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猫歴4年~14年
猫歴12年その1にゃ~
しおりを挟む我が輩は猫である。名前はシラタマだ。妻2人に側室が3人、愛人が1人いるが、性欲が強いわけではない。
側室を3人迎えたわけだがその中の1人、お春がまだ19歳だったので話し合いの結果、3人とも初夜はお春の誕生日後になったのだが、その1年後にはビックイベントが待っているから子作りは先送り。
かといって、何かとは言えないがやらないわけには納得してもらえないので、わしは毎晩とまでいかないが取っ替え引っ替え頑張って過ごしていたら、我が家に居候しているベティが絡んで来た。
「もう我慢できない! 言わせてもらうわよ!!」
これから家族も増えるだろうとキャットタワーの王族居住区をもうワンフロア増設して、防音完備の愛の巣でやることをやっていたのだが、ベティは怒っているように見えたので、声が漏れていたのかと思ってわしは謝ろうとした……
「ごめ……」
「UFOに乗りた~い! 月に行って『この一歩は』ってのやらしてよ~!!」
けど、違ったみたいだ。
「にゃんだ~。そんにゃことにゃ~」
「そんにゃことって……なんのことだと思っていたのよ?」
「いや、別に、にゃ……」
「何モジモジしてんの……あっ! そんなこと考えてたの!? このエロ猫!!」
「ベティが変にゃ言い方するからにゃろ~」
わしの早とちりがバレてしばらく罵られてしまったので、悪口は聞くに耐えないから元の話に戻す。
「月に行きたいと言われてもにゃ~……もうちょっとでUFOの魔力は満タンになるにゃろ? 元の世界に行ってからでもよくにゃい??」
「ハーレムに現を抜かして、ロマンを忘れてやがるな……このエロ猫め」
「わしも行きたいの我慢してるんゃから、エロ猫って言わないでくれにゃ~」
「行きたいなら行こうよ~。それに、移動距離にどれぐらい魔力が必要になるか知っておかないと、向こうでUFOが使えないじゃない?」
「それは一理あるにゃ……」
「もうエロ猫って言わないから~」
「絶対だにゃ??」
というわけで、ベティの悪口をやめさせるために、わしはウキウキしながら月旅行を計画するのであった。
「このエロ猫……めちゃくちゃ乗り気だな……」
「また言ったにゃ!?」
「じゃあ、中止ってことで~」
「いまさらこの熱い想いを止められないにゃ~~~」
結局はロマンに負けて、ベティの悪口は止まらないのであったとさ。
月旅行のコーディネーターは、妖精ゴーレムのノルン。一番UFOに詳しいので、キャプテン候補のベティの処女飛行も補佐してもらう。
日帰りを予定しているので、搭乗員は猫の国王族のみと考えていたのだが、東の国に住んでいるイサベレとの子供だけ仲間外れにするのはかわいそうだから誘いに行ったら、そこからさっちゃんと女王にバレて、連れて行けとうるさくなった。
こうなっては仕方がないので東の国組も参加。旅行プランを練り、休みを合わせ、ノルンによるベティの教育も終わったら、わしは時のダンジョンまでUFOを取りに行く。
わしたちがUFOと呼んでいる物は、正式名称『天の羅摩船』。実はこの乗り物はマジもんの神々の乗り物で、宇宙旅行だって異世界転移だってできちゃう次元船なのだ。
そのUFOにそっくりな次元船をわしの次元倉庫に入れた翌日……
猫市の飛行場に搭乗員が集まった。
猫の国からは、猫ファミリーの9人。それに加え、ベティとノルンとワンヂェンだ。
東の国からは、女王とさっちゃん。さっちゃんの長女と二歳下の長男。猫兄弟2匹。イサベレと猫耳娘。どこで聞き付けたのかわからない双子王女。王族世話係のメイドウサギが2人。
人間じゃない者も混ざっていて計算しづらいので、全員人換算で24人もの大所帯となってしまった。
「ちょっと多すぎない? こんなに入るの??」
「女王が連れて来たんにゃろ~」
UFOはそこそこ大きいが、10人ぐらいがちょうどいい大きさに見えるので、わしも失敗したかと思っていたら、ノルンとベティが指を横に振りながらUFOから降りて来た。
「「チッチッチッ……」」
「にゃ~~~?」
「マジカルベティ&ノルンにお任せよ~!」
「いや、定員オーバーはマジカル関係なくにゃい?」
「「さあ! 入るんだよ~!!」」
ベティ&ノルンはわしの疑問に答えずUFOに入って行ったので、まずは猫の国組から中へと入った。
「にゃ? 前に入った時より倍以上広くにゃい??」
「拡張機能がついてるんだよ~」
「それも外側の大きさは変わらないのよ。みんな呼びに行くついでに見て来なよ」
ベティにメッセンジャーに使われてしまっているが、確かに外からもう一度見たいので、王様なのにわしはダッシュ。女王たちを中に入れるついでに一周してよく見る。
さすがは神々が作りし次元船。体積を変えないまま室内を広げるぐらいお茶の子さいさい。見た目はまったく変わらずUFOのままだ。
わしが外を確認して戻ったら、そこではソファーのような白銀の物体に座ってくつろぐ一同。ベティ&ノルンが気を遣って出してくれたようだ。
「これから大気圏を越えるんにゃろ? こんにゃシートベルトもないソファーで、重力やら衝撃やらは大丈夫にゃの?」
「それも大丈夫なんだよ~」
「私も信じられないけど、まったく振動なしで宇宙に出れるんだって」
「本当に信じられない話だにゃ……」
「ノルンちゃんを信じるんだよ~!」
ベティはノルンから操縦を教わったのに、今ごろ心配になっている。
「ちにゃみにノルンちゃんは、時の賢者と宇宙に行ったことあるにゃ?」
「ないんだよ。今回が初宇宙なんだよ」
「「にゃんですと!?」」
「レッツゴーだよ~~~!!」
「「待ってにゃ~~~」」
不安なことを言われたからわしとベティは驚いているのに、ノルンは呪文を唱えて勝手にUFOを離陸させるのであった。
「揉めてるみたいだけど、何かあったの?」
わしたちが騒いでいると女王が声を掛けて来たので、ベティはわしに丸投げ。まだ女王オーラが怖いみたいだ。
「いや、もう出発したとか言うからにゃ。派手に出発式とかしたかったと言ってたんにゃ」
「これ、動いてるの? 部屋にいるのと変わらないわよ??」
「あ~。にゃんか制御装置ってのが付いてて、振動とかないらしいんにゃ。ちょっと外を見えるようにしてもらうにゃ~」
わしが不安なことを口走るとパニックになりそうなので、女王には嘘を言って白銀の操作パネルに乗っているノルンにお願いしてみる。
「床を透明にしてくれにゃい? あ、ソファーとかは浮かんでるようにしてくれにゃ」
「お安い御用なんだよ~」
「待ったにゃ!」
「「「「「うわ~~~……」」」」」
またしもわしの待ったは聞かず、ノルンはリクエスト通り床を透明にしてくれたので、皆は目下の景色を感動して見ている。
ちなみにわしは、急に足場がなくなったように見えたのでへたり込んでる。だから止めたのに……
ベティも同じく落下すると思ったらしく、恐怖で腰を抜かして這うようにわしの元へやって来た。
「やるならやるって言いなさいよ! チビるところだったじゃない!!」
「わしのせいじゃないにゃ~。ノルンちゃんが急にやったからにゃ~」
わしだってチビりそうになったんだから苦情はノルンにしたかったが、すでにやっちまったものは仕方がない。
「てか、ここってどれぐらいの高さなんだろ?」
「もう熱圏に入っているかもにゃ~」
「熱圏? 知らない言葉ね……その熱圏は、地上から何キロなの??」
「確か80キロからだったかにゃ?」
「はやっ!?」
「ノルンちゃん。横も見せてにゃ~」
「オッケーなんだよ~」
横も透明になったら、また皆から感嘆の声が上がったけど、わしとベティは驚愕の表情。
「もう大気圏越えてにゃい!?」
「宇宙じゃん!?」
「そうだよ。マッハ10で飛んでるんだから、あっという間なんだよ」
「「マッハ10にゃ!?」」
またしてもわしとベティだけ「にゃ~にゃ~」騒いでいたら、リータとメイバイがやって来た。
「2人とも、仲良すぎじゃないですか?」
「抱き合って何してるニャー」
そりゃ、床は透明だし音速の10倍で飛行していたと知ったら怖すぎて抱き合うよ。しかし、皆は前知識がないからまったく怖くないらしいので、通常運転。わしだけ帰ってから罰があるそうだ。
「えっと……にゃっ! 写真撮るから一旦ストップにゃ!!」
このまま月までノンストップで行くには怖いので、気持ちを落ち着かせるために一時停止。どうやったら地表をバックに集合写真が上手く撮れるか角度を探していたら、ノルンがいい角度にしてくれた。
「それじゃあ撮るにゃよ~? 1足す1は~?? ……にゃ~」
「「「「「いやいやいやいや……」」」」」
1枚目の集合写真は、全員、右手の先をバタバタしていたから、たぶん右手がない心霊写真になったと思う。
「動いちゃダメにゃ~」
「先に説明しなさい!」
「「「「「うんうん」」」」」
「にゃにを??」
どうやら女王たちは、UFOは真下に向いたのに自分たちの足は床にくっついてる現象がわからないから説明を求めていたみたいだ。
「どこから説明したもんにゃか……例えば、女王の部屋でこのボールをわしが手放したとしようにゃ。どうなるにゃ?」
「足下に落ちるに決まっているじゃない」
「だにゃ。それはにゃんでかわかるかにゃ?」
「なんでもなにも……そう決まっているとしか言えないわね」
「その決め付けがおかしいんにゃ。にゃにかしらの理由があるから、ボールは足下に落ちるんにゃ。その理由とは……メイバイ。答えてやってにゃ~」
「私ニャ!?」
突然わしがメイバイに振ったら、声が裏返った。
「にゃん度かわしが説明したことがあるからわかるにゃろ?」
「あ……アレのことニャ? 重力っての。足下に向けてその力が働いているってのニャー」
「その通りにゃ。まず、重力ってのを覚えてくれにゃ」
皆はなんとか付いて来てるようなので、次の説明に移る。
「それじゃあ、重力がない場合、このボールはどうなるにゃ?」
わしの質問に女王が手を上げたけど、子供たちも数人手を上げていたから譲ってくれた。
「そらとぶにゃ~」
「え~。うくんだよ」
「とぶ……」
子供たちの答えは出揃ったみたいなので女王を見たら、似たようなことを考えていたのか、わしに答えを催促するような仕草をした。
「にゃはは。みんにゃいい答えだけどちょっと違うかにゃ~?」
「「「「「ええ~」」」」」
「んじゃ、正解いってみようにゃ! ノルンち~ゃん。重力ゼロにゃ~!!」
「ポチッとな、だよ~」
「「「「「うわ~~~!!」」」」」
「「「「にゃ~~~!!」」」」
ノルンが三人組の悪党みたいなことを言ったと同時に、わしたちの体は浮き上がる。
「正解は、上も下も右も左もなくなるにゃ~。にゃははは」
初無重力状態。わしも夢が叶ったと嬉しくなって、皆と一緒に空中を泳ぎ続けるのであった……
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