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そしてこうなる
オリバーside2
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セシリア王女の護衛任務を他の騎士と交代して、オリバーは足早に回廊を進んでいた。
ここ最近苛立たしく思うところがあったのだが、こういった煮えたぎるような気持ちを発散するには、動くのが一番! と思い立ち訓練場に向かうことにしたのだ。
すると、まさに自分が向かう先から昨日会ったばかりの騎士が歩いてくる。小さく会釈をすれば、そのまますれ違うと思われた相手は何やら上機嫌の様子で鋭い三白眼を細めると、ニヤッと口の端を上げた笑みを向けてきた。
その面だけで、元々高くないどころか最低だったメリッサの元彼の評価を再認識するに十分だった。
飾らず正直に言えば、オリバーはバージルが嫌いである。
「楽しそうな任務してたじゃねぇか。本当に王都組は羨ましいよな」
「のぞき見とは趣味が悪いな」
「俺だけじゃないって。文句ならメリッサにも言えよ」
「メリッサ?」
なぜここでその名前が出るのか。と、眉根を寄せたオリバーの反応に、バージルはその気にくわない笑みのまま首を傾げてみせた。
「オリバーはあいつの男なのか?」
「は?」
遠慮もなにもない問いに不快感を隠さず返すが、オリバーの態度など構う気もないのだろう。相手はよく動く舌に尚も言葉をのせる。そしてその言葉はオリバーの脳天をぶん殴るに十分だった。
「だとしてもご愁傷様だな。メリッサは元々俺を追っかけて騎士団にまで入ったんだぜ」
「は──?」
そんなことは初耳だ。
初耳だし、見下ろすかのように勝ち誇った男の顔は、殴り飛ばしてやりたいほどに憎たらしい。やはりこいつはクソ野郎だな。と、オリバーは一見無表情に見える顔の内心で唾を吐き捨てた。
『あまり良いと思えたことがないからなあ』
酔った勢いのまま下世話な話題で盛り上がったあの夜、メリッサは男女の営みについてそんな感想をこぼしていた。実際オリバーの愛撫にはいたく感激していたし、なんなら輝くような瞳でアンコールを求められて一度萎えたほどだ。
これだけで、メリッサと元彼の行為がどんなものだったかなんてある程度予想がつく。
そしてそれは、第一部隊の面々に常日頃男女のあれこれを説いて周るクリス隊長に言わせれば、クソ野郎の所業なのだ。
*****
酔った勢いでメリッサとヤッてしまってから、どこもかしこもおかしい。
あの日からオリバーの頭の中はそんな悩みでいっぱいだった。
若かりし頃の初体験がトラウマとなったオリバーには『清楚で控えめ、透明感があり風に吹かれたら消えてしまいそうなほどの儚さと、おしとやかで純真無垢なド清純』、至高は畏れ多くも我が国の末姫、妖精のような容姿と評判の第三王女セシリア様。という詰め込めるだけ詰め込んだ譲れない理想があった。次こそは掲げた理想そのものとはいわずとも、近しい人と……と固く誓っていたほどに。
でなくとも、そもそも勃たない。
オリバーの下半身は、初体験以降、掲げる理想全てとは言わずとも、当てはまる相手でなくてはなんの反応もしなくなってしまったのだ。そしてオリバー自身もそれで構わないと思っていた。それほど初体験がトラウマだった。恐ろしいほどの快感と、文字通り食い殺されんばかりのギラついた欲望に襲われる恐怖など、筆舌に尽くしがたい。怖いのに感じすぎるなんて情緒が死ぬ。
おかげでオリバーのオリバーはすっかり竦んでしまった。
──そのはずだったのに!
酒が入っていたとはいえ、メリッサを前にしたオリバーのイチモツは、今まで鳴りを潜めていたのが嘘のように元気いっぱい勃ち上がった。
同時にオリバー自身も、相手が新人訓練以来の友であるメリッサだというのに興奮が治まらなかったのだから、もうおかしいとしか言いようがない。
とにかくあの夜の床では、メリッサの全てが琴線に触れた。
普段はオリバーの理想とは真逆とも言えるほど、強靭な肉体を持つ頼もしい騎士であり、第二部隊のダレル隊長へ呆れるほどの信仰を見せる変人だというのに──あれはなんだとツッこまずにはいられない。
白い肢体をベッドに投げ出し、金糸のようなブロンドがシーツに散る様は純真無垢ともいえる美しさだった。そして色白の肌を桃色に染めて、快楽に溺れるほど幼くなる口調と素直に強請ってくる姿など、まるで初心な少女ではないか。
特筆すべきは胸だ。
実は胸には並々ならぬこだわりがあったオリバーである。
心に描く女性像を壊さぬような、大きすぎず小さすぎず程よいサイズ感でありながら、性的興奮を覚えるエロさも譲れない。色・形・大きさ・弾力、全てを満たす美乳などお目にかかれることがあるのだろうか……と、悲願ともいえる乳房が、信じられないことに目の前に現れたのだ。この衝撃たるや、迂闊にも我を忘れた。
それでいて、最後の最後でとんでもない衝撃に襲われる。驚くべきことに、すでにリーチがかかっているのにまだあった。
恐ろしいほど相性が抜群だった。恐ろしいほどにだ。
得られる興奮と快楽の度合いは、トラウマにもなった初体験に並ぶか……勝るかもしれない。
おかげで酔いが醒めてからも気を抜けばメリッサで頭はいっぱいになるし、思い出すだけであんなに頑なだったオリバーのオリバーが疼いて仕方がない。
幸か不幸か、爆発寸前の性欲を抱えた苦悩はメリッサも同じだったようで、勢いのまま二度目を致してからはタガが外れたように何度も関係を持った。とはいえ、おそらくお互い様だ。以来、各々昂った際にまるで「飯行こうぜ!」なテンションで誘い合う仲になっている。
その状態が続く中でとどめとなったのは、オリバーが所属する第一部隊の二週間遠征だった。
一言で言い表すなら──ヤバかった。
欲求不満が高まりすぎて頭も体も破裂するかと思った。最後の方など、隙を見せれば如何わしい妄想を垂れ流す頭と勃とうとする下半身を抑えるのに全神経を集中させた。それでも魔獣討伐任務の中、何食わぬ顔を装い任務をこなした自分を褒めてやりたい。
……さすがにクリス隊長には、心ここにあらずを感付かれて容赦なくど突かれたが。
だが、それら以上に深刻な問題があった。いや、身体的な問題も十分由々しき事態なのだが、何よりも精神面の崩壊が一大事だった。
二週間メリッサと離れている間、おかしな不安に襲われるようになったのだ。
今までメリッサがダレル隊長を崇め称えることに呆れはしても、それだけ。……まあ、その盲信っぷりに若干引くくらいだった。それが、自分の隊長の素晴らしさを熱く語るメリッサの姿が、ふとした瞬間に何かと脳裏をよぎる。
一見、メリッサは冷静で凛とした頼もしい女騎士だ。
現に、騎士団の仲間からはその通りの評価を受けている。実際はダレル隊長を狂ったように崇め奉るようなアレなのだが、アレな姿を知っているのはオリバーのみと断言してもいいだろう。
とにかく、真面目で冷静沈着な騎士を装っていたとしても、あれだけの熱量を持った滾る想いを向けられて、ダレル隊長は全くなにも感じていないのか? と。ふと思い至ったのだ。
なんなら、メリッサと関係を持つ前、オリバーはメリッサとダレル隊長はそういう仲だとすら思っていた。
そして、それを特に何も感じることなく考えていた。
それがどうしたことだろう。
オリバー不在の間、あの二人になんらかの進展があって、そのまま──と、妄想力豊かな頭がベッドインの更に先までをも脳裏に映し出そうとするたびに、いてもたってもいられない焦燥感に駆られた。少しでも気を抜けばその場で叫び出しそうになった。──ギリギリで堪えて叫ばなかったが。
突然隣の騎士が叫び出して頭を抱え地面を転がり回ろうものなら、気が触れたようにしか見えないだろう。オリバーだって、横でそんなことする奴がいたら単純に怖いし全力で避ける。
だが実際、ダレル隊長が相手ならメリッサはいつでも大歓迎じゃないのか?
となると、あの、与える快感全てを素直に拾い、普段の落ち着いた声からは想像つかないような少し高い声で喘ぎまくり、可愛らしい口調で強請ってくる姿、そしてなによりオリバーの理想そのものといっても過言ではない芸術のような乳房を、ダレル隊長も見るのか? 俺以外が見て触れるのか?
いや、それ無理。
自分しか知らないメリッサの姿が、他の男の目に触れると考えただけで怒りにも似た感情ではらわたが煮えくり返った。
結果オリバーは我慢できず、一睡もせずに単騎で先駆けて戻るという強行策に出る。もっともらしことを並べ立て誰にも譲らんとばかりに名乗り上げたのだが、その目的は不純極まりなかったわけだ。しかし、結果的に騎士団としては役に立ったのだからいいだろう。
そのような経緯で無事に再会を果たしたわけだが、お互いの性欲を思う存分発散したところで第二での飲み会エピソードがぶっ込まれたのだ。
「共倒れになったところで相手の手が胸にこう当たったんだけど、その瞬間──無い! って叫ばれたんだ」
オリバーだけが触れていた胸を他の奴に揉まれたという。自分でも理不尽だと思うが──何を無防備に揉ませてんだこいつ。と滾った怒りの末、
「……あ?」
これまで出したことのないような渾身のドスの効いた声を出してしまった。
ここまで来れば、オリバーも自覚せずにはいられない。
メリッサに対して、激しい独占欲が生まれてしまっていることに。
それはその後、臨時任務として命じられたセシリア王女の護衛でハッキリした。
己の理想として散々メリッサに語り倒していた王女の護衛につける。
通常ならば接する機会のないセシリア王女の傍に並ぶことができる。
その事実に心を動かされなかったのだ。
どころか、それよりもダレル隊長の副隊長に任じられたメリッサの浮かれっぷりに苛立った。何が一日中拝んでいられる。だ、真面目に仕事をしろ。なんて、言わなくてもどうせ完璧な外面で難なくこなすんだろうよ。内心は浮かれっぱなしのくせにな。そんな愚痴にも似た小言が心の内を埋め尽くす。
それは実際にセシリア王女を目の前にしても変わらなかった。
ここ最近苛立たしく思うところがあったのだが、こういった煮えたぎるような気持ちを発散するには、動くのが一番! と思い立ち訓練場に向かうことにしたのだ。
すると、まさに自分が向かう先から昨日会ったばかりの騎士が歩いてくる。小さく会釈をすれば、そのまますれ違うと思われた相手は何やら上機嫌の様子で鋭い三白眼を細めると、ニヤッと口の端を上げた笑みを向けてきた。
その面だけで、元々高くないどころか最低だったメリッサの元彼の評価を再認識するに十分だった。
飾らず正直に言えば、オリバーはバージルが嫌いである。
「楽しそうな任務してたじゃねぇか。本当に王都組は羨ましいよな」
「のぞき見とは趣味が悪いな」
「俺だけじゃないって。文句ならメリッサにも言えよ」
「メリッサ?」
なぜここでその名前が出るのか。と、眉根を寄せたオリバーの反応に、バージルはその気にくわない笑みのまま首を傾げてみせた。
「オリバーはあいつの男なのか?」
「は?」
遠慮もなにもない問いに不快感を隠さず返すが、オリバーの態度など構う気もないのだろう。相手はよく動く舌に尚も言葉をのせる。そしてその言葉はオリバーの脳天をぶん殴るに十分だった。
「だとしてもご愁傷様だな。メリッサは元々俺を追っかけて騎士団にまで入ったんだぜ」
「は──?」
そんなことは初耳だ。
初耳だし、見下ろすかのように勝ち誇った男の顔は、殴り飛ばしてやりたいほどに憎たらしい。やはりこいつはクソ野郎だな。と、オリバーは一見無表情に見える顔の内心で唾を吐き捨てた。
『あまり良いと思えたことがないからなあ』
酔った勢いのまま下世話な話題で盛り上がったあの夜、メリッサは男女の営みについてそんな感想をこぼしていた。実際オリバーの愛撫にはいたく感激していたし、なんなら輝くような瞳でアンコールを求められて一度萎えたほどだ。
