【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

ma-no

文字の大きさ
183 / 522
八章 夜遊びの自主規制

183 取り調べ

 その日、帝都学院に激震が走る。

 寮の一室で血塗れのニコライの死体が発見されたからだ。

 その騒ぎでこの日の授業は休講。生徒は必要最低限しか部屋から出ることを禁止され、寮内には多くの警備兵が歩き回っている。

「こんだけ騒ぎになってるのに、よく寝れるな……」

 それなのにフィリップは爆睡してるのでボエルは呆れ顔。マーヤもウンウン頷いてる。
 昨日は気持ちを落ち着かせるために娼館に足を運んだし、仮病を確定させるために寝るのが朝になったからフィリップは起きられなくなっているのだ。

 それから夕方前になったら、ようやくフィリップは目を覚ました。

「ふぁ~。おはよ~う」
「もうじき『こんばんは』だ」

 そこにはボエルの顔があったからフィリップは挨拶したけど、ボエルはイライラしてる。

「なんか機嫌悪い? マッサージしよっか??」
「どう見たらそんなことしてほしいように見えんだよ」
「僕の願望。たまにはマッサージで起こされたいな~。あ、立って来ちゃった」
「はぁ~~~……」

 フィリップがエロイ顔でゴソゴソし出したので、ボエルは大きなため息を吐いてから真面目な顔で語る。

「ニコライが殺された」
「……へ??」
「だから、昨夜、ニコライが何者かに殺されたんだよ」
「……」

 フィリップは言葉を失ったかのような演技をしてから確認する。

「マジで言ってんの?」
「ああ。そのせいで寮内は大騒ぎだったんだぞ」
「そっか~……神様っているもんだね」
「どうだかな」

 フィリップのボケには、ボエルは付き合わない。

「警備兵が殿下に事情を聞きに来たんだが、寝ていたから帰したぞ」
「僕に? なんで??」
「揉めていたからだろう……ここ数日、体調を崩していたとも説明しておいた。けど、できるだけ早く話をしたいそうだ」
「そりゃ動機があるとしたら、僕が疑われるか。リネーア嬢は大丈夫だった?」
「ああ。殿下の庇護下にあるから、殿下と一緒じゃないと応じないと言っておいたからな」
「グッジョブ。ありがとね」
「これぐらいは……」

 どうやらニコライが殺されたと聞いたリネーアは、また精神的に不安定になっていたから男の兵士には会わせられなかった模様。
 ニコライの死を聞いたリネーアは狂ったように笑っていたから、下手したら犯人に仕立て上げられそうなので、守るためにはフィリップの名を使うしかなかったみたいだ。

「また疑うようなこと言っていいか?」
「僕が殺したって言いたいの?」
「そうだ……殿下はオレの目を盗んで消えることがあるから心配で……」
「まぁかくれんぼや鬼ごっこは得意だけどね~……対人戦は自信ないや。魔法も使えないし、剣とかの授業もサボって寝てるし」
「だよな。殿下じゃないよな。オレは何を疑ってんだよ……」
「普段の行いが悪いもん。ボエルが疑っても仕方ないよ。素行の悪い主でゴメンね」
「殿下が謝るなよ……疑ったオレが悪いのに~。ううぅぅ」

 ボエルは自分をいて涙し、そんなボエルを抱き締めるフィリップであった。

(噓ばっかりついて、ゴメンねゴメンね~)

 心の中ではふざけた謝り方してるけど……


 それから夕食にしたフィリップたちであったが、リネーアは寝室から一向に出て来ない。少し様子を見ていたフィリップであったが、食事を終えると1人で寝室に入って行った。
 そこでは、リネーアはただただ天井を見詰めて寝転んでいたので、フィリップは黙ってベッドの端に腰掛けた。

「殿下が殺してくれたのですか?」

 静寂の流れる寝室に、リネーアの掠れる声が聞こえると、フィリップは首を横に振った。

「ううん。ゴメンね。僕じゃない」
「そうですか……」
「もうひとつ謝ることがある。僕が殺すって言ったの、アレ、噓なんだ。君に、恨みでも希望でもなんでもいいから、生きる目標を持ってほしかったの。本当にゴメン」

 フィリップが頭を下げると、リネーアは涙を溜めた目を向けた。

「もう、いいです……」
「君のかたきを殺したヤツは、僕が必ず探し出す。だから希望を捨てないで。ね?」
「大丈夫です。アイツが死んだんですから……ざまぁみろです! あははははは」

 狂ったように笑うリネーアを、フィリップはベッドに登って抱き締めた。

「複雑だね。いくらでも笑って泣いて。そして生きて。長く生きれば生きるほど、君の勝ちだ。幸せになればなるほど、死んだニコライが悔しがるよ。ね?」
「はい……はい……うわああぁぁ~~~……」

 この日はリネーアが泣き疲れて眠るまで、フィリップは抱き締め続けたのであった……


 フィリップたち3人でリネーアを一晩中見張った翌日、フレドリクが警備兵を引き連れてやって来た。

「もう体調はいいのか?」
「僕はね。リネーア嬢のほうは配慮してほしいかな? 今まで一歩も部屋から出てないのは、僕たちが保証する……って言っても、無理か」
「まぁ少しは話を聞かないとな。私だけで対応するということで手を打ってくれ」
「僕も立ち合っていいならね」

 お互い納得がいくと、まずはフィリップの尋問を始めたが、フレドリクもそこまで疑っていないようだ。

「うむ……フィリップが寝込むと長引くことが多いのだから、不可能だな。ボエルなら剣の扱いは上手いから、可能性はゼロではないが……」

 なので本命はボエル。疑われたボエルは青い顔をして何か言おうとしたが、フィリップが割り込んだ。

「ボエルもないよ。僕、リビングで寝てたけど、誰も通った感じなかったもん。出てったなら、3人もいて1人も気付かないワケないよ」
「可能性の話だ。だが、いま可能性はゼロになった」
「どゆこと??」

 フレドリクが犯人疑惑を外すと、フィリップたちは同時に首を傾げた。

「いまの質問は、剣にどう反応するかを見ていたのだ」
「剣? ……あ、毒殺ってこと??」
「まだ死因は発表していないから、口にはできない。ただ、毒殺でもないとだけ言っておく」

 フィリップは殺害方法を知っているから、『剣』というワードはフレドリクのカマかけだと気付いたから知らない演技をしている模様。
 ちなみにフレドリクも本当の死因がわかっていない。ニコライは氷の礫で穴を開けられたから、死体を発見した頃には凶器は解けてなくなっていた。だからできることと言えば、怪しい者にカマを掛けてボロを出すのを待つしかないのだ。

「そんなに変わった殺され方だったんだ……てことは、プロの暗殺者ってこと?」
「可能性は高いな」
「なら、僕も容疑者から外れないか~」
「いや、フィリップは外部の者に知り合いがいないから外せる。貴族とも関わりがないからな」
「どうせボッチですよ~だ」

 次の質問はフレドリクに憐れんだ目を向けられたので、演技ではなく寂しそうにするフィリップ。しかし、フィリップは完全にシロだと決定付けられた。

「では、ヘディーン令嬢の下へ案内してくれるか」
「うん」

 ボエルとマーヤへの取り調べも終わると、寝室にいるリネーアの下へ。リネーアの憔悴しきった顔を見ただけで、フレドリクはシロと決め付けて取り調べは終わる。

 こうして天才フレドリクすら、騙し通したフィリップであった……

*************************************
この回で『凶器は解けてなくなる』という表記がありますが、氷が自然に水になる場合は『解ける』と書くみたいですので、間違いというワケではありませんので誤字報告は必要ありません。
というか、どこかで使ってるとかもしれませんので『解ける』で統一させてください。お願いします。
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!