30 / 38
30 四天王の登場にゃ~
しおりを挟む勇者パーティはわし達に見られているとは気付かずに、魔王城2階を前進。意気揚々とサトミを先頭に歩いているけど、回復職なのにいいのかな?
そんなことをわし達が不安視していたら、女騎士リンが追い越して行ったので「たぶん大丈夫じゃね?」ってなったのでひと安心。それと同時に勇者パーティは魔物と遭遇した。
しかし、レベルマックスの勇者パーティの前では、強そうなひとつ目でマッチョな魔物でもタコ殴りにあって倒れた。
「え……風??」
今まで魔王城内部は無風だったので、風が吹くとハルト達も気になってキョロキョロしていたが、特に危険な感じがしなかったのでドロップアイテムを拾おうと前に出た。
「みっつ??」
そこには、魔石と金棒と本。普段はニ個しかドロップアイテムが出ないのに三個も出ているので、ハルトは「罠かもしれない」と言って皆を下がらせてから調べる。
「どうですか~?」
「特に何もないのですけど……え??」
罠のひとつもないのでハルトが最後の本に目を通していたら、サトミ達も集まって来た。
「何を驚いているのですか?」
「えっと……この本は攻略本(完全でない版)となっていまして、魔王城内部の地図が載っているのですけど……」
「地図ですか! これなら早くに攻略できそうですね!!」
「まぁそうなんですが……」
ハルトがゴニョゴニョと説明していたら、さすがにサトミもおかしいと思って攻略本に手を伸ばす。
「なっ! なんで私には見せてくれないんですか~」
だが、ハルトは慌てて攻略本を背中に隠したので、サトミの頬がプクーッと膨れた。
「それがですね。サトミ王女様が触れたらこの攻略本が消えるとなっていましたので……」
「はい?? な、なんで私だけ……それに名前まで知ってるなんて……」
「僕も何が何だか……でも、消えたらもったいので、ここは我慢してください!」
「うぅぅ……わかりました~」
こうしてハルトが攻略本を片手に、勇者パーティは歩き出したのであった。
その現場を壁に開けた穴から見ていたわし達は……
「「よっにゃ~!」」
わしとべティはハイタッチ。コリスやノルンやアオイともハイタッチして喜んでいた。
そりゃ、方向音痴のサトミの地図担当を外す作戦が上手くいったのだから喜ぶよ。この為に、バレる危険を承知で「サトミ触れるな危険」と書き込んだのだ。
魔物が消える場所に、わしが本気のダッシュで攻略本を置いた時には風が起きてしまったが、なんとか気付かれずにやりすごせたので嬉しくって仕方がない。
「見た? 勇者君、口には出さなかったけど、小さくガッツポーズしてたわよ」
「にゃはは。よっぽど迷惑してたんだにゃ~」
「プププ。ま、何はともあれ、これで攻略速度はアップね。あたし達も迷路を楽しもうよ」
べティは異世界観光に戻ろうとしていたので、わしも一直線に進んで戻って来たから宝箱探しをしてもいいかと思ったが、失敗にも気付いてしまった。
「あ、しまったにゃ……」
「どしたの??」
「地図はアレしか書いてなかったにゃ。離されたら追い付けなくなるにゃ~」
「なんですって……このアホ猫」
「アホ猫はひどくにゃい?」
「じゃあ、道順覚えてるの?」
「覚えてにゃいけど~~~」
「アホ猫で合ってるじゃない」
「アホって言うほうがアホなんにゃ~」
失敗したからには反論してはならないのだろうが、人様に対してアホは失礼だ。つい反論してしまって、わしとべティは「にゃ~にゃ~」喧嘩。その時、ノルンがわし達の喧嘩に割って入って来た。
「ノルンちゃんの為に喧嘩はやめるんだよ~!」
別にノルンを取り合っての喧嘩ではなかったのにそんなことを言われたからには、わしとべティはイラッとして喧嘩は止まった。
「魔王城の地図なら、ノルンちゃんの頭に入ってるんだよ~!」
「マジにゃ!?」
「シラタマ君より記憶力がいいわね~」
「パッパラパーのシラタマと一緒にするんじゃないんだよ~」
「ノルンちゃんまでひどいにゃ~」
これは、先行して進む時に、記憶力の高いノルンを連れて行ったわしのファインプレー。
「さすがノルンちゃんね~」
「えっへんだよ~。もっと褒めてだよ~」
「偉いね~。あの猫と比べられないわ~」
なのに、ノルンばかり褒められてわしは貶されるので、「にゃ~にゃ~」愚痴りながら最後尾を歩くわしであったとさ。
勇者パーティは攻略本通りに真っ直ぐ進んでいるらしいので、わし達は脇の道に入って宝箱を漁りながら追いかけているから、いい塩梅で距離を取れている。
まったく気付かれることなく魔物を倒したり宝箱を開けたり、落とし穴に落ちそうになったべティを笑ったり、べティに背中を押されてわしが落とされたり……
「それはひどくにゃい?」
「笑うからでしょ~」
「もう助けてやらないにゃ~」
「うそうそ、冗談だよ~??」
「冗談でも、わし以外にやってたら死んでるんだからにゃ~!」
こんな槍が何十本も生えている落とし穴に落とすなんて、べティは鬼だ。冗談で済むわけがない。なので、こんこんと説教しながらわし達の魔王城観光は続くのであった。
ランチを終えてしばらく歩いていると、前方から戦闘音が聞こえて来たので少しストップ。思った通り勇者パーティが戦っていたので、写真を撮ったりしながらべティと喋る。
「追い付いちゃったにゃ~」
「あ~。18階のギミックで手間取ったみたいね。アレはあたしでも少し時間が掛かったもん」
「……少し時間が掛かったにゃ??」
「もう! わかりませんでした~。言い直したんだからその目はやめてよ~」
謎解きに少し時間が掛かったのは、わしとノルンだ。べティなんて早々に諦めて答えを聞いて来たんだから、苦労のくの字も知らないので冷たい目で見てやった。
「あのギミックの謎を解いたのはノルンちゃんなんだよ」
「ちょっ! わしがギミックを動かして通れるようにしたんにゃから、一緒に解いたに等しいにゃ~」
「それ、シラタマ君はまったく考えてないって言ってるようなものよ? わかってる??」
しかし、手柄を取られたと冷たい目をするノルンに続き、わしの言い訳が言い訳になってないとべティまで同じ目をするので、居たたまれなくなるわしであったとさ。
「今日はここまでみたいだにゃ~」
魔王城20階には何故かセーフティーエリアみたいな場所があったので、時刻も夕方ということもあり、勇者パーティは休憩する模様。
わし達は行き止まりを探してそこに頑丈な壁を作り、勇者パーティよりくつろいで次の日を迎えるのであった。
「さあ、残り10階です! 元気よく行きましょう!!」
「「「はい!」」」
「ワン!」
勇者パーティは、サトミの音頭で前進。そのシーンはいちおう写真に収めたけど、ここは勇者が言う場面じゃないのかな?
