アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光にゃ~

ma-no

文字の大きさ
22 / 38

22 ドラゴンの報酬にゃ~

しおりを挟む

 紅蓮竜の住み処はくまなく歩いて、貯め込んでいた金銀財宝は全て没収。さすがはドラゴンの最上位種だけあって、桁違いの値が付きそうなのでわしの笑いが止まらない。

「あらやだ奥さん。あの猫、お金持ちなのに悪い顔で笑っているざますわよ」
「シラタマは守銭奴ざますだよ。夜な夜な金貨を数えている姿を何度も見たざますだよ」
「「金に汚い猫ざますぅぅ」」

 べティ&ノルンも「ざます遊び」が気に入ったのか、わしの耳に聞こえるように言っている。

「にゃしゃしゃしゃしゃしゃしゃ」

 しかし、ツッコムと相手にしないといけなくなるので、わしは笑いで乗り切るのであったとさ。


「さてと……そろそろ帰ろうかにゃ? コリス、アオイさんの目を塞いでくれにゃ~」
「わかった~」
「まっ……モフモフ~」

 アオイの目を塞いだら、全員で「とおぉ~う」と言いながらジャンプ。からの転移。今日もアオイにはわしの転移魔法は見せず、編集されたテレビ番組のように要塞都市に戻るのであった。

 アオイからはどうやって一瞬で戻っているのかと質問されても聞き流し、べティ&ノルンの「ざます遊び」は無視して、コリスに餌付けしながら歩けば、冒険者ギルドに到着。
 さっそく今日の成果を報告しに受付の列に並んでいたら、ギルドのドアが「バーンッ!」と勢いよく開いた。

「みんな~! 勇者パーティがドラゴンを倒して凱旋して来たぞ~!!」

 何事かと振り向いたら、男がそんなことを言っていたので聞き耳を立てる。どうやらこの男は、たまたま勇者パーティがドラゴンを倒す現場を見ていたらしく、自慢したいが為にわざわざ大声で言いふらしているらしい……

「自分の手柄じゃにゃいクセに……」
「まぁ……しばらくは有名になれるからじゃない? ビール奢ってもらってるし」

 わしとべティは男の行動にドン引き。小銭稼ぎの為に個人情報を勝手に吹聴しているのだから、絶対に近付きたくない人物だ。
 念の為、フィルム代が超お高いインスタントカメラで男の写真を撮っていたら、騒ぎ声が「わっ!」とさらに大きくなった。

 勇者パーティの登場だ。

 勇者パーティは冒険者から拍手で出迎えられ、一人を除いて鼻高々。サトミは王女様なのでこの程度の騒ぎは慣れっこ。女騎士リンはドラゴンを倒せて誇らしげ。フェンリルのレオと妖精のモカも女騎士派閥のようだ。
 唯一あわあわしているのは、勇者ハルト。田舎者と聞いているので、こんな騒ぎは落ち着かないのだろう。

 そのハルトはわし達に気付いた瞬間、冒険者の隙間を縫って、凄い形相で寄って来た。

「シラタマさん!」
「う、うんにゃ。話の前に、いまのどうやったにゃ? めっちゃ細長くなってたにゃろ??」
「何故か行く先行く先で、僕達がドラゴンを倒したのみんな知ってるんですよ~」

 そんなことは言われなくても知っているので、体が縄みたいになった謎現象のほうが気になるのだが、この世界の人はいつも無視するのでわしも諦める。

「犯人はこいつにゃ。こいつが言いふらして回ってるんにゃ」
「あっ! 半分マン!! この人、陰からずっと覗いていた人です! 全部は初めて見ました!!」

 とりあえず写真を提出して教えてあげたら、この男はストーカーとのこと。今日一日、ずっと木や岩や持っていた盾から顔を半分出して見ていたので、誰が呼んだか半分マンと呼んでいたらしい。

「探したらどっかに居ると思うんにゃけど、手伝おうかにゃ?」
「知られるのも時間の問題でしたし、もういいです。そういえば、シラタマさんも仕事してたんですか?」
「うんにゃ。うちも……にゃんでもないにゃ。空いてる内に、わし達は買い取りしてもらうにゃ~」
「僕も行きます!」

 こんな雰囲気では、ドラゴンの最上位種、紅蓮竜を倒したなんて到底言い出せない。紅蓮竜は今度売り払うことにして、受付に向かうわしであった。


「「「「「おお~~~」」」」」

 勇者パーティが隣の受付に居るので、わし達まで冒険者にガン見されて恥ずかしい。隣ではハルトがアイテムを出す度に感嘆の声が上がっているので、すっごく出しづらいのだ。

「えっと……とりあえずこれだにゃ。太陽の雫にゃ~」

 わしが依頼用紙と太陽の雫という何に使うかもわからないアイテムを提出したら、冒険者が息を合わせたような一糸乱れぬ二度見をしたので、ギルド内に風が起こった。

「偽物……ではありませんね……でも、あそこは、往復十日は掛かるのに、朝に出てもう帰って来てる……」

 ウサミミ受付嬢がブツブツ言うと、なんかヤジが飛んで来た。「偽物」だとか「嘘つき」だとか「目立ちたがり屋」だとか「猫」だとか……

「うっさいにゃ~。お前らは勇者パーティを見に来たんにゃろ~。こっち見るにゃ~」

 主役は勇者。わしは脇役なのに、勝手に評価するこいつらがおかしい。そうしてわしが冒険者どもと「にゃ~にゃ~」口喧嘩をしていたら、ウサミミ受付嬢が復活した。

「ワイバーン! あそこに辿り着くには、ワイバーンの巣があったはずです。ワイバーンは何匹倒しました??」
「……ここで出していいにゃ?」
「てことは~……別室行きましょっか」
「最初からそうしてもらえばよかったにゃ~」

 勇者パーティと同時に買い取りをしてもらっているのがトラブルの元。このウサミミ受付嬢はわしのことを知ってるのだから、事情を説明して別室に移動すればよかっただけだ。
 わしはあっかんべーしながら冒険者を「にゃ~にゃ~」ののしり、べティ達を連れて会議室に移動するのであった。べティ&ノルンは「大人気おとなげないざますぅぅ」とか言ってたけど……


 会議室に入ったら、例の如くショルダーバッグを引っくり返して次元倉庫を開き、ワイバーンのドロップアイテムと金銀財宝をドボドボ出してやった。

「ギブッ! 一旦止めてください!!」

 会議室はお宝の海となってしまったので、ウサミミ受付嬢からギブアップが入ってしまったからストップ。受付嬢の応援を呼んで来て、整理しながら金額をメモに取っている。

「あの……私達より遥かに多いんですけど……」
「にゃんで勇者パーティ全員入って来てるにゃ~」
「だってアオイからトンでもないこと聞いたんですも~ん」

 アオイが居ないと思ったら、サトミに告げ口しに行っていたとのこと。だから自分達の買い取りが終わったら、慌ててこっちに来たようだ。

「じゃあ、もうバレてるってことなんにゃ……」
「信じられませんが……」
「今日は出すのやめとくにゃ。見たくないにゃろ?」
「せっかく大変な思いをしてドラゴンを倒して来ましたけど~~~!!」
「だから出さないって言ってるにゃろ~」

 ドラゴンを単独撃破しただけでも値千金らしいのだが、その最上位種のアイテムならサトミは見たいらしい。でもその前に、ずっと涙目だからちょっとかわいそうなので、サトミ達の苦労話を聞いてあげる。

 どうやら勇者パーティはドラゴンを倒しに出たわけではなく、近場のレベルアップポイントに出向いて狩りをしていたそうだ。そこで順調に経験値を溜めていたら、三組のパーティが逃げて来たとのこと。
 このパーティがもう三組のパーティと共にドラゴン討伐を請け負ったのだが、実力不足で返り討ちにあって逃げ出した。しかし、ドラゴンの逆鱗に触れていたので追い掛けられていたらしい。

