくれた。
翌日には顧問に報告し、顧問経由で断りを入れてもらった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
人並みに嫉妬くらいします
米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け
高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる