【完結】悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子

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三章 引きこもり皇子、働く

066 抜き打ち査察が終わったあと……

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 屋根裏部屋にノックの音が響くと、ウッラではなくフィリップが対応していたので、呼びに来たメイドは首を傾げて帰る。
 フィリップが対応した理由は、フィリップの着ているスカートの下はパンツを穿いていなかったとだけ言っておこう。それで想像してくれ。

 それから2人とも服装を念入りに確認したら、ヘラヘラ笑いながら階段を下りて、フィリップだけ執務室に入る。
 そこには、病人姿のホーコンとエステルが待ち構えていたので、フィリップは定位置のソファーにゴロン。

「中身が見えていましてよ?」
「あ……キャー! ……で、いいのかな?」
「足を閉じるだけでいいのですわ」

 いまだスカートを穿いたままだったので、フィリップはパンツ丸出しになったからエステルに注意を受けてから、本日の報告だ。

「ふ~ん……抜き打ち査察は途中打ち切りで、メガネ君は血相変えて帰ったと……」
「少し言いすぎてしまいましたか?」
「いや。現実を突き付けるには、いいタイミングだったんじゃない? ご苦労様」
「はっ!」

 フィリップが労うと、エステルはいい返事。だが、フィリップは難しい顔をしたままなので、ホーコンもエステルも気になっている。

「やはり、死者数が気になりますか?」
「まぁね~……」
「エリクは、どれぐらいの数になっていると予想しておりますの?」
「う~ん……派閥の頑張りのおかげでかなり減らせているから、7.800万人ぐらいになると思う……東側は、できるだけ多くの人が帝都に辿り着いていることを祈るしかないね」
「最悪、800万人もですか……」
「痛手ですな……」

 フィリップの予想で重たい空気が流れたが、フィリップは手を鳴らして吹き飛ばす。

「もう終わったことだ。僕たちは未来の危機の対策に力を入れようよ」
「「はっ!」」

 珍しくよく喋るフィリップ。そのことにエステルたちは心配に思ったが、いまは何も言わずに付き合っている。

「そういえば、メガネ君って慌てて帰ったんだよね? もしかしたら、他国の麦はここで独占できるかも??」
「どうしてですの?」
「たぶんあいつ、買い付けも頼まれていたんだと思うんだよね~」
「それを忘れて飛んで帰ったのですか……それはそれで悪いことをしましたわね。ウフフ」

 エステルが悪い顔で笑っているが、ホーコンはまったく乗らない。

「つまり、近々ハルム王国が攻め込んで来ると?」
「あ……」
「辺境伯、あったり~。暖かくなったら、そろそろ来るよね~? うちに来てくれないかな~??」
「戦をワクワクして待つなんて、エリクぐらいですよ。私でも来てほしくないのに……わかりました。密偵を多く放っておきましょう」
「やった~。ありがと~」

 フィリップが万歳して喜んでいるので、2人は呆れ顔。でも、元気が出たから「まぁいっか」とも「それはそれで怖いね」って目で語る2人であった。


 それから夕食ができたとメイドがやって来たので3人は食堂に移動。そこで辺境伯夫人が大笑いして周りに伝染したので、フィリップとホーコンは今頃まだ変装中だったことに気付いて恥ずかしそうにしていた。
 そうして食事が終わるまで笑われた2人はダッシュでお風呂に入り、フィリップがベッドに飛び込んでウトウトしていたら、ノックもなしにエステルが入って来た。

「んん? えっちゃん、いらっしゃ~い」

 なのでフィリップが手を広げて飛び込んで来るのを待っていたが、エステルはゆっくりとベッドに入った。

「いつものように飛び込んで来てくれていいのに~」
「そんなはしたないマネ、一度もしたことないですわよ? 誰と勘違いしていますの??」
「冗談じゃん。そんなに睨まなくていいのに……」

 確かにフィリップは何人ものそんな女性と一夜を共にしたことがあるけど、今回は本当に冗談で言ったので頬を膨らませている。

「こうすればよろしいのですの?」
「オッフ……」

 なのでエステルはフィリップの顔を胸に埋めて機嫌を取った。おかげでフィリップはもう笑顔。揉んでるし……

「思ったより元気そうでよかったですわ」
「なんのこと?」
「夕方のことですわ。無理に明るく振る舞っているように見えましたので」
「あ~……えっちゃんにはバレてたか~」

 フィリップは顔を埋めたまま喋る。

「本当はね。兄貴なら何か手を打っていると期待していたの。それでね。悲しみ半分、怒り半分。兄貴をここまで馬鹿にした聖女ちゃんに怒り半分だったんだよ」
「そうですわね。陛下の本来の能力なら、何かしていてもおかしくないですわね。でも、馬鹿皇后の半分を入れたら、1より多くなりますわよ?」
「あ……じゃあ、ほとんど怒りだったんだ。アハハハ」
「本当に……あの2人には、怒りしか湧きませんわ。ウフフフ」

 怒っていると言っているのに、笑い合う2人。

「それにしても、殿下は陛下のことを慕っていたとは初耳ですわ」
「そりゃ、いつもあの笑顔で優しくしてもらっていたんだよ? 男でも惚れてまうよ~」
「男どうしで……ですの?」
「いま、変な妄想したでしょ?」
「し、していませんわ! わたくしも子供の頃の陛下との思い出が頭によぎっていたのですわ!!」
「ふ~ん……僕とこんなことしてるのに、他の男のことを考えていたんだ……」

 エステルが変な逆ギレの仕方をしたので、フィリップは拗ねたように頭をグリグリして来るからエステルも困ってしまう。

「ち、違いますのよ……」
「わかってるって。ちょっとした冗談だよ」
「殿下は意地悪ですわ……」
「そうかな~?」
「そうですわ」
「どうだろうな~?」
「そうで……ん……」

 不毛な言い合いは、フィリップがキスでエステルの口を塞いで終了。それから何度も唇を合わせ、幸せな気分のまま眠りに就く2人であった……
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