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学校に行くのだから筆記用具ぐらいは持って行くのが普通だろう。
常にメモ帳やペンを持ち歩いている僕は準備満タンであるが…、やはり何か忘れ物をしているのではと心配というか不安になってしまう。
「チャウィ。学校って何が必要なんだ?」
「んー…別に何も持っていかなくても良かったはずだが?」
やっぱり僕の世界の常識とズレてんな……。
だからと言って何も持っていかないのはそれはそれで不安になる。
「チャウィ。そういえば二階の部屋にあった白い何も書いていない本ってなんなの?」
「あ?あー、あれはスキルカード使いには必ず配られる本らしいぞ。俺はスキルカード使いじゃないから、どんなものかは知らないが」
結構大事ものではないか。やっぱりちゃんと確認して良かった…。急いで二階の部屋へと向かい、白い本をバックに入れて階段を駆け下りる。
「何で走ってるんだよ…」
「学校に行くのが楽しみで、つい…」
少し息が上がったが、久しぶりに行く学校というものは楽しみだ。実際僕が通っていた学校という訳ではないが、僕はこの通りもう学校に行かない身だ。だからか、こんなにもウキウキと胸を高鳴らせているのかもしれない。
「準備は出来たのか?」
「もちろん」
自信満々に言うとチャウィは小さい妖精サイズになり、僕の頭の上に乗る。
「ちょ、チャウィ。案内は?」
「案内はするから安心しろ。ただ歩くのが面倒だからお前の頭の上に乗っているだけだ。」
妖精という体はどうやら楽そうだ。羨ましい面もあるが、そこは人間で良かったと思うべきだと思った。
チャウィを頭に乗せて僕は外に出る。そういえば考えてもいなかったが、最初に二階の部屋から外を見渡したあたり近くに学校なんて見当たらず、永遠と緑の森が広がっていた……そんな気がする。
「ねぇ、チャウィ。…歩いて学校へ向かったら何時間ぐらいかかる?」
「んー。考えたこともなかったが…120時間は最低でも掛かるんじゃないか?」
「え"…………?5日も?」
「んまぁ…5日もだな。」
チャウィが頭に乗るのも納得だ。5日間も掛かる道のりを歩きたくないのだ。前言撤回。おのれぇえ……サイズ変えられるとかずるいな。正直チャウィが羨ましい。
「チャウィ……歩きたくない。120時間も掛かる道の歩きたくない。」
「だろうとは思っていた。取り敢えず左の道を歩け。そしたら近くにバス停があるぞ。」
バス停?聞き間違いではない。今、バス停と言ったのか?なんだ……驚かさないでほしい。本当に120時間(5日間)も掛かる道のりを歩かされるのかと思った。
チャウィに言われたように左の道を歩くと、本の数分でバス停らしき場所に着く。さっきまでの砂利道とは違って大きく開けた場所だ。
「チャウィ、ここ?」
「そうだぜ。取り敢えずそこのボタンを押してみろ」
「分かった」
バスのマークが描いてある看板にボタンが付けられている。普通なら時刻表などがついているが、そんなものは見当たらない。
取り敢えず、チャウィに言われたようにボタンを押すと『プンッ』と飛行機の機内にある呼び出しボタンに似たように音が鳴ると、バスのマークが僕の知らない文字らしきものが電光掲示板のように変わり、流れている。
「チャウィ。なんて書いてあるの?」
「ん?…あー、しばらくお待ちくださいって書いてあるぞ…って!お前、字も読めない程の記憶喪失かよ」
「あ、うん。」
僕が苦笑いを浮かべていると、煙幕…いや霧のような煙が現れ、それに紛れるかのようにバスが現れる。
「おぉお!!何コレ凄い!!カッコイイ!」
思わず目が輝いてしまう。何かの名シーンでありそうな登場仕方だ。凄くカッコイイ。1度目の前でこんなもの見てしまうと口が空いてしまう。
バスのドアが開き、誰かが降りてくる。
「今日はどちらまで行きますか?」
大人びた紳士的な人らしき人はニッコリと優しそうな笑みを僕らに向ける。
「よぉ!カロさん。僕達は学校まで乗ってくぜ」
「これはこれは…チャウィさんと陀璃亜さんではないですか。今日は空いていますので、数分で着くと思いますよ」
「!?」
僕の名前を知っている?この世界に来たばかりと思っていたが…やっぱりこの世界には別の僕が存在していたのだろうか。
………って、120時間の道のりをバスだと数分!?
