アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光にゃ~

ma-no

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11 高いお買い物にゃ~

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 仕事をしてお金持ちになったわし達は……

「さあ……買い食いにゃ~!」
「「「にゃ~~~!」」」

 気合いを入れて夜の町に繰り出した。別に気合いを入れる必要はまったくないけど……あと、コリスは気合いを入れすぎないでくれ。大金が消えてしまいそうじゃ……

 コリスには高級串焼きを間につまませつつ、露店を右から左に大人買い。異世界の料理は見た目も面白い物があるから、買い食いが止まらないのだ。

「料理のプロから見てどうかにゃ?」
「味は濃ゆいだけでいまいちね。あたしが作り直したほうが、ぜったい美味しくなる自信あるわよ」
「B級料理にゃんだから仕方ないにゃろ~」

 わしの聞き方が悪かったので、べティは一流料理人モード。料理を一口食べては店主にダメ出ししてる。

「コリスはどうにゃ? 美味しいにゃろ?」
「うん! 星みっちゅ!!」

 コリスに尋ねたのも失敗。よっぽど辛いモノ以外は「星みっちゅ」なので聞いた意味がない。でも、かわいいからまぁいっか。

 それからも写真を撮りつつ買い食いを続けていたら、べティは自分でも作りたいと言っていたので食材も暴買い。次元倉庫に入れておけば腐ることもないのだから、元の世界に帰ってから皆に振る舞ってあげてもいい。
 お腹もいっぱいになると、今夜の宿に移動。露店の店主から聞いた一番料金のお高い宿屋に入ってみた。

「御客様……じゃねぇな。とっとと出て行きやがれ。シッシッシッ」

 あきらかにお金持ちっぽくないわし達を見た人の悪そうな顔の従業員は、軽蔑するような目で追い払おうとするので、わしはイラっと来た。

「こ~んにゃにお金持ってるのににゃ~……態度が悪いから他の宿にするにゃ~」

 なので、金貨がパンパンの皮袋を開けてすぐにしまってやったら……

「お待ちしており! お荷物は少ないようなので、そちらのお嬢様をお持ちいまそかり!!」
「それって敬語のつもりにゃの??」
「あたしは荷物じゃな~い! 離せ~!!」

 わしが金持ちと知ったら、従業員は焦りまくりでべティを担ぐ。今ごろ鴨がネギしょって来たと思ったのだろう。もしくは、上司が怖いのかな?
 最初は気に食わない顔をしていたが、なかなか面白いからべティを担がせたまま一番お高い部屋に通してもらった。

「「広いにゃ~」」

 用意してもらった部屋は、何部屋もあるスウィートルーム。残念ながら一番の部屋は客が居るらしく、二番目だ。でも、これだけ広ければ文句はない。ていうか、わし達にはこんなにいらない。

「明日には上の部屋が空きますので、それまではこちらでご容赦ください」
「あ~……料金表と部屋の間取りが書かれた物ってないかにゃ?」
「と……言いますと?」
「参考までににゃ~」

 値段は特に気にしていないのだが、もう少し狭い部屋に移動したい。なので、従業員にはチップを握らせて無理言って急いで持って来させた。
 広すぎるお風呂で今日の疲れを流したら、晩酌しながら明日の部屋を決め、各自日記も付けたらキングサイズのベッドにダイブ。

「べティは隣の部屋を使えって言ったにゃろ~」
「広すぎて居心地悪いのよ~」

 わしとコリスとノルンの甘い時間を邪魔するべティ……猫とリスと妖精では、どう考えてもそんなことが起こるメンバーではないので、べティも安心してわしと同じベッドで眠るのであったとさ。


 そして翌朝……

「キャッ! エッチ~~~!!」

 わしを抱き枕にして寝ていたクセに、べティは痴漢扱いして投げ捨てやがった。

「そこは撫でにゃいで~。ゴロゴロ~」

 しかし、わしは幸せな夢を見ていたから目覚めず。壁にぶつけても目覚めないわしを見て、べティは呆れて痴漢問題はどうでもよくなったようだ。いや、自分が悪かったから、そっと蓋をしたみたいだ。

