アイムキャット❕❕~猫王様の異世界観光にゃ~

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36 夢の世界にゃ~

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 邪神がハルトに討伐されると、世界を覆っていたどんよりとした分厚い雲はしだいに薄くなり、隙間から太陽の光が降り注ぐ。

「シラタマさん!」

 その梯子はしごのような光が増え続ける中、ハルトがわしの元へ駆け寄って来た。

「にゃはは。かっこよく撮れたから、楽しみに待っててにゃ~」
「そんなことより!!」

 わしがカメラを見せてボケても、ハルトは乗ってくれない。深々と頭を下げるだけだ。

「この世界を救っていただき、本当にありがとうございました!!」

 ハルトの感謝の言葉に、わしは……

「にゃんのことかにゃ~? わしはアシストしただけで、倒したのはハルト君じゃなかったかにゃ~??」

 苦し紛れのすっとぼけ。

「あははは。またですか~?」
「にゃははは。またにゃ~。ハルト君が倒したってことにしておいてにゃ。それで丸く収まるんにゃ~」
「わかりました……なんて言いません! 今回に限っては、皆に言いますからね!!」
「そこをにゃんとか!!」

 わしに感謝していたわりには、ハルトは頑固。いくら言っても聞いてくれないので、わしも諦めるしかない。

「んじゃ、ハルト君は先に帰っておいてにゃ~。わしとコリスは魔物が残ってないか見てから帰るにゃ~」
「それなら僕も残ります!」
「たぶんみんにゃ勇者の言葉を待ってるはずにゃ。その一言でみんにゃ安心できるんにゃから、先に邪神を倒したと宣言するべきにゃ。これはハルト君しかできないにゃ~」

 わしが説得すると、ハルトは渋々だが受け入れる。

「わかりました! 応援を連れてすぐに戻って来ますからね!!」

 こうして邪神討伐を宣伝しに、勇者ハルトは走り出したのであった……

「「「「「勇者様、邪神討伐おめでとうございま~す!!」」」」」
「違いますぅぅぅぅ!!」

 しかし、わしとコリスが先に宣伝したので、ハルトの声なんて掻き消されるのであったとさ。


 要塞都市では、勇者ハルトを称えるお祭り騒ぎ。ハルトの走りよりわし達のほうが速いのだから、十分宣伝する時間があったので楽勝だ。
 そのお祭り騒ぎを横目に見つつ、わしとコリスは再び外壁から飛び下り、忘れ去られた魔物の掃討戦に移行する。

 魔物は残りわずかかだったので、二人で走り回ればこちらも楽勝で終了。ドロップアイテムはそのまま残し、わしとコリスはいつもの宿屋に撤退したのであった。


 宿屋の従業員はお祭り騒ぎに繰り出して誰ひとり残っていなかったが、いつもの部屋は空いていたので、宿帳にサインして勝手にチェックイン。
 夕食も自前の物を出してコリスと一緒にモグモグしていたら、べティ&ノルンとアオイが駆け込んで来た。

「「何しているのよ!!」」
「「モグモグモグモグ」」
「「食べるのやめてよ!!」」

 ノルンはわしの頭に着地しただけなのだが、べティとアオイは何やらうるさい。なので、とりあえずテーブルに着かせてから、わしはモグモグしながら問いただす。

「にゃんか用? モグモグ」
「主役がこんなところで何してるのよ!」
「主役はハルト君たち勇者パーティにゃろ? わしの出番は終わったにゃ~。モグモグ」
「だから食べるのやめてよ!」

 べティを適当にあしらっていたら、タッチ交代。アオイが身を乗り出した。

「陛下も呼んでおりますので、どうかお城に来てください」
「う~ん……明日でよくにゃい? 今日はもう動きたくないにゃ~」
「命令されているので、来てくれないと私が困るんです~」
「だから明日でいいにゃ~……そういえばアオイさんって、魔王を倒したあとに、この危機が終わったようにゃ雰囲気出してにゃかった??」
「なっ……ななななな……忘れてくださ~~~い!!」