そんなことを思いながら、今日もわし達は宝箱漁り。わいわいやりながらピクニック気分で進んでいる。
魔王城は上に行くほど狭くはなって移動距離は減るのだが、魔物が強くなっているので、勇者パーティは苦戦とまでは言わないが時間が掛かっている模様。
べティ達も三人では厳しそうなのでコリスを送り込んでみたら、武器を持った強そうなライオンみたいな魔物をすぐに倒していた。
てな感じでやっているので、道を逸れているわし達のほうが攻略速度が早いから、何度も勇者パーティに追い付いてしまう。
その場合は、写真を撮って暇潰し。距離が空くまでお茶やお喋りをしてから攻略を再開する。
その日の正午過ぎ、ついに勇者パーティが魔王城30階に辿り着いたのであった。
「あの部屋はなに?」
大きな扉が壊された部屋に勇者パーティが入って行くと、コリスと一緒に串焼きをモグモグしているわしの元へべティから質問が来た。
「アレにゃ? にゃんか自分は四天王最弱とか言うボスが居た部屋にゃ」
「四天王……って、もしかして倒したりしてないよね?」
「えっと……引き返そうとしたら扉が開かにゃかったから、倒したら開くかと思って一匹倒しましたにゃ~」
「それって大丈夫なの??」
大丈夫かどうかは、入ってみないことにはわからない。わしの予想では、たぶんケルベロスみたいに復活していると思われる。そうあってくれ……
「ちなみにどうして扉が壊れているの?」
「アレは……四天王を倒しても開かなかったから壊しましたにゃ~」
「はぁ~~~」
わしだって悪いと思っているから敬語で話しているのに、べティのため息がすんごい。ぶっちゃけ、ちょっと力を込めたら壊れてしまっただけなので、わしのせいとまでは言えないのだ~!
「はぁ~~~」
「もう行きましょうにゃ~」
わしの心を読むべティのため息は止まらないので、背中を押して四天王の部屋の前に連れて行くわしであった。
「ねえ? 勇者君達いないんですけど~??」
「もう四天王を倒したんにゃ~。さすが勇者パーティですにゃ~」
「はぁ~~~」
「はいにゃ~。復活してなかったみたいですにゃ~」
わしがボケてもツッコミをしてくれないべティの手を引いて、次の扉に進むわし達であったとさ。
大きな扉の前に立つと、中から戦闘音が聞こえているので勇者パーティと四天王が戦っていると思われるが、扉はアオイが押しても引いてもうんともすんとも言わないので覗くことができない。
わしが押したら簡単に開くだろうが、確実に壊れるので勇者パーティにバレてしまう。なので【猫撫での剣】で扉をくり貫いて、何個か覗き穴を開けてやった。
「わ~お。アレってデュラハンじゃない? 実在したんだ~」
「頭が無いのに動いているんだよ~。腹、かっさばいてデータ取りたいんだよ~」
そこから見えた物は、頭を脇に抱えた騎士。二頭の巨大な馬に引かれた戦車に乗ったまま勇者パーティと戦っていたので、べティとノルンはキャッキャッと騒いでいる。コリスはエサを催促して来たから串焼きあげた。
「う~ん……上手く撮れないにゃ~」
「また写真ですか……シラタマさんは助太刀するとか考えないのですか?」
わしはシャッターチャンスを逃したくないのでパシャパシャ撮っていたが、アオイが超心配しているので相手してあげる。
「押してるから大丈夫にゃろ。それより、もうちょっと穴を開けるからそこどいてにゃ~」
「はぁ~~~」
ちゃんと安心できる説明してあげたのに、アオイまでため息攻撃をして来るのは不思議だ。
ツッコミたいところであったが早く穴を開けないとデュラハンが倒れてしまうので、わしは穴を開けては望遠カメラを突っ込んで、勇者パーティの勇姿をカメラに収めるのであったとさ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる