58 / 192
猫歴15年~49年
猫歴34年その1にゃ~
しおりを挟む我が輩は猫である。名前はシラタマだ。保育士でも包丁職人でもない。
ニナのメイン武器が決まったので接近戦はわしが教えていたけど、温いと言われてメイバイママの元へ羽ばたいて行った。でも、すぐに戻って来た。ハードすぎたみたいだ。
接近戦の合間に、魔法も教育。戦闘で使いやすい魔法を教えていたら、ベティがやるとか言い出して奪われてしまった。やはり孫はかわいいみたいだ。猫じゃけど。
そこからは、接近戦もベティが教えるとうるさかったので任せていたら、月日は流れて実践訓練の日となった。
場所は例の如く中国にある黒い森の中。猫パーティ総出でやって来ているのでリータたちに奪われないように、ニナのレベルでも余裕な黒い獣をわしが持って来てあげた。
「さあ、離すにゃよ~?」
「こいにゃ~!」
ニナは気合いが入っているみたいなので、わしは黒い獣をけしかける。すると、黒い獣はニナに一直線に走って行って、ビッタ~ンとこけた。
「にゃあ? アレってベティの魔法だよにゃ??」
「そうよ。上手く使いこなしてるわね~」
「いや、それでいいにゃ??」
確かにベティが言うように、黒い獣がガム弾とかいう変な魔法に絡まって身動き取れないところをニナがゲシゲシ攻撃して倒していたから、悪いとは言い難い。
とりあえずは褒めて、最後の一匹を皆から譲ってもらってニナと戦わせ、わしたちは観戦している。
「なんだか戦い方が汚いような……」
「ベティみたいニャー」
「誰の戦い方が汚いのよ!?」
「「「「「ベティにゃ~」」」」」
「にゃ……」
リータとメイバイの呟きにベティは反論したけど、基本的にベティの戦闘方法はハメ技が多いので、全員一致の回答。それなのに任せっきりにしたから、ニナもハメ技が身に付いてしまったのだ。
「しかも包丁で戦うって……」
「ここまでイロモノに育つとは思ってなかったにゃ~」
わしが目を離したがために、ニナは猫パーティ随一のイロモノキャラになってしまっていたのであったとさ。
ニナのデビュー戦は、完勝したのだから褒められると思っていたのに、わしたちがずっとモジモジしていたので本猫にも勘付かれた。
「お婆ちゃんのせいにゃ……」
「お姉さん。お姉さんだよ~? それに、すっごく強かったよ~? かっこよかったよ~?」
なのでニナは、こんなイロモノキャラに育てたベティを睨んでいた。真っ先にお婆ちゃんを否定するから、褒めても納得しないのでは?
まぁオールラウンダーとしてはこの戦闘方法はアリなので、褒めてあげたらわしもギロッと睨まれた。バカにしてないって~。
今日のところはその戦い方で猫パーティ研修を続け、帰ってからはわしがニナの指導官に戻ったけど、いまのレベルでは正攻法より邪道のほうが強いので、悩んだ結果しばらくこれで行くとのこと。
それならばと各地で研修を行っていたけど、ニナは戦闘は少しだけして、あとは食材になりそうな物を探していたからわしとノルンが付き合っていた。
「これにゃら食べられそうじゃにゃい?」
「いや、バッタはやめたほうがいいにゃ~」
でも、虫ばっかり持って来るので、誰か代わってほしい。
「にゃんで~?」
「腹はムギュッとして苦い液体が出るし、足とか羽は歯に詰まるんにゃ」
「食べたことあるにゃ??」
「うんにゃ。子供の頃は山の中で暮らしていたから、食べ物はそんにゃのしかなかったんにゃ」
「マスターは貧乏だったんだよ~」
「貧乏とかじゃなくて、野生の猫にゃ~」
「どう違うんだよ?」
ニナに説明しているのに、ノルンが茶々を入れるのでうっとうしい。仕方がないので、猫王様シリーズの小説で割愛していたわしの食生活を語ってあげたら、ノルンにはエンガチョされた。
ゴキブリを食べていたのはエリザベスたちだと言っておろう! わしはベジタリアンじゃ!!
「美味しかった虫はないにゃ~?」
ノルンとケンカしていたら、ニナが目を輝かせて割って入って来たけど、美味しい虫なんてない。
「う~ん……食べられたのは、せいぜいイモムシぐらいかにゃ~? にゃんのイモムシかはわからにゃいけど、クリーミーで甘いのがあったにゃ」
「掘ったらいいにゃ!?」
「にゃんでそこまで虫が食べたいにゃ??」
「だって~。ママとお婆ちゃんみたいに、新しい料理を作りたいってのが料理人ってモノにゃろ~? 普通の食材じゃ超えられないにゃ~」
「別にエミリたちは、新しい料理なんて作ってないにゃよ? 元からあるレシピをこの世界で広めてるだけにゃ~」
「それでもにゃ。あーしは新しい道を切り開きたいんにゃ。パパもイモムシ探すの手伝ってにゃ~」
そこまで言われちゃあ、親として娘の夢を応援しないわけにはいかない。わしは覚悟を決めて、ニナとイモムシ探しをするのであった。
「……ぎにゃ~~~! にゃんかデカイの出たにゃ~~~!!」
「キモイんだよ~~~!!」
でも、岩をどけたらバスケットボール以上大きな顔があり、目があったと思った瞬間、モソモソと出て来たらイモムシ。全長2メートルを超えるイモムシでは虚を突かれたので、ノルンと一緒に逃げ回るわしであったとさ。
「けっこうかわいいと思うんだけどにゃ~?」
ニナには、そんな馬鹿デカいイモムシでもかわいく見えるらしい……食べるクセに!!
