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7話

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 1人だけ心力の属性がわからない。それでは色々と不便だとのことで研究室へと連れてこられた俺。だが

 「…なんでお前たちまでいるんだよ。」

 そう、俺と一緒にクレアやシズク。カイなど同じ班のメンツが全員来てしまったのだ。

 「そりゃあ仲間の情報は取り寄せておかないとな。というか色々知っておかないとな。」

 「…ん、色々知っとかないといざとなった時に不便。」

 そんなこんなで茶番を広げていると、奥からライヤが現れた 

 「おぉ、来てた来てた。んじゃ早速心力の属性を調べていこうと思う。とりあえずこの台に手を乗せてくれ。」

 とりあえず言われたままにチューブに繋げられた機械に手を乗せる。

 「そして目を瞑り、身体の中に流れる血液を意識しろ。そしてその血液を一気に台に流し込むようなイメージだ。」

 「分かりました。…ふっ!」

 ドォォォォォォン

 血液を感じとった瞬間、思いっきりそれを台にぶち込むイメージで力を入れた瞬間、台ごと機械がぶっ飛んだ。

 「…は?まさかこんなこと…」

 クレア達はポケーっとした表情でいたが、ライヤはすぐに気が戻り、機械をカタカタ操作し始めた。

 「…わかった、お前の属性は闇と自然の2種持ち。だが未だかつてふたつ持ちなんて聞いたことがない。これの情報が漏れたらテロリストに狙われやすそうだな。」

 「2種持ちなんているのか!?そんなもの聞いたことがないぞ!」

 「あぁ、俺も初めて見た。そんで心力量なんだが…」

 そうつぶやき、ディスプレイに数値を出す。まて、これは

 「…∞て書いてますけど、まさか無限なんですか?」

 「そのまさかだ…。何があったのかは知らんが、こんな数値は未だかつて見た事がない。」

 …嘘だろ?そしたらなんでもやり放題ってことじゃねぇか。

 「だがお前の場合、他のやつらみたいに具現化できるか?力を。シズク、手から水を出してみてくれ。」

 「…ん。わかった」

 そう指示されたシズクは、何ともない自然な動作で指先から水を垂らす。

 「まぁお前の属性の問題的に、具現化させても見えずらいとは思うんだが感じることは出来る。とりあえず、手のひらに闇属性を意識して発動させてみてくれ。ちなみに、手のひらに血液を集めるイメージでやれば出来るとは思うぞ。」

 そう言われて、手のひらに集中させるが…。

 「何も…起こらないっすね。というか心力の気配すらしなかったっす。どういうことなんすかね。」

 「…まぁこれは推測なんだが、ハジメ。お前は確かに心力の量は尋常じゃない。だが具現化させることすら出来ない。つまり、何らかの影響によりダムから水が放出できない。そういう感覚に近いだろう。だが、これから先何かしらの理由で使えるようになるかもしれん。だから心配はするな」

 「はい。」

 まぁそのうち使えるようになるだろう。あとは自分の腕を信じるだけだ。

 「よし、とりあえず時間的にもう昼休みに突入している。飯を食ってこい。腹が減っただろ?」

 時計を見ると、確かに13時と表示されていた。

 そして、俺たちは食堂へと向かうのだった。



 「食堂来たのはいいっすけど…金入れられなくないすか?」

 さっそく食堂に着いたのはいいが、食券機の硬貨を入れる場所がないらしい。

 「んー、少し待て。えぇっと…」

 すると、クレアが食券機をぺたぺたと触り始めた。

 「…あ、そーいうことか。なるほど」

 すると、胸元のバッジを押し、ディスプレイを開くと、ポイント画面から食券を購入していた。

 「え、すげぇ。なんでわかったんだ?」

 「いや、硬貨が入れられないのならば、ポイントとやらをつかってみたらたまたま上手くいっただけだぞ?」

 クレアって馬鹿なイメージしかなかったんだけどな。

 「.......ハジメ?馬鹿そうって顔してるけど、クレア筆記試験満点だよ?」

 えっ、嘘でしょ?

 「?なんのことだー??」

 「だっ、大丈夫だ!なんでもない!」

 いやマジか。意外と頭良いんだな。
改めてクレアの凄さを知るのであった。

 そんなこんなで、みんなで仲良くカレーうどんを頼んだ俺たち。だが

 「なんか俺のやつだけ量多くないっすか?えっ、おかしくないすか?」

 そう、俺達は至って普通なんだが、カイのカレーうどんだけ量が1,5倍かそれ以上ある。それにかしわ天やらちくわ天やら色んなものがどっさりと。

 「まぁこれも天からのお恵みっすね!んじゃ、頂くっす!」

 あれだけあったカレーうどんをみるみるうちに吸い込んでいくカイ。恐るべし胃袋

 そして、食事を済ませた俺たちは、ライヤの元へと向かうのであった。
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