アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光にゃ~

ma-no

文字の大きさ
13 / 38

13 勇者べティ改め……にゃ~

しおりを挟む

 スウィーツ巡りはコリスの反則を指摘してストップ。次の名所巡りに移行したかったのだが、さすがにお金が心許こころもとなくなって来たので、冒険者ギルドに顔を出してみた。

「「見付けた~~~!!」」

 すると、二人の美女が突撃して来たので、わしはそっと扉を閉めた。

「「なんで閉めるの!?」」

 そりゃ、怖いからだ。この手のケースでは、わしが死ぬほどモフられるパターンだから、閉めたくもなるってものだ。
 しかしギルドには用事もあるし、二人も出て来てしまっては無視するわけにもいかないだろう。

「王女様。こんにゃちは~。今日も綺麗だにゃ~。アオイさんは、今日は綺麗にゃ服着てるんだにゃ~。紫の髪に合ってるにゃ~」

 この美女二人は、この国の王女様とわし達をつけていた暗殺者。どちらも国の要人だから、よいしょしておくのが無難だろう。

「そんなことよりも!!」
「私が綺麗……」

 残念ながら、サトミはいつも言われているだろうからまったく効かず。アオイは……なんか照れてるな。

「やっぱりシラタマ様は、ゆう……」
「にゃ~~~! 王女様が大声出すなんてはしたないにゃ~!!」
「あっ……」
「話は中で聞くからにゃ。いいにゃ?」
「はい……」

 大声でわしのことを勇者なんて言わせねぇよ。それより大声で邪魔して、サトミをギルドの中に連れ込むわしであった。

「綺麗……」
「はいはい。あなたも行くわよ」

 なんか顔の赤いアオイは、べティに引っ張られて中に連れ込まれたのであったとさ。


 サトミの用件はさっきのやり取りである程度理解したので、受付嬢に部屋を用意してもらう。本当は会議室を借りるのは有料らしいが、サトミの顔を見せたらフリーパス。王女様からはお金が取れないみたいだ。
 その代わり、エリマキトカゲが……いや、ギルマスが盗み聞きしにやって来たので追い返そうとしたが、ギルマスにも関わる話とサトミが言うので、渋々同席を許可する。

「話ってアレにゃろ? またわしを勇者に祭り上げようと……」

 わしだってバカではない。前日に魔王城の門まで破壊していたのをアオイに見られていたのだから、武闘王に報告されているのはわかっていたことだ。

「はい。神託は間違っていませんでした!」

 なので、サトミは自信満々。

「大間違いにゃ~。勇者の剣だって抜けなかったにゃ~」
「あれは何かの間違いです! 次やったら確実に抜けるはずです!!」
「次やったら、わしは確実に教会を壊す自信あるにゃ~」

 勇者の剣を裏庭ごと持ち上げたのは、ちょっと力加減をミスっただけで、本気では引っ張っていない。フルパワーでは本当に何が起こるかわからないからわしはやりたくないのだ。

「で、では、魔王討伐だけでも! 民の苦しむ未来は見えているのです!!」

 しかし、これほどの戦力を野放しにできないサトミも必死だ。

「だから~。勇者はどこかに居るんにゃって~。探す努力はしたにゃ?」
「シラタマ様が勇者の剣を抜けなかったから、ショックで寝込んでいましたからまだです!」
「自信満々で言うことじゃないにゃ~」
「シラタマ様が勇者と認めてくれたらいいだけなんですぅぅ!」
「無茶言うにゃ~」

 わしとサトミが揉めていると、べティがテーブルを「バンッ!」と叩き、勢いよく立ち上がる。

「よし! この魔法少女べティ様に任せなさい! あたしが魔王を倒して、新しく魔法少女伝説を築いてやるわ!!」

 まさかの、新伝説の樹立を目論むべティ。

「またお前は……魔法少女として目立ちたいだけにゃろ~」
「いいじゃん。ちょっとぐらい……あたしが魔王に挑むってことは、シラタマ君もついて来るってことだよ~? いざとなったら手伝ってくれるから、100%討伐できちゃうってことだよ~? どうどう??」
「結局わし頼りにゃ!?」

 べティのアイデアはわしとしては容認できないのだが、サトミは……

「アリ? これってアリ? いけそう??」

 なんかアオイに確認を取ってる。

「たしかにべティさんの魔法は凄かったです。強力な爆裂魔法で、ケルベロスも一撃でした!」
「そんなに!? それなら魔王も倒せちゃうんじゃない??」
「はい。レベルも52になっていましたしいけますよ!」
「そこにシラタマ様もついて来てくれるなら確実……うん!」

 さらに、なんか二人で盛り上がってるよ。

「魔法少女べティ……あなたに魔王討伐を命ずる!」
「はっ! 慎んでお受けします」
「べティも盛り上がるにゃよ~」

 こうしてべティが王女サトミの命令を受けてしまったので、魔法少女べティ伝説が始まるのであったとさ。


 それから今後の話に移ったので、わしはコリスとお喋りして暇潰し。ノルンはべティの頭に乗って真剣に話を聞いているところを見ると、魔法少女派閥に入った模様。二人でユニットを組むらしい。
 その話し合いは長引いたので、コリスがそわそわして来たので餌付け。夕食の時間になったので、わしは席を立った。

「「「どこ行くのよ!!」」」

 しかし、べティ、サトミ、アオイに三本の尻尾を掴まれてしまった。

「もう夕食時にゃし……おにゃか空いたし……」
「じゃあ、続きは食べながらしましょう!」
「「「は~い」」」
「食事代はそっちが持ってにゃ~?」

 べティが音頭を取っているからわしは心配。サトミとアオイだけでなく、同席していたギルマスとウサミミ受付嬢までついて来ようとしていたので、釘を刺しておいた。
 本来、冒険者ギルドに来た目的は金策だったのに受付カウンターに寄らせてもらえなかったので、マジで心配。なのでギルマスに「接待費から出してくれ」と何度もお願いしながらわしは続く。

 馬車に揺られてやって来たのは、べティが目を付けていた高級料理店。要予約に加え、ドレスコードがあったので断られたけど、王女オーラで難なく入店。でも、ギルマスから「こんな店、接待費が下りない」と釘を刺された。
 べティ達が話し合いをする中、わしとギルマスで伝票の押し付け合いをしていたら、並ぶ高級料理。ここまで来たら、やけ食い。
 コリスには皆の物を取らないように高級串焼きの支給を忘れない。というより、ちょっとでも支払いを減らす努力だ。

 本来ならば行儀よく食べないといけないのだろうが、わしとコリスは知ったこっちゃない。バクバク食べて腹と頬袋を膨らませる。ギルマスと受付嬢も、こんな高級店には来たことないのか、腹に詰め込めるだけ詰め込んでいる。
 そうこうしていたら、わし達はお腹いっぱい。べティ達も楽しく食べて話し合いも終わったようなので、わしはサトミに伝票を回す。

「えっ……何この値段……」
「美味しいからいっぱい食べちゃったにゃ~。にゃはっ」

 サトミが青い顔をしているので、わしはかわいこぶりっこで乗り切ろうとする。

「こここ、こんなの無理ですよ!」
「おこづかい、いっぱい貰ってるにゃろ~」

 あんなに貰っているのに、サトミは払ってくれない。しかし、食い逃げするわけにもいかないので、今度は王女、エリマキトカゲ、猫の三者会談。
 三人の必死の伝票押し付け合いの結果、折半となるのであった。

「にゃんでわしはチョキを出したんにゃ~~~」

 端数はじゃんけんに負けたわし持ちになったので、完全に敗北した気分になるのであったとさ。


 支払は、全員カード払い。わしはドキドキしながらカードを出したが、足りたのでホッと胸を撫で下ろす。サトミもギルマスも同じ顔をしていたところを見ると、全員、残高が怪しかったっぽい。
 まぁなんとか足りたので、ここでお開き。先払いしていた宿屋に帰ろうとしたら、サトミとアオイに尻尾を掴まれた。