「チ、チャウィ。この人誰?」
「そうか…記憶喪失だったな…。この方は、カロさんだ。警察の中でもエリートでとっても偉い方だ 」
うぇ!?ただの優しいバスの運転手だと思ったら…なんかめちゃめちゃ偉い方に見えてきた。
「ぇ?なんでそんなエリートで偉い警察の方がバスの運転してるの?」
「それは私からご説明致しましょうか?」
「おう!よろしくな。コイツ記憶喪失だからカロさんの事覚えていないみたいなんだぜ」
やばい…なんか様つけた方がいいよな。
「ありがとうございます…カロ様。」
「カロ様…?」
「様だなんてとんでもございません。私は、様を付けるほどの者ではございません。気軽にカロさんと呼んで下さい。」
…さん付けている時点で気軽じゃない。
いや、そんなツッコミも出来きそうにない。
「…そんな大層なものではありませんが、バスの運転手になって下さる方も居なく、警察である私がやっているまでです。」
「少し加えるとだな、人数が足りない職業は全部警察がやっているって訳だぜ。」
警察は大変そうだ…。ただでさえ本職の仕事もあるだけだろうけど他の職業もこなしてしまうという事だ。
それに、カロさんは全然疲れた様子もなく優しそうな笑顔でいる。エリートなだけあるなぁ…。
「カロさんって、凄い人なんだなぁ…」
「いえいえ。私はそんな凄くはないですよ。」
「何やってんだ、陀璃亜。早くバスに乗るぞ」
「えっ!ちょ…待ってよチャウィ!」
チャウィはいつの間にか頭に乗っていなく、バスに乗っていた。慌てて僕も乗り、窓から僕達の様子を見ていたチャウィはまるで虫。
「誰が虫だと!?」
一瞬で人間サイズに変わったチャウィは僕の頬を掴んではニッコリと笑みを浮かべる。カロさんとは全然違うその絵顔はまるで殺意をぐっと堪えているようでだだ漏れている。
「あにゃたにはこきょりょをよむちかりゃがありゅんでしか…」
「お前とは契約関係だから何となくわかるんだよなぁ…。それで?俺に何か言う事あるんじゃないか?」
「ひゅみまふぇんへひは」
「清々しい顔で俺の事を虫とか思ってんだー?俺は別に怒っているわけじゃぁないんだぞー。」
「ひゃふひはん。ほわひへふ。はほ、はひゃひへふはひゃひ」
「おぉ。そうだな。仕方ないから離してやろう」
痛たたた……。顔に後がついていそうなレベルで痛かった。チャウィは怒ってないと言ってたわりには殺意が笑顔から離れて出ていた。ふぅ…全く恐ろしい。ゆっくり立ち、チャウィの隣の席に座る。
「ご乗車して頂けましたか?それでは出発します。」
ドアが閉まる音がするとバスがゆっくりと動くのが分かる。
「陀璃亜。しばらくの間は窓の外を見ない方がいいぞ。」
「なんで?」
「酔うからだ。」
普通は酔う人は外を見るはずだが…ここでもまた僕の世界の常識は通用しないようだった。
仕方なく、チャウィに言われた通りに窓を見ずに下を向く。外を見ていないのに何となくだが、もうここはさっき居た場所ではない別の空間だと分かった。まるで飛行機にでも乗ったかのようにバスが浮いているような感覚と耳がキーンと鳴り響く。数分が立ち、バスが止まるのか分かった。
「チャウィさん。陀璃亜さん。着きましたよ。」
「陀璃亜、もう顔を上げていいぞ」
チャウィとカロさんに言われ、顔を上げる。
すると窓の外には120時間(5日)も掛かると言っていた学校があった。
「すご………。本当に数分で着いたのか?」
思わず口が空いてしまう。僕はバスの中で立ち尽くしていた。
「陀璃亜。アホな面してないで降りるぞ。」
ハッとしながら呆れるチャウィを追いかけるようにしてバスを降りる。
カロさんもどうやら先に降りていたらしく、2人が外で待っていた。
「カロさんありがとうな。」
「ありがとうございます!」
僕達はカロさんに礼を言い、お辞儀した。
「いえいえ。私の仕事でしたので…。それでは私は次の仕事がありますので、またの機会にお会いしましょう。」
