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二章
16/友達
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それはいいわ、と和兎も賛成した。
「お供物作りとか人間の蓮美にしかできない、してもらえない事があるものね。独自のスケジュールで進めてもらうっていう悟狸さんのアイデアはいいと思うわ」
「だなぁ。嬢ちゃん、どうだい?」
猿真も頷く。
「はい、ご迷惑をおかけしない範囲なら」
「迷惑どころか助かるよ。おかげで昨夜はおなか一杯で僕は眠れたもの」
悟狸が腹をさすると和兎と猿真がアハハと笑った。
「喜んでもらえてよかったです、犬威さんも……」
「うぅっ、ぐふっ!」
どうやら犬威は涙もろいらしい。
就業時間になり皆は仕事を始めだしたのだが、彼だけさっきから十五分以上も泣き続けている。
蓮美は持っていたポケットティッシュを渡し続けたが、手持ちの物は切らしてしまった。
「悟狸さん、でしたら今日もお供物の買い出しに行ってもいいでしょうか?」
「うん、構わないよ」
今後も考え、ボックスティッシュは犬威の涙専用に必要だと思う。
買い物メモに書いていると狐乃、命が視線をぶつけ合った。
買い出しには狐乃も付いていく事を宣言している、どちらがついていくか揉めなければいいが。
「大丈夫かい。命君の成長に感激するのもわかるけれど、そろそろ涙を止めないと体に障るよ」
悟狸が犬威の肩を叩いて慰める。
「はい、すびばS、うおぉおおおんっ!」
「今日は蓮美君に外勤やバグについて詳しく説明しようと思っていたんだけれど、いつも冷静な君が泣いていては……」
「も、申し訳うぉおおおおんっ!」
犬威の涙は止まりそうにない。
「そりゃまあ、友達なんて言葉が俺様育ちな命君の口から出れば、信じられなくて涙も出るわよね」
和兎も同情を寄せ、蓮美はメモの手を止めた。
「じゃあ、買い出しを今から行ってもいいでしょうか。お店は9時から開いてますし、戻る頃には犬威さんも落ち着いているかと」
買い物係りは命に頼むつもりでいた。
一旦彼を犬威から離した方が涙を止める効果がありそうだと思ったからだ。
「よし、さっそく君のスケジュールに合わせて進めよう」
「ハイハイハイ、今日は俺が付いていきますっ!」
待ってましたと言わんばかりに狐乃が手を挙げる。
「ソイソイソイ、蓮美さんの買い物係は犬威さんから指示を受けています。僕が今後も担当しますっ!」
命も手を挙げ、犬威の名を出された狐乃がガウッと唸る。
「ずるいぞお前っ!」
「ずるくないです、元々は犬威さんの命令です……」
「狐乃さん、今日は命君に付き添ってもらおうと」
蓮美がケンカを止めようと間に入る。
「ええ~、それは残念だな、じゃあ」
狐乃がイスから立ち上がり、彼女に近づき。
「今週の金曜の夜、約束してくれる?」
間近まで顔を寄せ、男物の香水がフワリと香った。
「約束?」
「蓮美さん、行きますよっ!」
命が腕を掴んで職員室を飛び出す。
「命君、まだ買い物の経費を受け取ってないよっ!」
「急ぎますっ!」
全く聞いていない。
ズカズカと廊下を歩き、玄関へと突き進む。
「おおーいっ!」
犬威の声がし、振り返ると後から走って追ってきた。
「止まって!」
彼女が叫ぶと下駄箱でやっと立ち止まる。
「朝霧君、グスッ、買い物の費用とカバンを忘れている。命の事、グフッ、よろしく頼む……」
涙目で経費の入った封筒とカバンを渡してくれた。
「はい、行ってきます」
封筒をしまい、再び命に手を引かれると。
「蓮美、気を付けて」
背後から咲枝の声がした。
「!」
振り向いたが叔母がいる筈もない。
泣いた犬威が立っているだけだった。
「車に、グスン、気をつけてな……」
空耳にしては生々しく聞こえた。
校庭から外に出ると朝方に見た夢を思い出す。
今朝の夢、夢に出てきた咲枝の口の動き。
あれは気を付けて、だ。
寂しさからか、無意識に所での就職に不安を感じていたのだろうか。
それとも。
「狐乃さんなんかっ、稲荷寿司ばっか食べて形態が稲荷寿司みたいになればいいんだっ!」
彼女を無視して命が一人叫ぶ。
「命君、手が痛いよ」
「あ、えっ……」
彼は手首を思い切り掴んでいた。
「ごめんなさい……」
慌てて手を離し、下を向いて俯いた。
「ぼ、僕の事、嫌いになりましたか……?」
「こんな事で嫌いにはならないよ、だけど乱暴な言葉を使ったりケンカをするのはやめてほしいな」
「狐乃パイセンが悪いんです、蓮美さんは僕だけの友達です、僕が友達だと決めたんだから友達である僕の言う事だけ聞けばいいんですっ!」
命はドスドス地面を踏み鳴らした。
「命君、友達っていうのは友達だと決めつけたり、誰かだけのっていうものじゃないと思うな」
「どういう事ですか……?」
「どう、うーん、例えば私が命君だけの友達でいたらそれだけで終わるけど、私が別の誰かと友達になって、その友達が命君と仲良くなったら二人は友達になるかもしれないよね。逆に命君の友達が私と仲良くなって友達になったり、友達は増やしたりしていくっていうか。ううん、別に増えればいいという訳じゃないよ、友達というのは建前だけで中身のない付き合いもあるし。第一、友達っていうのは気が付いたらなるもので、決めつけてなるものじゃないから」
「よくわかりません、僕の友達は蓮美さんだけでいいです……」
「……私だけ?」
今の彼に友達の解釈を説明するのは難しいようだ。
「僕は神です、これは神の命令です、蓮美さんは僕以外の人と友達になってはダメですっ!」
「友達は友達に命令なんてしないよ」
彼女は毅然として言った。
「友達なら対等でいなきゃ、命令なんてしない」
「た、対等……?」
命はシャツの裾を握りしめて固まる。
「友達になるって難しいです……」
「じゃあ私達、友達になるのはやめようか?」
「嫌です……」
「友達になろうとするなら努力も大切だと思うな」
「努力……?」
「えっと、相手を思いやる優しさとか。少なくとも神様だからなんてワガママは友達の間では通用しないよ」
「今後は言いません……」
蓮美は人を見捨てるという事ができない質だった。
彼を放っておく事もできたが、自分を友達だと言ったその気持ちを汲み取ってはあげたい。
ただ、常識や社会通念を彼に学ばせるのは必要ではないかと思う。
今のままでは心が子供のままだ。
犬威だって命の変わりようを喜んでいた、純粋な親心なのだろう。
それだけ愛されている彼が、今や親のいない蓮美にとって羨ましくもあった。
「蓮美さん、僕……」
伝えたい所は伝わったようだ。
「……命君」
「ウンコがしたいです……」
は。
「は?」
今は何の話をしていたのか。
友達のあり方について大事な話しをしていた気がする。
なのになぜか。
急に話題にウンコ出てきた。
「ウン……?」
「ウンコです、ウンコがしたい……」
「……」
彼女は顔がスーンとなる。
「今?」
「今です……」
「な、なんで所を出る時にしてこないのっ!」
「このタイミングでしたくなりました……」
「ええぇ、こんな所でっ!」
現在地は所とスーパーのちょうど中間地点にあたる。
「走れる?」
「走ったら漏れそうです……」
「ええぇっ!」
最悪なパターンだ。
進むも地獄、戻るも地獄。
いや、ある。
残された道はある。
「空が飛べたよね?」※彼は特殊な訓練を受けています。
「反動で実が出ます……」
実が出る。
つまり漏らすという意味だ。
「……限界突破なんだ」
詰んだ。
だが、まだここは異世界の空間、人目はない。
最後の手段としたらアレだ、アレだよ、アレしかない。
野グソしかない。
しかし、仮に野グソをさせたとしても飼い犬なら回収する。
回収しなければならない。
そんな事は大金を積まれても嫌だった。
ああ、嫌だとも。
「……待ってて」
蓮美は手頃な木の棒を探しだすと、近くの茂みを指さして言った。
「土に穴を掘って埋めてこい、埋めたら大地の神様に謝ってくるんだ。僕はウンコをして埋めました、すみません、と」
「蓮美さん、友達なら命令はしない筈なんじゃ……」
「時と場合によるよ、今はする。これは命令だ」
「でも、お尻を拭く紙がありません……」
「はっ!」
しくじった。
犬威の涙に手持ちのティッシュは切らしている。
同い年の男子に野グソをさせるなど、今は自分が泣きたい。
「落ちている枯葉で拭いてくるんだ」
ここでも毅然とし、心の中で犠牲となる枯葉に謝罪した。
「……」
命は棒を受け取ると茂みへ入っていく。
後ろ姿を見つめ、この外出は過去に会った大型犬との散歩を思わせた。
一度だけだが、犬の散歩のアルバイトを引き受けたのだ。
応募の際は小型犬の約束だった筈が手違いで大型犬を任されたのだ。
犬は力が強く綱引きに負け、引きずり倒され子供に笑われた。
苦い思い出の一つだ。
「強かったな、あの犬……」
背後の茂みからプッと聞こえたが、聞こえなかったふりをする。
やがてガサガサ草をかき分ける音がした。
「あの……」
空を眺めていたら命が戻ってきた。
「してきました……」
「埋めた?」
「埋めてきました……」
「大地の神様に謝った?」
「謝りました……」
「次からは所を出る時にウンコしてこようか」
「はい……」
「勢いで外に飛び出したらダメだよ」
「はい……」
「スーパーに着いたら、トイレを借りてまずは手を洗おうね」
「はい……」
二人はノロノロ歩きだしたが、蓮美にある考えが浮かんだ。
異世界では時間の経過はどうなっているのだろう。
時計を見たが時の進み方がとても遅く感じる。
もしかしたら命のウンコは時間が経っても時空を超えるのか。
そんな考えが脳裏をかすめていった。
「お供物作りとか人間の蓮美にしかできない、してもらえない事があるものね。独自のスケジュールで進めてもらうっていう悟狸さんのアイデアはいいと思うわ」
「だなぁ。嬢ちゃん、どうだい?」
猿真も頷く。
「はい、ご迷惑をおかけしない範囲なら」
「迷惑どころか助かるよ。おかげで昨夜はおなか一杯で僕は眠れたもの」
悟狸が腹をさすると和兎と猿真がアハハと笑った。
「喜んでもらえてよかったです、犬威さんも……」
「うぅっ、ぐふっ!」
どうやら犬威は涙もろいらしい。
就業時間になり皆は仕事を始めだしたのだが、彼だけさっきから十五分以上も泣き続けている。
蓮美は持っていたポケットティッシュを渡し続けたが、手持ちの物は切らしてしまった。
「悟狸さん、でしたら今日もお供物の買い出しに行ってもいいでしょうか?」
「うん、構わないよ」
今後も考え、ボックスティッシュは犬威の涙専用に必要だと思う。
買い物メモに書いていると狐乃、命が視線をぶつけ合った。
買い出しには狐乃も付いていく事を宣言している、どちらがついていくか揉めなければいいが。
「大丈夫かい。命君の成長に感激するのもわかるけれど、そろそろ涙を止めないと体に障るよ」
悟狸が犬威の肩を叩いて慰める。
「はい、すびばS、うおぉおおおんっ!」
「今日は蓮美君に外勤やバグについて詳しく説明しようと思っていたんだけれど、いつも冷静な君が泣いていては……」
「も、申し訳うぉおおおおんっ!」
犬威の涙は止まりそうにない。
「そりゃまあ、友達なんて言葉が俺様育ちな命君の口から出れば、信じられなくて涙も出るわよね」
和兎も同情を寄せ、蓮美はメモの手を止めた。
「じゃあ、買い出しを今から行ってもいいでしょうか。お店は9時から開いてますし、戻る頃には犬威さんも落ち着いているかと」