「にゃに~?」
「お城に泊まらないのですか?」
「堅苦しいのは嫌いなんにゃ~」
「シラタマ様って、王様って言ってたじゃないですか!」

 たしかにわしは王様だけど庶民感覚が抜けていないってのもあるが、お城に泊まりたくない理由もある。

「わし達の見張りがしたいんにゃろ?」
「うっ……そうですけど~」
「だから泊まりたくないんにゃ~」

 サトミがぶっちゃけるのは好印象だけど、わしは心を鬼にして宿屋に帰るのであっ……

「アオイさんはいつまでついて来るにゃ?」
「シラタマ様のパーティに加入しましたので、同じ部屋まで……」
「せめて他の部屋を取れにゃ~」

 アサシンアオイを連れて、宿屋に帰るわしであったとさ。


 わし達の部屋は、いちおうべティ用の部屋にベッドが二個あったので、アオイと一緒に使ってもらう。

「にゃんでこっちに来てるにゃ……」
「だってあの子、アサシンなんでしょ? 寝首を掻かれそうじゃな~い」
「勝手にパーティメンバーに入れたのはべティにゃろ~」

 自分で入れたクセにパーティメンバーを信じないべティは、キングサイズのベッドで、わしとコリスの間で『かわ』の字。

「『川』の字にしてよ~。口はしんどいって~」

 せっかくだからちょっとしたお茶目。妖精ノルンとわしでさんずいを担当し、コリスが横棒と縦棒。べティを丸まらせたら『河』の字は上手く再現できたと思うけど、ベティから苦情が入るのであったとさ。


 結局はわしとコリスも変な体勢はしんどいので普通に寝て朝を迎えたら、べティがコリスに潰されていたので助けてあげた。
 それからルームサービスを食べてゴロゴロしたら、わしとコリスの待ってましたのランチ。

「た~んと召し上がれ~!」

 べティ作、異世界料理だ。と言っても、べティはまだフライパンも振れない幼女なので、わしが指示通り作ったから猫メシとも言える。

「「「美味しいにゃ~」」」
「フフン。どんなもんよ!」

 さすがは、元の世界で創作フレンチ店を営んでいたべティ。見たことも食べたこともない食材でも、高級フレンチに仕立て上げたのでめちゃくちゃうまい。
 わしとコリスとアオイはほっぺを押さえて食べ、べティはドヤ顔。しかし反省点はあるらしく、ブツブツ言いながら食べている。

「和食もにゃんとかならないかにゃ~?」
「専門じゃないけど、たぶんいけるわよ」
「じゃあ、夜は和食にゃ~!」

 宿屋の夕食は断りに走り、それからまた惰眠。べティは何やら書き物をしていたから、メニューを考えていたのだろう。
 そして夜になったらわしも頑張って手伝い、異世界の食材で作られた和食がテーブルに並ぶ。

「「「美味しいにゃ~」」」
「う~ん。やっぱり家庭料理の域は出てないわね」

 わしとコリスとアオイは美味しく食べているのに、べティは納得いっていない模様。料理人としてのプライドがあるらしい。
 そうして美味しく食べていたら、急にアオイが叫び出した。

「あ~~~!!」
「にゃに~? ごはんが掛かったんにゃけど~??」

 正面に座っていたアオイは口に物を入れたまま叫んだものだから、わしは大災害。テーブルの上に落ちなかったのは不幸中の幸いだが、顔面にぶっかけられたからにはきちゃない。

「魔王!? 魔王を倒しに行かないんですか!!」

 そう。昨日サトミから命じられたのに、わし達はゴロゴロしているわ料理しているわ、一日が食っちゃ寝で終わるから、料理にうつつを抜かしていたアオイは叫んだのだ。

「今日は休みだったんじゃにゃい?」
「そ、そうなのですか?」

 わしは予定を聞いていなかったので予想を行ってみたら、アオイはべティを見詰めた。

「あ~……言い忘れてたわ。服の仕上げがまだだから、魔王討伐はそのあとよ」
「聞いてないよ~~~」

 こうして出発日時を聞き忘れていたアオイは、なんだか三人組のお笑い芸人みたいなことを言うのであったとさ。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...