優しそうな顔でそういうとカロさんはバスに乗り、バスは霧のような煙の中に消えていった。
僕達は最後の霧がなくなるまで立っていた。
「よし……学校に入ろうか。」
「そうだな。」
僕らは正門を通り、校内に入る。
いつの間にか小さい妖精サイズになっていたチャウィはまた僕の頭に乗っている。
学校なだけあり、家に居たときよりも人の気配がする。ガヤガヤとしている教室やシーンと静まり帰った教室。どの場所も新鮮味があってウキウキしてしまう。
「チャウィ。」
「なんだ?」
「僕の教室どこ?」
「それならここだぞ。」
危なかった。聞かなかったらこのまま通り過ぎてしまう所だった。危ない…危ない。
ここが僕の教室…。僕はドアを開けるのに躊躇してしまい、ドキドキとした緊張する心を落ち着かせる為に息を呑む。
「どうした?開けないのか?」
「ちょっと待ってほしい。緊張してるから落ち着かせる。」
「そうか」
チャウィに急かされ、ドアを開けようと手にかける。しかし、ドアが勢いよく開き、出てきた女性とぶつかってしまう。僕は尻もちをついていたが、女性の人はビクともしていないのか。当たった事にすらなっていないのか、普通に立っている。
「来ていたのね」
僕はその短い単語だけを述べた喋りに何か覚えがある気がする。あ、そうだ。この黒髪の人は確か……チャウィが言っていた担任の先生?
スーツ姿で普通の人とは何ら変わらない様子だ。
僕の世界の常識が通用しない、非日常的な体験をしてきた僕にとってはまともな人に見えないくらい安心した。
「地べたに座るのが好きなのかしら」
あ…、違いました。普通の人じゃなかった。目も赤いしドSだったよ。
差し伸べられた手を掴み、僕は立ち上がる。
「授業は終わりよ」
「…え?てことは…もう放課後?」
「…ええ。」
ここまで来たのに放課後かぁ…。なんというかとてめガッカリするように肩を落とす。
「用があるなら職員室に来なさい」
そう言い残すと素早い足取りで歩いていってしまう。
「そう気を落とすなって…。授業が終わったところでクラスメイトとの会話ぐらいは出来るんじゃないか?」
ん?そうか。…そうだ。授業が終わったところで放課後というものがあるじゃないか!学生時代はよく放課後の教室に遅くまでいて怒られたなぁ…。なんて学生時代の思い出に浸ってしまう。
「そうだよなぁ。よし!放課後だけどクラスメイトの1人や2人くらい教室にいるだろうし、教室に入ろう!」
そうして僕はウキウキとした心で、ドアを勢いよくドアを開ける。
「あれー。おかしいなー…、教室ってこんなに生臭かったけ?それに教室に入ったときビシャって……。それに………窓って赤黒くて教室は暗かったけ…?あ!そうか!教室を間違えたんだ!」
「いや、この教室であってるぞ」
「やだなー…チャウィ。こんなにバーベキューパーティみたいになっている場所が教室なわけないよー。100歩譲って調理室だよー」
「いーや。ここがお前の教室だぞ」
「嘘でも違う教室だって言ってよぉ!!ぁああぁ!!今すぐ脳内から抹消したい記憶だよぉお…」
こんなの乱闘でもあったのだろうか?血と肉の塊でいっぱいのこの空間が僕の教室というのは本当と書いてマジと読むくらいで嫌だ。
僕の平凡で何1つ変わらない常識的な世界に帰りたい。僕の学生時代に戻りたい…。
「…あの、……もしかして…陀璃亜くんですか?」
血と肉の塊の空間に恐怖で怯えているようなトーンではなく、普通に話すよえなトーンで僕に話かける天使のような声の女の子が1人教室に居た。
常にメモ帳やペンを持ち歩いている僕は準備満タンであるが…、やはり何か忘れ物をしているのではと心配というか不安になってしまう。
「チャウィ。学校って何が必要なんだ?」
「んー…別に何も持っていかなくても良かったはずだが?」
やっぱり僕の世界の常識とズレてんな……。