 アオイもフライングしまくっていたことを出して煙に巻いたら、わしはモグモグ。お風呂に入り、今日は全員同じ部屋で眠りに就いたのであった。


「ねえねえ? シラタマ君??」

 その夜、わしが気持ちよく寝ていたらべティが揺すって来たが……

「一日中寝てたいにゃ~。ムニャムニャ……」

 起きたくない。

「願望なんて聞いてないのよ!!」
「ゴロゴロゴロゴロ~!?」

 しかし、べティが雑に撫で回すので起きるしかなかった。

「にゃに~?」
「ここってさあ~……どこ??」
「見覚えのない所なんだよ~」
「モゴモゴモゴモゴ!」
「にゃ~~~??」

 わしが目を開けると、そこはベッドの上。だが、周りを見渡すとお菓子で作られたような花畑。べティとノルンはキョロキョロして、コリスはベッドの上から手を伸ばしてお菓子を頬袋に詰め込んでいた。

「ああ。これは夢の世界にゃ」
「夢の世界?」
「夢の世界だよ?」
「モゴモゴモゴモゴ??」

 わしは何度も経験済みだから教えてあげても全員首を傾げるので、ここに連れて来た人物の名前を呼ぶ。

「アマテラス様~。姿を見せてくださいにゃ~」
「は~~~い」

 どこからともなく声が聞こえると、お菓子の花から足が生え、左右に歩いて道を作り、この世のモノとは思えない程の美女がその道を歩いて来た。

「アマテラス様!?」
「恵美里さん……いえ、いまはべティさんでしたね。お久し振りです」
「おおお、お久し振りでごじゃります」

 アマテラスを見たことのあるべティは、一度だけであっても絶世の美女なので顔を覚えていたようだ。それも神に等しい存在だから、あのうっとうしいべティでさえ緊張している。

「アマテラス様が出て来たってことは、これでわしのお役御免ってとこかにゃ?」
「はい。やはりシラタマさんを拉致って……頼って正解でした」
「その拉致った理由、聞かせてくれるかにゃ?」
「そうですね。シラタマさん達には知る権利がありますので、頼った理由をお教えしましょう」

 アマテラスは言い直した拉致を認めずにとうとうと語る。

 始まりはこの星を作ったところ。父親の世界でVRゲームの世界に転生する小説が流行っていたので、面白そうだから作れないかと思ってやっちまったらしい。
 この星では人間と一部の生物以外は魔力で形を作られた物なので、本当のゲームの世界と遜色ないとのこと。しかし超ハードモードで死者がめちゃくちゃ多いので、徳の高い人には勧めない世界らしい……

 なのでアマテラスの世界で、犯罪を犯して「悔い改めたい、おでぇかん様……なわけねぇだろ。へっへっへっ」とか、「異世界転生してぇ。ひゃっほ~!」とか言ってるバカを送り込んでいるみたいだ。
 そのほとんどは道を外れて死罪にされたり魔物に殺されて、単細胞生物からやり直しさせられたらしい……

「それって……ただの地獄にゃのでは??」
「地獄みたいな星もちゃんとありますので、その手前ですね。ま、ここに住む魂以外は徳を積んでも、次は一番よくて虫からですけどね」
「もっとひどくにゃい??」

 ちょっと脱線してしまったが、ようやくわしを拉致った理由に戻る。アマテラスに話を逸らされたとも言える。

 わしを拉致ったのはなんのことはない。新装開店のお手伝い。マンネリになった魔王と勇者の戦いにアクセントを付けようと、裏ボスを追加したらどうなるかの実験に付き合わされたそうだ。
 ちなみにそのデータを記録する媒体が勇者の剣。邪神を斬り裂くことで勇者の剣にデータが蓄積され、次回はバージョンアップした剣になるとのこと。だから勇者の剣は、邪神を斬りたがっていたみたいだ。

 その邪神をどの程度の強さに設定しようか悩み、「とりあえずこれでいっか」と魔王よりちょっと強いぐらいに設定したらシステムが暴走。「これ、この星死んだね」って結論に至ったらしい。