 そこに偶然勇者パーティが居たので、助けてくれと言われたから、人のいいハルトが引き受ける。

 その戦闘は熾烈を極めたとサトミ談。モカの補助魔法を受けたハルトとリンでドラゴンの攻撃に耐え、レオのアタック。サトミのヒールで拮抗を保ち、ドラゴンが弱って来たら、ハルトが必殺技を出して倒したそうだ。
 このドラゴンもいちおうレイドボスなので勇者パーティひと組ではかなり苦戦したし、逃げて来た三組のパーティの怪我が酷かったから治療に時間が取られたので、要塞都市に戻るのが遅れて半分マンが先に帰って来たのだろう。

「それはお疲れ様にゃ~。とりあえずワイバーンは終わったみたいにゃし、手続き急いでにゃ~」
「紅蓮竜は!?」
「シーーーッにゃ~!」
「「「「「紅蓮竜!?」」」」」

 わしが後日出すと言っているのにサトミがいらんこと言うので、ウサミミ受付嬢に壁ドンされて「出せ……」と低い声で脅された。目がイッていたので、仕方なくドロップアイテムを提出。

「本物だ……」
「「「「「ドラゴンがかすむ……」」」」」
「見にゃかったことにしてにゃ~」

 勇者パーティの活躍を奪っているのだから、わしは土下座。エリマキトカゲ人間のギルマスも駆け込んで来て、なんかブレイクダンスをしていたので回転は止めてやった。

「忘れようにゃ? 今日のことはお金だけ払って忘れようにゃ??」
「「「「「できるわけないでしょ!!」」」」」

 さすがに紅蓮竜の素材や肉が手に入ったのに捌かないのはもったいないので、勇者パーティを加えての長い会議となるのであったとさ。


 会議の結果、紅蓮竜の討伐発表は三日後に決定。謎のSランクパーティと勇者パーティが合同で倒したことにするらしい。
 ハルトはやっていないことを自分の手柄にするのはやりたくなさそうだったが、サトミに泣き付かれて渋々了承していた。わしが単独で倒したとなったら、勇者の沽券こけんに関わるそうだ。
 これで諸々の話し合いも終わったので、わしはサトミにお願いを持ち掛ける。

「はい? 遺産相続の受取人ですか??」
「だってこんにゃ大金使い切る自信ないんにゃも~ん。もしもの時は、恵まれない子供の為に使ってくれないかにゃ? 王女様ぐらい偉くないと、そんにゃことできないにゃろ??」
「たしかに国家予算に匹敵する額なんて、一個人にどうこうできる物でもありませんね……でも、シラタマ様が死ぬ未来が見えないのですけど」
「いきなり行方不明になる場合もあるにゃ~」
「行方不明……あっ! 元の……」
「シーーーッにゃ~」

 この場でわし達が異世界人であることを知っているのは、サトミとアオイだけ。目立ちたくないわしは、サトミの口を塞いだ。

「ちょっとぐらいにゃら着服していいから頼むにゃ~」
「その言い方だと、私が使い込みするみたいじゃないですか~」
「いや、経費と言いたかったんにゃった。にゃははは」
「もう! わかりました。そのご厚意、王女サトミの名にかけて無駄にはしないと誓います」
「ありがとにゃ~」
「こちらこそです」

 少し強引に遺産を押し付けることになってしまったが、わしが笑顔で差し出した手をサトミも笑顔で取ってくれた。
 どのような使い方になるかは見届られないが、サトミの笑顔を信じ、わし達はその場を立ち去るのであっ……

「にゃんでついて来るにゃ?」
「同じ宿に泊まってるじゃないですか~。一緒に帰りましょうよ~」
「ここは背中を見送るほうが締まると思うんにゃけどにゃ~」

 かっこよく締めたかったのに、空気の読めないサトミのせいで、わいわい喋りながら宿に帰るわし達であったとさ。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...