猫王様の千年股旅

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猫歴73年~

猫歴85年にゃ~

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 我が輩は猫である。名前はシラタマだ。わしも子供たちもペットではない。

 ウロがニナのことをペット扱いしていたのでかわいそう過ぎる。しかし、ニナはウロを狙っていたから、これはいい傾向だろう。かわいい娘は取られないもん。

「パパ……ウロ君ににゃんか言ったにゃ?」
「にゃんのこと?」
「最近、すっごく優しいんにゃ~。グレタも毅然とした態度でフッたんにゃ~。もうメロメロにゃ~。パパ、ありがとにゃ~」
「にゃんですと!?」

 わしがウロを怒ったりお願いしたことは逆効果。ウロはわしが怖いからって、必要以上にニナに気を遣っているっぽい。
 そんなことをすると、ニナを袖にする時にすっごいダメージになるのでは?

 わしは傷が浅い内に、ウロに釘を刺すべきかと大いに悩むことになるのであったとさ。


 ニナがあまりにも幸せそうな顔をしてゴロゴロ喉を鳴らしているので、袖にしてくれとウロには言えず。お母様方にも相談したけど、このままくっつくかもしれないから様子見がいいのではないかとなってしまった。

 猫歴84年はウロとグレタの猫クラン加入ということで無駄に長い回……じゃなかった。1年が長く感じる年であったが、我が猫家も世界も平和。
 年が替わって猫歴85年になっても、ニナがラブラブな空気をまとっている以外は平和。そのことに目を瞑り、お昼寝していたらメイバイの誕生日となった。

「メイバイさん。100歳おめでとうございますにゃ~」
「「「「「おめでとうにゃ~」」」」」

 そう。リータの音頭とたくさんのクラッカーが響き渡った今日の主役は、メイバイ御年100歳。嬉しそうな顔をしているけど、引き攣っているようにも見えなくない。
 女性だもんね。ララたちでも80歳を嫌そうにしていたのに、3桁突入は喜ぶに喜べないみたいだ。

 それでもメイバイは作り笑いを頑張り、子供たちや孫たちに祝われている。同じ100歳の誕生日会なのに、ワンヂェンの時と全然違うな。

「にゃあ旦那様……」
「にゃに?」
「ウチの時、こんにゃに祝福された記憶がないんにゃけど……」

 ワンヂェンも同じこと思っていたみたい。

「ワンヂェンは老人のフリしてたからにゃろ」
「ウチだって知らなかったんにゃ~」
「知ったあと、男漁りできると浮かれてたからにゃろ。そんにゃことされたら祝えるワケないにゃ」
「あの時はどうかしてたんにゃ~。ウチのこともチヤホヤしてにゃ~。旦那様~」
「暑苦しいからくっつくにゃ~」

 こんな時ぐらいしかわしを夫として扱わないワンヂェンを押し返していたら、イチャイチャしてると勘違いされて、主役のメイバイにわしは奪い取られた。

「イチャイチャするなら私としてニャー」
「いや、イチャイチャしてないにゃよ? ワンヂェンが絡み付いて来ただけにゃ~」
「それがイチャイチャしてると言ってるんニャー!」

 言い訳は不発。本当にわしはワンヂェンを押し返していたのに、モフモフの刑で気絶し掛かったよ。

「てか、あんまり嬉しそうじゃないように見えたけど、にゃんか不安なことあるにゃ?」
「ああ~……」

 どうやらわしの予想は当たっていたみたい。メイバイはわしを前に置いて心内を吐き出す。

「100年は長いニャー。これがあと200年も続くと思ったら、ゾッとしたんニャ。よくシラタマ殿は耐えられるニャー」
「にゃるほど。そういうことにゃ~。もう飽きちゃったんにゃ」
「シラタマ殿は飽きてないニャー?」
「まぁ……第四世界のこの人生は、いまのところ飽きるってことはなかったかにゃ? やること多いしにゃ」
「うっそニャー。お昼寝ばっかりしてたニャー」

 メイバイは嘘と切り捨てて、イサベレに同じ質問をしていた。

「私は、とうの昔に飽きてる」
「そうだったニャ! この人、感情死んでるんだったニャー!」
「その言い方は酷くない?」

 しかしイサベレは、すでに200年近く生きているから参考にならず。メイバイのせいで怒っていたが、わしがモフモフの刑を受けたのはなんでじゃ?