これだけで、メリッサと元彼の行為がどんなものだったかなんてある程度予想がつく。
そしてそれは、第一部隊の面々に常日頃男女のあれこれを説いて周るクリス隊長に言わせれば、クソ野郎の所業なのだ。
*****
酔った勢いでメリッサとヤッてしまってから、どこもかしこもおかしい。
あの日からオリバーの頭の中はそんな悩みでいっぱいだった。
若かりし頃の初体験がトラウマとなったオリバーには『清楚で控えめ、透明感があり風に吹かれたら消えてしまいそうなほどの儚さと、おしとやかで純真無垢なド清純』、至高は畏れ多くも我が国の末姫、妖精のような容姿と評判の第三王女セシリア様。という詰め込めるだけ詰め込んだ譲れない理想があった。次こそは掲げた理想そのものとはいわずとも、近しい人と……と固く誓っていたほどに。
でなくとも、そもそも勃たない。
オリバーの下半身は、初体験以降、掲げる理想全てとは言わずとも、当てはまる相手でなくてはなんの反応もしなくなってしまったのだ。そしてオリバー自身もそれで構わないと思っていた。それほど初体験がトラウマだった。恐ろしいほどの快感と、文字通り食い殺されんばかりのギラついた欲望に襲われる恐怖など、筆舌に尽くしがたい。怖いのに感じすぎるなんて情緒が死ぬ。
おかげでオリバーのオリバーはすっかり竦んでしまった。
──そのはずだったのに!
酒が入っていたとはいえ、メリッサを前にしたオリバーのイチモツは、今まで鳴りを潜めていたのが嘘のように元気いっぱい勃ち上がった。
同時にオリバー自身も、相手が新人訓練以来の友であるメリッサだというのに興奮が治まらなかったのだから、もうおかしいとしか言いようがない。
とにかくあの夜の床では、メリッサの全てが琴線に触れた。
普段はオリバーの理想とは真逆とも言えるほど、強靭な肉体を持つ頼もしい騎士であり、第二部隊のダレル隊長へ呆れるほどの信仰を見せる変人だというのに──あれはなんだとツッこまずにはいられない。
白い肢体をベッドに投げ出し、金糸のようなブロンドがシーツに散る様は純真無垢ともいえる美しさだった。そして色白の肌を桃色に染めて、快楽に溺れるほど幼くなる口調と素直に強請ってくる姿など、まるで初心な少女ではないか。
特筆すべきは胸だ。
実は胸には並々ならぬこだわりがあったオリバーである。
心に描く女性像を壊さぬような、大きすぎず小さすぎず程よいサイズ感でありながら、性的興奮を覚えるエロさも譲れない。色・形・大きさ・弾力、全てを満たす美乳などお目にかかれることがあるのだろうか……と、悲願ともいえる乳房が、信じられないことに目の前に現れたのだ。この衝撃たるや、迂闊にも我を忘れた。
それでいて、最後の最後でとんでもない衝撃に襲われる。驚くべきことに、すでにリーチがかかっているのにまだあった。
恐ろしいほど相性が抜群だった。恐ろしいほどにだ。
得られる興奮と快楽の度合いは、トラウマにもなった初体験に並ぶか……勝るかもしれない。
おかげで酔いが醒めてからも気を抜けばメリッサで頭はいっぱいになるし、思い出すだけであんなに頑なだったオリバーのオリバーが疼いて仕方がない。
幸か不幸か、爆発寸前の性欲を抱えた苦悩はメリッサも同じだったようで、勢いのまま二度目を致してからはタガが外れたように何度も関係を持った。とはいえ、おそらくお互い様だ。以来、各々昂った際にまるで「飯行こうぜ!」なテンションで誘い合う仲になっている。
その状態が続く中でとどめとなったのは、オリバーが所属する第一部隊の二週間遠征だった。
一言で言い表すなら──ヤバかった。
欲求不満が高まりすぎて頭も体も破裂するかと思った。最後の方など、隙を見せれば如何わしい妄想を垂れ流す頭と勃とうとする下半身を抑えるのに全神経を集中させた。それでも魔獣討伐任務の中、何食わぬ顔を装い任務をこなした自分を褒めてやりたい。
……さすがにクリス隊長には、心ここにあらずを感付かれて容赦なくど突かれたが。
だが、それら以上に深刻な問題があった。いや、身体的な問題も十分由々しき事態なのだが、何よりも精神面の崩壊が一大事だった。
二週間メリッサと離れている間、おかしな不安に襲われるようになったのだ。
今までメリッサがダレル隊長を崇め称えることに呆れはしても、それだけ。……まあ、その盲信っぷりに若干引くくらいだった。それが、自分の隊長の素晴らしさを熱く語るメリッサの姿が、ふとした瞬間に何かと脳裏をよぎる。
一見、メリッサは冷静で凛とした頼もしい女騎士だ。
現に、騎士団の仲間からはその通りの評価を受けている。実際はダレル隊長を狂ったように崇め奉るようなアレなのだが、アレな姿を知っているのはオリバーのみと断言してもいいだろう。
とにかく、真面目で冷静沈着な騎士を装っていたとしても、あれだけの熱量を持った滾る想いを向けられて、ダレル隊長は全くなにも感じていないのか? と。ふと思い至ったのだ。
なんなら、メリッサと関係を持つ前、オリバーはメリッサとダレル隊長はそういう仲だとすら思っていた。
そして、それを特に何も感じることなく考えていた。
それがどうしたことだろう。
オリバー不在の間、あの二人になんらかの進展があって、そのまま──と、妄想力豊かな頭がベッドインの更に先までをも脳裏に映し出そうとするたびに、いてもたってもいられない焦燥感に駆られた。少しでも気を抜けばその場で叫び出しそうになった。──ギリギリで堪えて叫ばなかったが。
突然隣の騎士が叫び出して頭を抱え地面を転がり回ろうものなら、気が触れたようにしか見えないだろう。オリバーだって、横でそんなことする奴がいたら単純に怖いし全力で避ける。
だが実際、ダレル隊長が相手ならメリッサはいつでも大歓迎じゃないのか?
となると、あの、与える快感全てを素直に拾い、普段の落ち着いた声からは想像つかないような少し高い声で喘ぎまくり、可愛らしい口調で強請ってくる姿、そしてなによりオリバーの理想そのものといっても過言ではない芸術のような乳房を、ダレル隊長も見るのか? 俺以外が見て触れるのか?
いや、それ無理。
自分しか知らないメリッサの姿が、他の男の目に触れると考えただけで怒りにも似た感情ではらわたが煮えくり返った。
結果オリバーは我慢できず、一睡もせずに単騎で先駆けて戻るという強行策に出る。もっともらしことを並べ立て誰にも譲らんとばかりに名乗り上げたのだが、その目的は不純極まりなかったわけだ。しかし、結果的に騎士団としては役に立ったのだからいいだろう。
そのような経緯で無事に再会を果たしたわけだが、お互いの性欲を思う存分発散したところで第二での飲み会エピソードがぶっ込まれたのだ。
「共倒れになったところで相手の手が胸にこう当たったんだけど、その瞬間──無い! って叫ばれたんだ」
オリバーだけが触れていた胸を他の奴に揉まれたという。自分でも理不尽だと思うが──何を無防備に揉ませてんだこいつ。と滾った怒りの末、
「……あ?」
これまで出したことのないような渾身のドスの効いた声を出してしまった。
ここまで来れば、オリバーも自覚せずにはいられない。
メリッサに対して、激しい独占欲が生まれてしまっていることに。
それはその後、臨時任務として命じられたセシリア王女の護衛でハッキリした。
己の理想として散々メリッサに語り倒していた王女の護衛につける。
通常ならば接する機会のないセシリア王女の傍に並ぶことができる。
その事実に心を動かされなかったのだ。
どころか、それよりもダレル隊長の副隊長に任じられたメリッサの浮かれっぷりに苛立った。何が一日中拝んでいられる。だ、真面目に仕事をしろ。なんて、言わなくてもどうせ完璧な外面で難なくこなすんだろうよ。内心は浮かれっぱなしのくせにな。そんな愚痴にも似た小言が心の内を埋め尽くす。
それは実際にセシリア王女を目の前にしても変わらなかった。
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