「わかった時点でそんにゃボス破棄しろにゃ~」
「わかったのが最近でしたので……改編するには手遅れでした。てへ」
「また確認忘れやがったにゃ!?」

 わしの二の舞。わしも転生してから一週間以内にする確認を忘れられて、猫の体に魂が定着してしまうという事故にあっていたのでアマテラスを責められる。けど、怒らすと魂が削られるからほどほどにしておいた。

 続きでは、この時点から神が直接介入してしまうとこの星が吹き飛ぶし、最悪、世界が分かれて親兄弟からめっちゃ怒られるから放置しようとしたそうだ。
 しかし、相方のアメノウズメにバレて、星ひとつが一瞬で滅ぶと魂がわんさかやって来てめっちゃ仕事が増えると嘆願があり、会議の末、「誰か強いヤツを連れて来ればいいんじゃね?」という結論に至った。

 その選考の中で、アマテラスは真っ先にわしの顔が浮かんだらしく、「そうだ! ちょうどいいヤツが居たから、ちょっと拉致って来るね!!」となったそうだ。
 かといって、わしはスサノオの世界の住人なので、神隠しやエイリアン・アブダクションは難しい。なので、べティにUFOの夢を見させたら、次の日にはノコノコUFOに乗り込んだらしい……

「そう言えばそんな夢を見た! だから急にUFOに乗りたくなったのよ!!」
「やっぱり拉致したんにゃ……」
「あ……てへぺろ」

 UFOに乗せてしまえば、あとはアマテラスのもの。遠隔で大量の魔力を注入して操縦し、スサノオにバレることなくわし達をこの世界に連れて来たらしい……


「というわけで、おつかれっした~」

 衝撃の事実を告げたわりにはアマテラスは超軽い。わしの狭い額には怒りマークが浮かんでいたが、べティ達はどうしていいものかとわしの後ろに隠れて見ている。コリスはモグモグしてる。

「謝罪は?」
「あっ! 急にお呼び立てして申し訳ありませんでした!!」
「シラタマ君! なに神様に土下座させてるのよ! 頭をお上げください!!」

 アマテラスが土下座するので、べティから非難轟々。しかし、これもわしは経験済みだ。

「ただのパフォーマンスにゃ。ニヤッて笑ってるにゃろ?」
「あ……ホントだ……」
「べ、べティさん? 誠心誠意の謝罪ですよ~? カミサマウソツカナイ」

 べティが冷たい目をするとアマテラスは言い訳していたが、たぶんべティが「信じてない」と心の中で言っているから言い訳が続いているのだろう。

「悪いと思ってるにゃら、謝罪の品を寄越せにゃ~」
「な、なんのことですか~?」
「わし、謝罪の品を用意するように言ったにゃろ~」
「と言われましても、私にもできることは限られるので……あっ! たっつあんの大福……」
「にゃにが限られてるにゃ。ツクヨミ様からいろいろ貰ったにゃ~。それにゃのに、わしの事故の時も、チート能力にゃんて無いって嘘ついたにゃろ?」
「ア、アレはですね……」

 アマテラスいわく、ゲノム編集や白銀の装備品を送ることは、けっこうな犯罪行為とのこと。その昔、管理者達が神っぽいことをしていた時代に信者を増やそうとワイロ合戦になって、とある世界がエライことになったから禁止しているらしい。
 それを知ってるクセにやったツクヨミは、相当なおバカさん。ただ、それをイザナギノミコトに知られると、兄弟の連帯責任で怒られそうなので二人とも黙っているらしい……

「じゃあ、くれるってことだにゃ? わし、イザナギノミコトの世界に行ってみたかったんにゃ~」
「うっ……パパとママには内緒ですよ……」

 このUFOがあれば、平行世界に行くなんて容易たやすい。たぶん世界を渡った際には向こうもわしに興味を持つと思うから、チクるぐらい朝飯前だ。

 こうしてわしはアマテラスを脅し、チートアイテムを催促するのであった。
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