「リータはどうニャ? 飽きてるよニャー?」
「私は全然飽きてませんよ? 見るモノ全てがキラキラして見えますもん」
「どこが……え? 前世が岩っての、ホントだったニャー??」
「信じてなかったのですか!? 信じるって言ってたでしょ!?」

 リータも聞く相手が悪い。リータは第二世界からの転生者。それも元の世界では鉱物の生命体だったから、何百年、もしくは何千年、星空ばかりを見て来たかわからないもん。
 だから、どうしてわしがモフモフの刑を受けなきゃならんのじゃ?

「べ、ベティはどうニャ? シラタマ殿と同い年ぐらいニャろ?」
「あたしもシラタマ君と同じ意見かな~? 狩りも料理も楽しいし、お金持ちの遊びもやりたい放題だしね」
「エ、エミリはどうニャー!」
「もうちょっとあたしにも興味持ってくんない??」

 猫家きっての遊び人ベティに聞くのも間違い。参考にならないと気付いたメイバイは標的をエミリに移したから、ベティはわしをモフモフの刑。撫で方が荒いからコチョバイな。てか、なんでじゃ?
 ちなみにエミリもそこまで飽きてないらしい。理由は、第三世界の料理レシピがあるから、作っても作っても終わらないんだってさ。

「コリスちゃんたちは……」
「美味しいモノいっぱい食べられて楽しいよ。ね?」
「うんにゃ~」

 コリスとリリスは100%獣だから、人間の感性は持ち合わせておらず。猫クラン活動がない日は食っちゃ寝してるから、そりゃ幸せでしょうね。わしでキャッチボールしないでください。

「エリザベスちゃんとルシウス君は……」
「「にゃ~ん」」
「でしょうニャ」

 猫兄弟も一緒。聞く必要なかったけど、エリザベスはなんでわしを叩くんじゃ?

「ワンヂェンちゃん! ワンヂェンちゃんは!?」
「ウチは~……ちょっと飽きてたけど、この子が生まれて来てくれたからにゃ~。メイバイも、もう1人産んだらどうにゃ? そしたら毎日楽しくなるにゃ~」

 やっと同じ意見の人が現れたけど、ワンヂェンは盛り返していたから少し違う。パンダ柄の子供がワンヂェンの膝に乗ってるから、わしは撫でられもしない。

「子供ニャ……」
「「「子供……」」」

 しかしながらそのアドバイスは的確。メイバイに加えて、ワンヂェン以外の王妃と側室がわしをロックオンだ。

「う、うんにゃ。いまはこの話はやめておこうにゃ~。子供たちが引いてるにゃ~~~」
「「「「「やめてくれにゃ~~~!」」」」」

 だがしかし、今日は家族全員が揃っている日。子供や孫たちは、一致団結して王妃様方の口を塞いでくれたのであったとさ。


 それからは、美味しい物を食べて一旦ブレイク。気持ちが落ち着いた頃に、わしはメイバイに声を掛ける。

「要は、人生のアクセントが欲しいんにゃろ? だったら簡単にゃ。趣味に没頭したらいいんにゃ」
「趣味ニャー……」
「にゃんか興味あることないにゃ?」
「モフモフ……」
「それは置いておこうにゃ」
「狩り……」
「にゃんかあるにゃろ~。ゲームでも漫画でもファッションでもにゃ」

 メイバイは仕事以外はモフモフだけ。そりゃ飽きるわな。

「思い付かないニャー!」
「う~ん……しばらくみんにゃに趣味を教えてもらったらどうにゃ? そしたら、にゃんか気に入るモノも出て来るんじゃにゃい??」
「それはそうだニャ! みんニャー。いつも何してるニャー?」

 メイバイ、100歳にして、趣味を探す。

「イサベレもどうにゃ? ちょっとは人生が彩るにゃろ」
「ん。盲点だった」
「それなら私もやろっかな~?」

 イサベレとリータも、メイバイと一緒に趣味を探すのであった。でも、聞かれる子供や孫たちは、猫家最高権力者を前にして、自分の趣味の発表は「地獄だ」と緊張しまくるのであったとさ。

 母親やお婆ちゃんにディープなこと言いづらいよね……なんかゴメンね。


 王妃様方が趣味探しに奔走ほんそうするので、猫クラン活動のない日はお昼寝し放題。わしはコリスたち四つ足組と一緒にお昼寝三昧だ。
 たまに「モフ、モフモフ……」と苦しそうな寝言が聞こえるなと思ったら、ウサ耳ミテナ。わしたちが気持ち良く寝てるから、モフモフに誘われたっぽい。苦しいなら入って来るなよ。この変態が……

「そういえばみっちゃんは二度目の人生にゃけど、飽きてないにゃ?」
「ぜんぜん。庶民の暮らし、すっごく楽しいよ。あ、でも、死ぬ前の20年くらいは、やり甲斐みたいなのがなかったかも?」
「女王って仕事は激務だもんにゃ~。そりゃ気が抜けるにゃ~」
「そうそう。お母様が子供基金やり始めた頃はまだ働くんだと呆れたけど、退位してから気持ちが痛いほどよくわかったわ。私もアレがなかったら、気が狂ってたわよ」
「みっちゃんはそこまで重症じゃなかったようにゃ……」
「シラタマちゃんが知らないだけよ!!」

 皆の話を聞いていたから輪廻転生者のミテナにも聞いてみたら、逆ギレでモフモフの刑。思い返してみても、わしと会う日はいつも楽しそうにしていたから、ミテナには燃え尽き症候群は当て嵌まらなかったと確信したのであったとさ。


 それからもわしはお昼寝生活を送っていたら、9月となった。この頃には皆の趣味を網羅したアンクルチームであったが、しっくり来る物がなかったみたい。

「そういえばメイバイって、音楽好きじゃにゃかった?」
「音楽ニャー? 嫌いじゃないけど、クラシック音楽は肩が凝るニャー」
「そういう上品なのじゃないにゃ。初めて京に行った時に、爆音団ってバンドを楽しそうに見ていたにゃ~」
「なんかあったニャ!」
「確か、爆音団のレコードがどっかにあったようにゃ……」

 メイバイが思い出し掛けていたので、わしは次元倉庫に入っているレコードを全て出して、皆でタイトルを確認する。
 爆音団のレコードを発見したら流してみると、1枚は建国記念日でいつも流れている曲。「そういえば第二回建国記念日は、爆音団にオファーしたな~」と、アンクルチームで懐かしむ。

 もう1枚は、爆音団のソロアルバム。わしの好みでは無かったから、他の媒体にコピーしていなかったので久し振りに聞いたけど、うるさいな。なんで三味線でエレキギターみたいな音が鳴るんじゃ。
 しかしメイバイはノリノリ。コリスもあの頃を思い出したのか、コロコロ転がっている。それは人の上でやっていたような……

 このレコードのおかげで、メイバイの趣味は決定だ。他にも似たような音楽がないかと、ネコチューブや第三世界で買って来たCDを聞き漁る日々。
 リータたちアンクルチームも暇なのかメイバイに付き合っていたら、10月半ばに大発表があった。

「みんニャー! ノッてるニャー!!」

 どこで間違えたのか、アンクルチームはバンド組んじゃったよ。ギター、メイバイ。ベース、イサベレ。ドラム、何故かベティ。
 カスタネット、ノルン……カスタネット?? コリスはなんじゃろ? マスコット??

 よくわからないバンド編成のヴォーカルは、これまた何故かリータ。そういえば双子王女からボイストレーニング受けて、普通に歌えるようになったような……とりあえずわしはノッてません。

「聞いてくださいニャ。私たちキャットガールズのデビュー曲……白猫ブルースニャー!」

 なんだかわからないけど、演奏が始まったので皆は興味津々で耳を傾けたら……

「ボエー! ボエー! ボボボ、ボエーーー!!」

 デスメタル!?

 どうやらリータは、最初はドラムをしようとしたけど、不器用だからってたらい回しに。それでヴォーカルしかないとやらせてみると、デスメタルしか声質が合わなかったから、こんなうるさい曲になったんだってさ。

 こうしてキャットガールズは始動したけど、わしを含めた家族の半数は、そっと会場を後にしたのであったとさ。
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