買い物係りは命に頼むつもりでいた。
一旦彼を犬威から離した方が涙を止める効果がありそうだと思ったからだ。
「よし、さっそく君のスケジュールに合わせて進めよう」
「ハイハイハイ、今日は俺が付いていきますっ!」
待ってましたと言わんばかりに狐乃が手を挙げる。
「ソイソイソイ、蓮美さんの買い物係は犬威さんから指示を受けています。僕が今後も担当しますっ!」
命も手を挙げ、犬威の名を出された狐乃がガウッと唸る。
「ずるいぞお前っ!」
「ずるくないです、元々は犬威さんの命令です……」
「狐乃さん、今日は命君に付き添ってもらおうと」
蓮美がケンカを止めようと間に入る。
「ええ~、それは残念だな、じゃあ」
狐乃がイスから立ち上がり、彼女に近づき。
「今週の金曜の夜、約束してくれる?」
間近まで顔を寄せ、男物の香水がフワリと香った。
「約束?」
「蓮美さん、行きますよっ!」
命が腕を掴んで職員室を飛び出す。
「命君、まだ買い物の経費を受け取ってないよっ!」
「急ぎますっ!」
全く聞いていない。
ズカズカと廊下を歩き、玄関へと突き進む。
「おおーいっ!」
犬威の声がし、振り返ると後から走って追ってきた。
「止まって!」
彼女が叫ぶと下駄箱でやっと立ち止まる。
「朝霧君、グスッ、買い物の費用とカバンを忘れている。命の事、グフッ、よろしく頼む……」
涙目で経費の入った封筒とカバンを渡してくれた。
「はい、行ってきます」
封筒をしまい、再び命に手を引かれると。
「蓮美、気を付けて」
背後から咲枝の声がした。
「!」
振り向いたが叔母がいる筈もない。
泣いた犬威が立っているだけだった。
「車に、グスン、気をつけてな……」
空耳にしては生々しく聞こえた。
校庭から外に出ると朝方に見た夢を思い出す。
今朝の夢、夢に出てきた咲枝の口の動き。
あれは気を付けて、だ。
寂しさからか、無意識に所での就職に不安を感じていたのだろうか。
それとも。
「狐乃さんなんかっ、稲荷寿司ばっか食べて形態が稲荷寿司みたいになればいいんだっ!」
彼女を無視して命が一人叫ぶ。
「命君、手が痛いよ」
「あ、えっ……」
彼は手首を思い切り掴んでいた。
「ごめんなさい……」
慌てて手を離し、下を向いて俯いた。
「ぼ、僕の事、嫌いになりましたか……?」
「こんな事で嫌いにはならないよ、だけど乱暴な言葉を使ったりケンカをするのはやめてほしいな」
「狐乃パイセンが悪いんです、蓮美さんは僕だけの友達です、僕が友達だと決めたんだから友達である僕の言う事だけ聞けばいいんですっ!」
命はドスドス地面を踏み鳴らした。
「命君、友達っていうのは友達だと決めつけたり、誰かだけのっていうものじゃないと思うな」
「どういう事ですか……?」
「どう、うーん、例えば私が命君だけの友達でいたらそれだけで終わるけど、私が別の誰かと友達になって、その友達が命君と仲良くなったら二人は友達になるかもしれないよね。逆に命君の友達が私と仲良くなって友達になったり、友達は増やしたりしていくっていうか。ううん、別に増えればいいという訳じゃないよ、友達というのは建前だけで中身のない付き合いもあるし。第一、友達っていうのは気が付いたらなるもので、決めつけてなるものじゃないから」
「よくわかりません、僕の友達は蓮美さんだけでいいです……」
「……私だけ?」
今の彼に友達の解釈を説明するのは難しいようだ。
「僕は神です、これは神の命令です、蓮美さんは僕以外の人と友達になってはダメですっ!」
「友達は友達に命令なんてしないよ」
彼女は毅然として言った。
「友達なら対等でいなきゃ、命令なんてしない」
「た、対等……?」
命はシャツの裾を握りしめて固まる。
「友達になるって難しいです……」
「じゃあ私達、友達になるのはやめようか?」
「嫌です……」
「友達になろうとするなら努力も大切だと思うな」