猫パーティに正式加入したニナはこのままいくと、わしに何を食べさせようとして来るかわからないので、猫大地下図書館に連れて行ってゲテモノ料理や虫食の本を紹介してみる。
おかげ様でニナはますますイロモノキャラに成長しているので、ノルンが興味津々。わしの頭から移ってベティのチリチリパーマを巣にしていたのに、ニナの頭に移り住んだ。
「それならマスターも食べれるんだよ~」
「サソリにゃ~? どこにいるんにゃろ??」
「砂漠なんだよ。今度、南の国に遊びに行くんだよ~」
「それはいいにゃ~。あーし、南の国に行ったことないにゃ~」
ノルンの目的は、わしにゲテモノ料理を食わそうとしているのかも?
「魚介類にしないにゃ~? ホヤとかナマコも見た目、グロテスクにゃろ~??」
「ホントにゃ~。どんにゃ味がするんにゃろ~?」
「マスターに乗せられたら……ムグッ」
「黙ってろにゃ……」
なので、食べたことのある物を出してノルンの口を塞ぎ、しばらくは虫のことを忘れさせるわしであった。
エミリやベティでも作らない魚介類料理にわしが舌鼓を打っていたら、猫歴34年の1月にある大イベントがやって来た。
「にゃ~! 入学おめでとうにゃ~~~!!」
第三陣の子供たちが小学校に上がったのだ。オニタの入学式を含めると4度目なのに、今回もわしの涙は必須。自分の子供の入学式ではないお母様方は苦笑いで見てる。
今回は、イサベレ、つゆ、お春、コリスの子供だから4人。ただし、超問題児のリリスがいるので心配だ。なので、しばらくはわしが護衛につくことを家族も認めてくれた。
「えっと……では、リリスさん。これを読んでくれますか?」
「ホロッホロッホロッホロッ」
「なんと言ってるのかな~?」
だってリリスは、4足歩行の謎生物なんだもん。イスにだって座れないから、わしが作ったリリス用の勉強机で寝転びながら授業を受けるしかないのだ。
残念なことに、リリスはまだ幼いから変身魔法は使えないし、コリスのように二足歩行したり喋ったりもできない。てか、コリスってなんで二足歩行で喋れるんじゃ??
念話も思い通り任意の人に使えないから、猫ファミリーぐらいしか意思疎通ができない。念話の魔道具を使えばなんとかなると思っていたけど、どういうわけか先生の魔道具をレジストしてしまっているから授業になりそうにないのだ。
「えっと……ご自宅で勉強なされてはいかがでしょうか……」
「え~! 1人だけかわいそうにゃろ~」
なので、先生はサジ投げやがったから、わしは護衛からモンスターペアレントに変身!
「シラタマさん! 帰りますよ!!」
「ご迷惑お掛けしましたニャー!!」
なのでなので、わしが問題を起こさないかと見張っていたリータとメイバイに、首根っ子を掴まれて小学校から追い出されるのであったとさ。
「どうしよっかにゃ~?」
リータたちにババチビルほど怒られたら、家族会議。リリスが小学校に通えないのは、大誤算だ。
「だから無理だと言ったじゃないですか」
「わかりきっていたことニャー!」
いや、皆から止められたけど、わしがかわいそうだからとムリヤリ捻じ込んだってのが真相だ。
「勉強はあとからにして、猫パーティに入れてはどうですか?」
「それなら魔力量も増えて、変身魔法だって無理なく使えると思うにゃ~」
「あ~……コリスみたいににゃ……」
「「コリスちゃんみたいに……」」
リータとメイバイの案を採用しようと思ったけど、皆でニコニコしているコリスを見たら言い淀んだ。そして、サササッと距離を取って3人でコソコソと喋る。
「コリスも小学校に入れないといけないのかにゃ?」
そう。コリスはお母さんでも、学力は小1程度。わしたちが家庭教師から必死こいて学んでいたのに、リリスと一緒にぐうたら寝ていたのだ。
「いまさら小学校はおかしいでしょ。王妃ですよ?」
「子供と一緒に授業なんて、違和感しかないニャー」
「あ~……確かににゃ。大人でも受けられる夜間学校をセンジに作ってもらおうかにゃ~?」
「「それだけが問題じゃないにゃ~」」
「リスだもんにゃ~」
わしだって一番の問題はわかってるっちゅうの。獣と人間の違いだ。それにコリスはいつまで経っても子供っぽいから、それを先に脱却しないといけない。
「コリス~。勉強したくにゃ~い?」
「え~? 勉強なんてしなくても生きていけるよ~??」
とりあえずそれとなく促してみたら、獣基準の反論が返って来た。獣じゃもん。
「まぁそうにゃんだけどにゃ~……もしもわしが急に死んでしまったら、どうするにゃ? たぶんコリスがみんにゃを養わないといけないんにゃよ? 猫の国のことも頼みたいから、ちょっとは賢くなってほしいんにゃ~」
というわけで、一家の大黒柱になってほしいと言ってみたら……
「モフモフ……死ぬの??」
「可能性はゼロではないかにゃ~?」
「や~! 死んじゃ、や~~~!!」
コリス、大泣き。
「「「「「パパ、死んじゃイヤにゃ~~~!!」」」」」
釣られて第三陣の子供たちまで大号泣。わしはモフモフに押し潰されてしまった。
「ちょ、ちょっと待ってにゃ。死なにゃいから……く、苦しい……た、助けてにゃ……」
ちょっとした例え話が現実に。わしは子供たちの圧力で窒息死してしまうのであった。
「シラタマさん! 大丈夫ですか!?」
「どいてニャ! どくんニャー!!」
そんなわけはなく、リータとメイバイに救出されて息を吹き返すわしであったとさ。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3)
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる