忍チューバー 竹島奪還!!……する気はなかったんです~

ma-no

文字の大きさ
8 / 93
壱 忍チューバ―漂流記

08 生還の巻き

しおりを挟む

「あ~~~……死ぬかと思った~~~」

 オッス。俺は忍チューバー服部半荘こと田中半荘だ。
 今日で漂流五日目だ。

 昨日の海は大荒れで、ボロ船は揺れまくり、ひっくり返りまくり、俺も落ちまくりだったよ。
 さすがの俺も、死を覚悟したね。
 いや、生きてるのが奇跡だ。

 たしか出港する前に見た天気予報で、日本の遥か南で台風に発展するかもと言っていたか。
 昨日の感じだと、台風だったんだろうな。
 当初の予定では、その日は陸で過ごす予定だったのに、大荒れの大海原で過ごすとは……

 まぁこれも経験だ。
 生きているのだから、儲けものだ。

 とりあえず、荷物を確認しよう。

 う~ん……全部あるかな?
 怪しい雲があったから、念のためワイヤーでくくりつけて正解だったな。
 何せNASAがどうのってワイヤーだ。
 細いのに、まったく切れない。
 俺の相棒と言っても過言ではないな。

 だがしか~し!!

 ボロ船がヤバイ……

 なんとか形は保っているが、板がずれて、底から水が染み出している。
 着ていた服を破いて詰めてみたが、沈没は時間の問題かもしれない。

 仕事道具の忍び装束は、最終手段だから、まだ出番はあとだ。
 陸に着いて、パンいちでは恥ずかしいからな。

 しかし、今日こそ陸を発見できなければ、沈没は確実だ。
 そこからは、海に浮かぶしかない……

 そうなったら、さらに空からの発見が難しくなるんだろうな~……

「ここで俺は死ぬのか……」

 まぁ数奇な運命だったが、ここ一年ちょっとは良い思いをしたんだから、死ぬのは怖くないか。
 子供の頃に比べて、うまい物をいっぱい食ったしな。

 焼肉、ハンバーグ、トンカツ、カレー……

「あ~~~……やっぱり、もう一回食いて~~~!!」

 航海して後悔……

 フフ。オヤジギャグも冴えないな。
 あとは神頼みしかない。
 まだ食料も水もあるんだ。

 なんとか島が見えるまで、ボロ船よ……持ってくれ!
 それだけでいいんだ!

「神様~~~! 帰ったら、近所の神社に行くから、見捨てないで~~~!!」


 そうして俺は、夜になっても360度見渡し、島を探し続けたんだ。

 俺の願いはもちろん……

「光! 光が見える……島だ~~~!!」

 届いた!!

 幻惑? 蜃気楼?

 そんなもんしるか!
 この遭難で、初めての光だ。
 ボロ船も、もう持たない。
 この希望にすがるしかないんだ。

 そこからは、力いっぱいオールで漕いだよ。

 島まで数キロ……

 体力を温存していたけど辛い。
 ボロ船は軋み、海水が入って来る。
 いつ沈んでもおかしくない。

 それでも力いっぱい漕ぎ続けたら、島の全貌が見えて来た。

 あれが島か……小さいな。
 とてもじゃないが、人が住んでるように見えない。
 だが、灯台のような光が見えるから、誰も居なくても、連絡するような施設があるかもしれない。

 ラストスパートだ~!

 俺はそう思って力を込めたのだが、ボロ船のほうが持たなかった。
 嵐でダメージがあったにも関わらず、波を越えようと無茶をしたせいで、ついに至る所から海水が吹き出した。
 俺は荷物を持って海に飛び込み、船の残骸をかき集めて荷物を乗せるボートにする。

 ありがとよ……

 残りの残骸に礼を言うと、俺はがむしゃらに泳いだんだ。
 ライフジャケットがあるから沈む事はない。

 それに俺は、忍チューバー服部半荘だ!

 忍者泳ぎで、遠泳ならお手のもの。

 手を動かし、足を動かし、休む事なく生にしがみつく。


 そうして何時間経ったであろう……

「ハァハァハァハァ……」

 俺は生きて、島に辿り着いたんだ。

 そうして俺は、ペットボトルの水をがぶ飲みして大の字に倒れた。

「ハァハァ……もう動けね~~~!!」

 生還の喜びよりも先に、俺の体力が尽きて眠りに就くのであった。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんの前世は猫である。その秘密を知っている私は……

ma-no
キャラ文芸
 お兄ちゃんの前世が猫のせいで、私の生まれた家はハチャメチャ。鳴くわ走り回るわ引っ掻くわ……  このままでは立派な人間になれないと妹の私が奮闘するんだけど、私は私で前世の知識があるから問題を起こしてしまうんだよね~。  この物語は、私が体験した日々を綴る物語だ。 ☆アルファポリス、小説家になろう、カクヨムで連載中です。  この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。  1日おきに1話更新中です。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

後宮の寵愛ランキング最下位ですが、何か問題でも?

希羽
キャラ文芸
数合わせで皇帝の後宮に送り込まれた田舎貴族の娘である主人公。そこでは妃たちが皇帝の「寵愛ランク」で格付けされ、生活の全てが決められる超格差社会だった。しかし、皇帝に全く興味がない主人公の目的は、後宮の隅にある大図書館で知識を得ることだけ。当然、彼女のランクは常に最下位。 ​他の妃たちが寵愛を競い合う中、主人公は実家で培った農業や醸造、経理の知識を活かし、同じく不遇な下級妃や女官たちと協力して、後宮内で「家庭菜園」「石鹸工房」「簿記教室」などを次々と立ち上げる。それはやがて後宮内の経済を潤し、女官たちの労働環境まで改善する一大ビジネスに発展。 ​ある日、皇帝は自分の知らないうちに後宮内に巨大な経済圏と女性コミュニティを作り上げ、誰よりも生き生きと暮らす「ランク最下位」の妃の存在に気づく。「一体何者なんだ、君は…?」と皇帝が興味本位で近づいてきても、主人公にとっては「仕事の邪魔」でしかなく…。 ※本作は小説投稿サイト「小説家になろう」でも投稿しています。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...