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17 新しい仲間
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ドハティ公爵邸には動く道に乗ってから比較的すぐ着いた。
これまでの道のりが長かった分、移動時間が特に短く感じたんだろう。
また、彼は公爵位を持っているが、そもそもは王弟だ。
王城から近い場所に屋敷を構えているのは、考えてみれば当然のことだ。
動く道が止まり、ユリウスに支えられながら地上へと続く階段を登る。
狩猟小屋や王城と違い、隠し通路の出入口には片開きの扉が設置されていた。
ユリウスがそれを開けると、オレンジ色の優しい光がライリーを包み込む。
一瞬、目が眩んだが、すぐに視界が戻った。
ライリーの目に写ったのは広い食堂だ。
奥のオープンキッチンでは、妙齢の女性が何やら料理を作っていた。
部屋の中央には、六人掛けのテーブルが六脚あり、オープンキッチン側のテーブルでは、影の構成員であろう五人が食事をとっている。
窓の外は真っ暗で、オープンキッチンとダイニング部分を区切る壁に掛けてある時計を見ると、時刻は午後八時を指していた。
ライリーとユリウスが隠し通路から食堂へと出ると、その場にいた六人が一斉にこちらを向いた。
そして、驚愕の表情を浮かべ、揃いも揃ってポカンと口を開けている。
その視線はライリーに集中していて、ミカエラとそっくりなこの顔が原因だとすぐにわかった。
「わぁ……」
ライリーは突き刺さる視線に慄いた。
見知らぬ人たちに凝視される。
こんなに注目を集めるのは初めてで、ぞわぞわとした感覚が肌を撫でる。
ライリーはユリウスの腕をぎゅっと掴み直した。
「話には聞いていたけど本当そっくり」
「血縁関係ないんだろ? 奇跡だな」
「神の御業ってやつ?」
「君、名前は?」
「一緒にご飯食べよ」
食事をとっていた五人は、行儀良くフォークをテーブルに置くと、口々にそう言いながらライリーに寄ってきた。
男が三人、女が二人。
全身黒い服を着ていて、歳は全員ライリーより少し上のようだ。
皆、興奮した様子を隠そうともしていない。
(この感じ知ってるぞ。孤児院の義兄さん義姉さんたちのテンションだ!)
知り合いなら、こんなふうに迫られても慣れているから大丈夫だ。
しかし、人見知りのライリーにとって、初対面の相手に、しかも複数人が次々に話しかけてくるのはきついものだった。
(どっ……どうしよう⁉︎)
ライリーが五人の圧に負けて固まっている間に、一人の男が手を握り、彼らがいたテーブルに連れて行かれそうになる。
「あ、あの……」
その押しの強さに負けて何も言い返せず、そして手を振り払うこともできずにいると、ユリウスが間に入って握られた手を切り離し、ライリーを背中側に押しやって、彼らからの視線を遮ってくれた。
「ユリウス!」
「移動で疲れているんだ」
「食事するくらいいいだろ」
「久しぶりの新入りなんだから歓迎しないと」
「人見知りなんだよ。慣れるまでそっとしておいてくれ」
口々に不満を言っていた彼らだが、ユリウスの話を聞くと、はっとした様子で顔を見合わせた。
そして、申し訳なさそうに眉尻を落とし、ライリーに頭を下げる。
「それはしょうがないね」
「ごめんね」
「また今度ね」
あっさりと納得した五人は手を振り、元の席に戻っていく。
これだけ理解があるということは、もしかしたら影の中にも人見知りがいるのかもしれない。
ライリーはまともに挨拶ができなかった申し訳なさで彼らに会釈をした。
それが終わると、ライリーはユリウスに手を引かれ、五人がいるテーブルから一番離れた席に誘導された。
しかも、ライリーの視界から彼らが見えないように背を向けた席に、だ。
ライリーが椅子に座ると、ユリウスはその対面に座った。
「すまん。だいたいこんな感じの自己主張強めのやつらが多いんだ」
「ユリウスみたいな?」