だからと言って何も持っていかないのはそれはそれで不安になる。
「チャウィ。そういえば二階の部屋にあった白い何も書いていない本ってなんなの?」
「あ?あー、あれはスキルカード使いには必ず配られる本らしいぞ。俺はスキルカード使いじゃないから、どんなものかは知らないが」
結構大事ものではないか。やっぱりちゃんと確認して良かった…。急いで二階の部屋へと向かい、白い本をバックに入れて階段を駆け下りる。
「何で走ってるんだよ…」
「学校に行くのが楽しみで、つい…」
少し息が上がったが、久しぶりに行く学校というものは楽しみだ。実際僕が通っていた学校という訳ではないが、僕はこの通りもう学校に行かない身だ。だからか、こんなにもウキウキと胸を高鳴らせているのかもしれない。
「準備は出来たのか?」
「もちろん」
自信満々に言うとチャウィは小さい妖精サイズになり、僕の頭の上に乗る。
「ちょ、チャウィ。案内は?」
「案内はするから安心しろ。ただ歩くのが面倒だからお前の頭の上に乗っているだけだ。」
妖精という体はどうやら楽そうだ。羨ましい面もあるが、そこは人間で良かったと思うべきだと思った。
チャウィを頭に乗せて僕は外に出る。そういえば考えてもいなかったが、最初に二階の部屋から外を見渡したあたり近くに学校なんて見当たらず、永遠と緑の森が広がっていた……そんな気がする。
「ねぇ、チャウィ。…歩いて学校へ向かったら何時間ぐらいかかる?」
「んー。考えたこともなかったが…120時間は最低でも掛かるんじゃないか?」
「え"…………?5日も?」
「んまぁ…5日もだな。」
チャウィが頭に乗るのも納得だ。5日間も掛かる道のりを歩きたくないのだ。前言撤回。おのれぇえ……サイズ変えられるとかずるいな。正直チャウィが羨ましい。
「チャウィ……歩きたくない。120時間も掛かる道の歩きたくない。」
「だろうとは思っていた。取り敢えず左の道を歩け。そしたら近くにバス停があるぞ。」
バス停?聞き間違いではない。今、バス停と言ったのか?なんだ……驚かさないでほしい。本当に120時間(5日間)も掛かる道のりを歩かされるのかと思った。
チャウィに言われたように左の道を歩くと、本の数分でバス停らしき場所に着く。さっきまでの砂利道とは違って大きく開けた場所だ。
「チャウィ、ここ?」
「そうだぜ。取り敢えずそこのボタンを押してみろ」
「分かった」
バスのマークが描いてある看板にボタンが付けられている。普通なら時刻表などがついているが、そんなものは見当たらない。
取り敢えず、チャウィに言われたようにボタンを押すと『プンッ』と飛行機の機内にある呼び出しボタンに似たように音が鳴ると、バスのマークが僕の知らない文字らしきものが電光掲示板のように変わり、流れている。
「チャウィ。なんて書いてあるの?」
「ん?…あー、しばらくお待ちくださいって書いてあるぞ…って!お前、字も読めない程の記憶喪失かよ」
「あ、うん。」
僕が苦笑いを浮かべていると、煙幕…いや霧のような煙が現れ、それに紛れるかのようにバスが現れる。
「おぉお!!何コレ凄い!!カッコイイ!」
思わず目が輝いてしまう。何かの名シーンでありそうな登場仕方だ。凄くカッコイイ。1度目の前でこんなもの見てしまうと口が空いてしまう。
バスのドアが開き、誰かが降りてくる。
「今日はどちらまで行きますか?」
大人びた紳士的な人らしき人はニッコリと優しそうな笑みを僕らに向ける。
「よぉ!カロさん。僕達は学校まで乗ってくぜ」
「これはこれは…チャウィさんと陀璃亜さんではないですか。今日は空いていますので、数分で着くと思いますよ」
「!?」
僕の名前を知っている?この世界に来たばかりと思っていたが…やっぱりこの世界には別の僕が存在していたのだろうか。
………って、120時間の道のりをバスだと数分!?
「チ、チャウィ。この人誰?」
「そうか…記憶喪失だったな…。この方は、カロさんだ。警察の中でもエリートでとっても偉い方だ 」
うぇ!?ただの優しいバスの運転手だと思ったら…なんかめちゃめちゃ偉い方に見えてきた。
「ぇ?なんでそんなエリートで偉い警察の方がバスの運転してるの?」
「それは私からご説明致しましょうか?」
「おう!よろしくな。コイツ記憶喪失だからカロさんの事覚えていないみたいなんだぜ」
やばい…なんか様つけた方がいいよな。
「ありがとうございます…カロ様。」
「カロ様…?」
「様だなんてとんでもございません。私は、様を付けるほどの者ではございません。気軽にカロさんと呼んで下さい。」
…さん付けている時点で気軽じゃない。
いや、そんなツッコミも出来きそうにない。
「…そんな大層なものではありませんが、バスの運転手になって下さる方も居なく、警察である私がやっているまでです。」
「少し加えるとだな、人数が足りない職業は全部警察がやっているって訳だぜ。」
警察は大変そうだ…。ただでさえ本職の仕事もあるだけだろうけど他の職業もこなしてしまうという事だ。
それに、カロさんは全然疲れた様子もなく優しそうな笑顔でいる。エリートなだけあるなぁ…。
「カロさんって、凄い人なんだなぁ…」
「いえいえ。私はそんな凄くはないですよ。」
「何やってんだ、陀璃亜。早くバスに乗るぞ」
「えっ!ちょ…待ってよチャウィ!」
チャウィはいつの間にか頭に乗っていなく、バスに乗っていた。慌てて僕も乗り、窓から僕達の様子を見ていたチャウィはまるで虫。
「誰が虫だと!?」
一瞬で人間サイズに変わったチャウィは僕の頬を掴んではニッコリと笑みを浮かべる。カロさんとは全然違うその絵顔はまるで殺意をぐっと堪えているようでだだ漏れている。
「あにゃたにはこきょりょをよむちかりゃがありゅんでしか…」
「お前とは契約関係だから何となくわかるんだよなぁ…。それで?俺に何か言う事あるんじゃないか?」
「ひゅみまふぇんへひは」
「清々しい顔で俺の事を虫とか思ってんだー?俺は別に怒っているわけじゃぁないんだぞー。」
「ひゃふひはん。ほわひへふ。はほ、はひゃひへふはひゃひ」
「おぉ。そうだな。仕方ないから離してやろう」
痛たたた……。顔に後がついていそうなレベルで痛かった。チャウィは怒ってないと言ってたわりには殺意が笑顔から離れて出ていた。ふぅ…全く恐ろしい。ゆっくり立ち、チャウィの隣の席に座る。
「ご乗車して頂けましたか?それでは出発します。」
ドアが閉まる音がするとバスがゆっくりと動くのが分かる。
「陀璃亜。しばらくの間は窓の外を見ない方がいいぞ。」
「なんで?」
「酔うからだ。」
普通は酔う人は外を見るはずだが…ここでもまた僕の世界の常識は通用しないようだった。
仕方なく、チャウィに言われた通りに窓を見ずに下を向く。外を見ていないのに何となくだが、もうここはさっき居た場所ではない別の空間だと分かった。まるで飛行機にでも乗ったかのようにバスが浮いているような感覚と耳がキーンと鳴り響く。数分が立ち、バスが止まるのか分かった。
「チャウィさん。陀璃亜さん。着きましたよ。」
「陀璃亜、もう顔を上げていいぞ」
チャウィとカロさんに言われ、顔を上げる。
すると窓の外には120時間(5日)も掛かると言っていた学校があった。
「すご………。本当に数分で着いたのか?」
思わず口が空いてしまう。僕はバスの中で立ち尽くしていた。
「陀璃亜。アホな面してないで降りるぞ。」
ハッとしながら呆れるチャウィを追いかけるようにしてバスを降りる。
カロさんもどうやら先に降りていたらしく、2人が外で待っていた。
「カロさんありがとうな。」
「ありがとうございます!」
僕達はカロさんに礼を言い、お辞儀した。
「いえいえ。私の仕事でしたので…。それでは私は次の仕事がありますので、またの機会にお会いしましょう。」
優しそうな顔でそういうとカロさんはバスに乗り、バスは霧のような煙の中に消えていった。
僕達は最後の霧がなくなるまで立っていた。
「よし……学校に入ろうか。」
「そうだな。」
僕らは正門を通り、校内に入る。
いつの間にか小さい妖精サイズになっていたチャウィはまた僕の頭に乗っている。
学校なだけあり、家に居たときよりも人の気配がする。ガヤガヤとしている教室やシーンと静まり帰った教室。どの場所も新鮮味があってウキウキしてしまう。
「チャウィ。」
「なんだ?」
「僕の教室どこ?」
「それならここだぞ。」
危なかった。聞かなかったらこのまま通り過ぎてしまう所だった。危ない…危ない。
ここが僕の教室…。僕はドアを開けるのに躊躇してしまい、ドキドキとした緊張する心を落ち着かせる為に息を呑む。
「どうした?開けないのか?」
「ちょっと待ってほしい。緊張してるから落ち着かせる。」
「そうか」
チャウィに急かされ、ドアを開けようと手にかける。しかし、ドアが勢いよく開き、出てきた女性とぶつかってしまう。僕は尻もちをついていたが、女性の人はビクともしていないのか。当たった事にすらなっていないのか、普通に立っている。
「来ていたのね」
僕はその短い単語だけを述べた喋りに何か覚えがある気がする。あ、そうだ。この黒髪の人は確か……チャウィが言っていた担任の先生?
スーツ姿で普通の人とは何ら変わらない様子だ。
僕の世界の常識が通用しない、非日常的な体験をしてきた僕にとってはまともな人に見えないくらい安心した。
「地べたに座るのが好きなのかしら」
あ…、違いました。普通の人じゃなかった。目も赤いしドSだったよ。
差し伸べられた手を掴み、僕は立ち上がる。
「授業は終わりよ」
「…え?てことは…もう放課後?」
「…ええ。」
ここまで来たのに放課後かぁ…。なんというかとてめガッカリするように肩を落とす。
「用があるなら職員室に来なさい」
そう言い残すと素早い足取りで歩いていってしまう。
「そう気を落とすなって…。授業が終わったところでクラスメイトとの会話ぐらいは出来るんじゃないか?」
ん?そうか。…そうだ。授業が終わったところで放課後というものがあるじゃないか!学生時代はよく放課後の教室に遅くまでいて怒られたなぁ…。なんて学生時代の思い出に浸ってしまう。
「そうだよなぁ。よし!放課後だけどクラスメイトの1人や2人くらい教室にいるだろうし、教室に入ろう!」
そうして僕はウキウキとした心で、ドアを勢いよくドアを開ける。
「あれー。おかしいなー…、教室ってこんなに生臭かったけ?それに教室に入ったときビシャって……。それに………窓って赤黒くて教室は暗かったけ…?あ!そうか!教室を間違えたんだ!」
「いや、この教室であってるぞ」
「やだなー…チャウィ。こんなにバーベキューパーティみたいになっている場所が教室なわけないよー。100歩譲って調理室だよー」
「いーや。ここがお前の教室だぞ」
「嘘でも違う教室だって言ってよぉ!!ぁああぁ!!今すぐ脳内から抹消したい記憶だよぉお…」
こんなの乱闘でもあったのだろうか?血と肉の塊でいっぱいのこの空間が僕の教室というのは本当と書いてマジと読むくらいで嫌だ。
僕の平凡で何1つ変わらない常識的な世界に帰りたい。僕の学生時代に戻りたい…。
「…あの、……もしかして…陀璃亜くんですか?」
血と肉の塊の空間に恐怖で怯えているようなトーンではなく、普通に話すよえなトーンで僕に話かける天使のような声の女の子が1人教室に居た。
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