 しばらくわしとコリスは熟睡していたが、朝食が運ばれて来てべティが対応してくれていたら、コリスに噛まれたから目が覚めた。起こしてくれたのだろう。
 目を擦るコリスの手を引いてダイニングに移動したら、朝からテーブルいっぱいのメニューをペロリと平らげる。青い顔をしているべティは、朝はそんなに食べないタイプのようだ。

「いや、二人の食事量が異常なだけよ? わかってる??」

 ちょっと心の中でボケただけなのにべティがうるさいので無視して、ノルンに魔力をあげながら従業員に部屋の移動の手配。この高級宿屋でだいたい六番手の部屋。
 部屋数は少ないもののキッチンお風呂完備で使い勝手が良さそう。お値段は二番手の部屋より半分以下で、おサイフにも優しい部屋をリクエストしてみたら……

「チッ……一日だけかよ」

 従業員は初対面の時の顔に変わった。

「やっぱキャンセルにゃ。この宿と敵対してるとこに大枚落とすにゃ~」
「そ、それだけは! お嬢様を返してほしければ、一番高い部屋にお泊まりなさい!!」
「やっぱお前だけクビにしてもらえるように頼むにゃ~」

 面白くても、子供を人質に取る輩は許せない。従業員のことはべティに丸投げし、わしは大声でオーナーを召喚する。

「息子が申し訳ありません!!」

 その結果、べティにボコボコにされていた従業員はクビ決定。元々イエローカードを出されており、つぎ何かやらかしたらレッドカードを出す予定だったようだ。そこにわし達が偶然現れたから、ポイント稼ぎをしようとしてたっぽい。
 オーナーからは、お詫びで一番高い部屋に泊まるように勧められたが、広い部屋は居心地が悪いので、予定通り六番手をお願いする。この部屋は三割引きで泊まっていいそうなので、ラッキー。
 わしは人がよさそうなオーナーと世間話しながら、ぐうたらするのであった。


「へ~。さっきのは次男だったんにゃ~。長男が継ぐことを告げたからブーたれてたんにゃ~」

 世間話がなんだかオーナーの愚痴に変わった頃に女性従業員が部屋に入って来たので、移動の準備が整ったと思ったのだが、ちょっと違う。

「シラタマ様を探している者が居るようです。いちおうお客様の情報はとぼけるように指示を出していますが、いつまで嘘が通じるか……もしなんでしたら、他の国にある系列店を紹介しましょうか?」
「あ~。たぶん知り合いにゃ。お城関係の人じゃにゃかった?」
「あっ! それでしたら、知らない振りをするほうが失礼だったのでは……」
「いいにゃいいにゃ。気にするにゃ。そこまで親しいわけじゃないからにゃ。また来たらロビーにでも待たせておいてにゃ~」
「はあ……」

 城からの使いなんて、面倒なので塩対応。オーナーは何か言いたげだったが、さっきの女性従業員が部屋の準備ができたと呼びに来たので、そちらに案内してもらった。
 部屋を変え、オーナー達が出て行ったら、ベッドにダイブ。このままお昼寝……

「にゃに?」

 お昼寝に突入しようとしたら、べティに持ち上げられてしまった。

「遊びに行こうよ~」
「昨日、いっぱい働いたからいいにゃろ~」
「え~! 突然戻される可能性もあるんだから、行こうよ~」
「揺らすにゃ~!!」

 レベルアップの影響でべティのステータスも上がっているから、大人に揺らされているようで気持ち悪い。なので、お金を渡して一人で行って来いと言ったら寂しいとのこと。
 そんなの知らんがなと突っぱねたけど、べティはコリスを買収しやがったので、わしはコリスのモフモフロックで連行されるのであった。

「じゃじゃじゃ~ん! 魔法の服屋さんよ!!」

 べティは昨日、冒険者ギルドで服屋の情報を得ていたのか、目的地に着いたら両手を広げて「バーンッ!」と紹介した。

「モ、モフモフ、モフモフにゃ……」
「起きなさい!!」

 しかし、コリスのモフモフに埋もれて怖い夢を見ていたわしは、べティにどつかれるのであった。


「ムチで叩くにゃんてひどいにゃ~」
「シラタマ君が起きないからでしょ」

 服屋に入っても「にゃ~にゃ~」喧嘩。ローブローを喰らったから、ちょっと痛かったのだ。

「ヒッヒッヒッ。かわいいお客さんがいっぱいだね」

 二人で「にゃ~にゃ~」言い合っていたら、魔女っぽい服をどぎついパッションピンクで染めたファンキーな老婆が店に出て来たので、わしの目が痛い。

「わっ! よく見たらプリーツまでついてる。魔女の服をここまで逸脱するなんて凄いわね」
「ヒッヒッヒッ。お嬢ちゃん、ドワーフなのに見る目があるね」
「ドワーフじゃないわよ」
「ん? 年齢がひゃ……」
「がるるぅぅ!」
「ああ。そういうことかい」

 ファンキーババアはわしのことをチラッと見て何やら納得していたけど、なんでじゃろ?

「ところでここって、服を一瞬で脱ぎ着できる物があるんでしょ?」
「あるっちゃあるが、高いよ?」

 どうやらべティがしつこくわしを連れ出したのは、この店に来たら夢が叶えられると知っていたから。

「お金はシラタマ君が出してくれるから大丈夫V」

 それもわしを財布にする為に……

「一緒に働いたから別にいいんにゃけど、いくらするにゃ?」
「特注品だからこんなもんだ。ヒッヒッヒッ」
「高いにゃ!?」

 ファンキーババアに値段表を見せてもらったら、スウィートルームに何泊だって泊まれそうなのでわしは驚いた。

「彼女に見栄を張る為に連れて来たんじゃなかったのかい?」
「誰が彼氏にゃ!? わしは妻帯者にゃ!!」
「その面で結婚してんのかい!?」

 ファンキーババアもわしが妻帯者に驚いていたけど……

「どれどれ~? あ、余裕じゃん。二着買おっかな~??」

 わし達が揉めているのに、べティは料金表を見て意見の相違。

「シラタマ君って、お金持ちなのに貧乏くさいわよね?」
「倹約家と言ってくれにゃ~」

 べティに反論する為に、わしも二着購入することになるのであった。


「こっちのコリスにかわいいのよろしくにゃ~」

 二着買うのは、わしの為ではなくコリスのため。コリスは基本、服を着たがらないので、人間に変身したとき用にずっと欲しかったからだ。
 今まではリス時は前掛け、人間時はワンピースになる物を付けていたが、紐でいちいち調整しないといけないので、もっとファンタジー寄りの物があればと思っていたので渡りに船かもしれない。

 このアイテムは特注品らしいので、まずは服の選別。わしとべティで「にゃ~にゃ~」言いながらコリス人間バージョンに似合うかわいいワンピースを、店に飾っていた中から選ぶ。
 ワンピースは少し大きかったので、変身アイテムに加工する前にリメイクしてくれるそうだ。

「次はあたしよ!」

 コリスにいい服を選んでくれたので、べティの試着にも嫌々付き合うわし。適当に褒めてやり過ごそうと思っていたが、「じゃじゃじゃ~ん!」と出て来た時にはツッコミたくなってしまう。

「どうよどうよ? かわいくない??」
「マジでそれでいくにゃ~?」
「え!? かわいいでしょ!?」
「かわいいと言うより……痛々しいにゃ~」
「なんでよ~~~!!」

 べティが選んだ服は、大所帯のアイドルグループ風。少女が着たらめちゃくちゃ似合うとは思うのだが……

「べティっていくつだったかにゃ?」
「五歳よ!!」
「プラス百年はあるにゃろ~」

 そう。中身がババアだから、わしとしては褒めることができずにツッコンでしまったのだ。

「いいもんいいもん。一人で決めるもん……」

 魂年齢を思い出してしまったべティは、イジケながら服を選ぶのであったとさ。
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