「おい」
「だってそうだろ」
「ははっ、否定はしない」
それをあんたが言うのか、と思うことをユリウスが言うものだから、うっかり軽口を叩いてしまった。
しかし、ユリウスは終始機嫌が良く、「おい」と言うときも楽しそうに笑っている。
こんなおふざけも受け入れてくれるなら、この先、彼とバディでもやっていけそうだ。
そんなやりとりをしていると、キッチンに立っていた女性が、料理が乗ったトレーを持ってきた。
「はじめまして。びっくりさせてごめんなさいね」
「い、いえ」
「ケイトです。ここで料理を担当しているの。日中は基本的にいるから、お腹が空いたら遠慮せずいらっしゃい。好きなもの作ってあげる」
「ライリーです。よろしくお願いします」
「はい、よろしく」
ケイトはそう言うとトレーをライリーとユリウスの前にそれぞれ置いた。
メニューは農場と同じ感じだ。
ふわふわのパンにコーンスープ、何かの肉の照り焼きにビーツが散った色鮮やかなサラダだ。
違いといえば、量が多いこと。
こんなに多い量を食べたことはない。
完食できるかどうかわからないが、農場で生産者だった立場上、食べ残しはしたくなかった。
「今日は持ってきてくれたのか」
「サービスよ。あなたのためじゃなくて、ライリーのためにね」
「わかってるよ」
「いつもはあそこのカウンターに取りに来てもらうの。明日の朝はユリウスに教えてもらってね。あ、足りなかったらおかわりもあるわよ」
ケイトが指差したのは、キッチンの手前にあるカウンターだ。
ダイニング側にトレーが置かれていない。
恐らく、カウンター内でトレーに全ての料理を乗せて提供してくれるのだろう。
農場の食堂だと、自分でトレーを持って料理を取っていく方式だった。
間違えないように気をつけなければ。
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあ、ごゆっくり」
ケイトはにっこり笑うと、鼻歌を歌いながらキッチンへと戻っていった。
これまでの道のりが長かった分、移動時間が特に短く感じたんだろう。
また、彼は公爵位を持っているが、そもそもは王弟だ。
王城から近い場所に屋敷を構えているのは、考えてみれば当然のことだ。
動く道が止まり、ユリウスに支えられながら地上へと続く階段を登る。
狩猟小屋や王城と違い、隠し通路の出入口には片開きの扉が設置されていた。
ユリウスがそれを開けると、オレンジ色の優しい光がライリーを包み込む。
一瞬、目が眩んだが、すぐに視界が戻った。
ライリーの目に写ったのは広い食堂だ。
奥のオープンキッチンでは、妙齢の女性が何やら料理を作っていた。
部屋の中央には、六人掛けのテーブルが六脚あり、オープンキッチン側のテーブルでは、影の構成員であろう五人が食事をとっている。
窓の外は真っ暗で、オープンキッチンとダイニング部分を区切る壁に掛けてある時計を見ると、時刻は午後八時を指していた。
ライリーとユリウスが隠し通路から食堂へと出ると、その場にいた六人が一斉にこちらを向いた。
そして、驚愕の表情を浮かべ、揃いも揃ってポカンと口を開けている。
その視線はライリーに集中していて、ミカエラとそっくりなこの顔が原因だとすぐにわかった。
「わぁ……」
ライリーは突き刺さる視線に慄いた。
見知らぬ人たちに凝視される。
こんなに注目を集めるのは初めてで、ぞわぞわとした感覚が肌を撫でる。
ライリーはユリウスの腕をぎゅっと掴み直した。
「話には聞いていたけど本当そっくり」
「血縁関係ないんだろ? 奇跡だな」
「神の御業ってやつ?」
「君、名前は?」
「一緒にご飯食べよ」
食事をとっていた五人は、行儀良くフォークをテーブルに置くと、口々にそう言いながらライリーに寄ってきた。
男が三人、女が二人。
全身黒い服を着ていて、歳は全員ライリーより少し上のようだ。
皆、興奮した様子を隠そうともしていない。
(この感じ知ってるぞ。孤児院の義兄さん義姉さんたちのテンションだ!)