「努力……?」
「えっと、相手を思いやる優しさとか。少なくとも神様だからなんてワガママは友達の間では通用しないよ」
「今後は言いません……」
蓮美は人を見捨てるという事ができない質だった。
彼を放っておく事もできたが、自分を友達だと言ったその気持ちを汲み取ってはあげたい。
ただ、常識や社会通念を彼に学ばせるのは必要ではないかと思う。
今のままでは心が子供のままだ。
犬威だって命の変わりようを喜んでいた、純粋な親心なのだろう。
それだけ愛されている彼が、今や親のいない蓮美にとって羨ましくもあった。
「蓮美さん、僕……」
伝えたい所は伝わったようだ。
「……命君」
「ウンコがしたいです……」
は。
「は?」
今は何の話をしていたのか。
友達のあり方について大事な話しをしていた気がする。
なのになぜか。
急に話題にウンコ出てきた。
「ウン……?」
「ウンコです、ウンコがしたい……」
「……」
彼女は顔がスーンとなる。
「今?」
「今です……」
「な、なんで所を出る時にしてこないのっ!」
「このタイミングでしたくなりました……」
「ええぇ、こんな所でっ!」
現在地は所とスーパーのちょうど中間地点にあたる。
「走れる?」
「走ったら漏れそうです……」
「ええぇっ!」
最悪なパターンだ。
進むも地獄、戻るも地獄。
いや、ある。
残された道はある。
「空が飛べたよね?」※彼は特殊な訓練を受けています。
「反動で実が出ます……」
実が出る。
つまり漏らすという意味だ。
「……限界突破なんだ」
詰んだ。
だが、まだここは異世界の空間、人目はない。
最後の手段としたらアレだ、アレだよ、アレしかない。
野グソしかない。
しかし、仮に野グソをさせたとしても飼い犬なら回収する。
回収しなければならない。
そんな事は大金を積まれても嫌だった。
ああ、嫌だとも。
「……待ってて」
蓮美は手頃な木の棒を探しだすと、近くの茂みを指さして言った。
「土に穴を掘って埋めてこい、埋めたら大地の神様に謝ってくるんだ。僕はウンコをして埋めました、すみません、と」
「蓮美さん、友達なら命令はしない筈なんじゃ……」
「時と場合によるよ、今はする。これは命令だ」
「でも、お尻を拭く紙がありません……」
「はっ!」
しくじった。
犬威の涙に手持ちのティッシュは切らしている。
同い年の男子に野グソをさせるなど、今は自分が泣きたい。
「落ちている枯葉で拭いてくるんだ」
ここでも毅然とし、心の中で犠牲となる枯葉に謝罪した。
「……」
命は棒を受け取ると茂みへ入っていく。
後ろ姿を見つめ、この外出は過去に会った大型犬との散歩を思わせた。
一度だけだが、犬の散歩のアルバイトを引き受けたのだ。
応募の際は小型犬の約束だった筈が手違いで大型犬を任されたのだ。
犬は力が強く綱引きに負け、引きずり倒され子供に笑われた。
苦い思い出の一つだ。
「強かったな、あの犬……」
背後の茂みからプッと聞こえたが、聞こえなかったふりをする。
やがてガサガサ草をかき分ける音がした。
「あの……」
空を眺めていたら命が戻ってきた。
「してきました……」
「埋めた?」
「埋めてきました……」
「大地の神様に謝った?」
「謝りました……」
「次からは所を出る時にウンコしてこようか」
「はい……」
「勢いで外に飛び出したらダメだよ」
「はい……」
「スーパーに着いたら、トイレを借りてまずは手を洗おうね」
「はい……」
二人はノロノロ歩きだしたが、蓮美にある考えが浮かんだ。
異世界では時間の経過はどうなっているのだろう。
時計を見たが時の進み方がとても遅く感じる。
もしかしたら命のウンコは時間が経っても時空を超えるのか。
そんな考えが脳裏をかすめていった。
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