知り合いなら、こんなふうに迫られても慣れているから大丈夫だ。
しかし、人見知りのライリーにとって、初対面の相手に、しかも複数人が次々に話しかけてくるのはきついものだった。
(どっ……どうしよう⁉︎)
ライリーが五人の圧に負けて固まっている間に、一人の男が手を握り、彼らがいたテーブルに連れて行かれそうになる。
「あ、あの……」
その押しの強さに負けて何も言い返せず、そして手を振り払うこともできずにいると、ユリウスが間に入って握られた手を切り離し、ライリーを背中側に押しやって、彼らからの視線を遮ってくれた。
「ユリウス!」
「移動で疲れているんだ」
「食事するくらいいいだろ」
「久しぶりの新入りなんだから歓迎しないと」
「人見知りなんだよ。慣れるまでそっとしておいてくれ」
口々に不満を言っていた彼らだが、ユリウスの話を聞くと、はっとした様子で顔を見合わせた。
そして、申し訳なさそうに眉尻を落とし、ライリーに頭を下げる。
「それはしょうがないね」
「ごめんね」
「また今度ね」
あっさりと納得した五人は手を振り、元の席に戻っていく。
これだけ理解があるということは、もしかしたら影の中にも人見知りがいるのかもしれない。
ライリーはまともに挨拶ができなかった申し訳なさで彼らに会釈をした。
それが終わると、ライリーはユリウスに手を引かれ、五人がいるテーブルから一番離れた席に誘導された。
しかも、ライリーの視界から彼らが見えないように背を向けた席に、だ。
ライリーが椅子に座ると、ユリウスはその対面に座った。
「すまん。だいたいこんな感じの自己主張強めのやつらが多いんだ」
「ユリウスみたいな?」
「おい」
「だってそうだろ」
「ははっ、否定はしない」
それをあんたが言うのか、と思うことをユリウスが言うものだから、うっかり軽口を叩いてしまった。
しかし、ユリウスは終始機嫌が良く、「おい」と言うときも楽しそうに笑っている。
こんなおふざけも受け入れてくれるなら、この先、彼とバディでもやっていけそうだ。
そんなやりとりをしていると、キッチンに立っていた女性が、料理が乗ったトレーを持ってきた。
「はじめまして。びっくりさせてごめんなさいね」
「い、いえ」
「ケイトです。ここで料理を担当しているの。日中は基本的にいるから、お腹が空いたら遠慮せずいらっしゃい。好きなもの作ってあげる」
「ライリーです。よろしくお願いします」
「はい、よろしく」
ケイトはそう言うとトレーをライリーとユリウスの前にそれぞれ置いた。
メニューは農場と同じ感じだ。
ふわふわのパンにコーンスープ、何かの肉の照り焼きにビーツが散った色鮮やかなサラダだ。
違いといえば、量が多いこと。
こんなに多い量を食べたことはない。
完食できるかどうかわからないが、農場で生産者だった立場上、食べ残しはしたくなかった。
「今日は持ってきてくれたのか」
「サービスよ。あなたのためじゃなくて、ライリーのためにね」
「わかってるよ」
「いつもはあそこのカウンターに取りに来てもらうの。明日の朝はユリウスに教えてもらってね。あ、足りなかったらおかわりもあるわよ」
ケイトが指差したのは、キッチンの手前にあるカウンターだ。
ダイニング側にトレーが置かれていない。
恐らく、カウンター内でトレーに全ての料理を乗せて提供してくれるのだろう。
農場の食堂だと、自分でトレーを持って料理を取っていく方式だった。
間違えないように気をつけなければ。
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあ、ごゆっくり」
ケイトはにっこり笑うと、鼻歌を歌いながらキッチンへと戻っていった。
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