異世界保育士さん

なの

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3. とりあえず冒険者

4. 獣臭

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 頭の痛みに呻きながらも目を覚ます。
 イタタと思いつつも目を開ければ視界に入るのは白やグレーの色合いの……毛?
 何事かと思い起き上がってみればなにやらその毛に包まれてるみたいで体の周りが全部すこし硬めのもふもふだった。

 うん、なにごとか!?

 よし、落ち着こう私。

 スーハースーハー。よし。
 顔をくいーっと回してもふもふを右から左に見ていくと、くりくりっとしたつぶらな黒い瞳とばっちり目があった。

「ふぇっ!? ど、どうぶ、ぶふぁっ」

 驚きのあまり思わず後ろに仰け反ったけれど残念ながらもふもふに包まれていたために上半身が反ることになって何故か勢い余ってブリッジの体制になってもふもふに突っ込むことになった。

「むぐぅっ! げふっ、獣くさっ!」

 頭から突っ込んだもふもふは外側の毛は硬めなのに中のお肉がとっても柔らかかったからか見事に顔が埋もれてとっても野生のにおいがした。
 と思った次の瞬間には最高にバランスの悪かった体制なうえに土台となってたもふもふが獣臭いという言葉に怒ったのか痛かったのか、身動みじろぎをしたみたいで見事に地面に転げ落ちた。

「いたたた……ってでかぁ!? ……フェレット……じゃなくて、イタチ……かな?
 ふあー……目がクリンクリンで可愛いけどでっかいからちょっと怖い……ってふおおおお、今度はちっちゃーい! 可愛いー!」

 見上げてみればさっきまで包まってたもふもふは推定3メートルはありそうなグレー系の色合いをした超でかいイタチだったらしく、とりあえずでかい。でかいしか感想が出てこないほどの地球じゃありえないサイズで、やっぱりでかい。語彙力の死ぬでかさ。さすが異世界。うん、でかい。

 と、思ってたら日本にいても違和感のないサイズのイタチが私のいたであろうあたりからピョコピョコと顔を出す。
 サイズ的には日本で飼えるフェレットの大人サイズの、でかいイタチの子供らしきちびっこイタチが三匹横に並んでにょろりとでかいイタチの上から降りてくる。

 アライグマみたいに目の周辺が黒に近い濃いめのグレーの子と、顔は同じような模様だけど色が濃い茶色の子、ほぼ白で目の周辺が薄ーくグレーの全部の足に靴下を履いたようになっている子の三匹だった。可愛い。語彙力まだ死んでる。
 見た目はとっても可愛いけどものすごい現れ方というか落ち方がぬるっとしてた……軟体動物みたいな柔らかい動きするんだなぁイタチって……。

 思ってたのと違う動き方にあんまり近くで見たことのないイタチという可愛い生物を見てグーンと上がったテンションが落ち着いた。

 落ちる時はぬるっとしてたけど歩き方? 走り方? は可愛いらしいちびっこたちはぴょこぴょこと私の周りをうろうろしていて天使かもしれない……ってあれ? そういえば結局ここはどこなんだろう……?

 転移のときに失敗したのかなんなのか分からないけど引っ張られる感覚のあとにここに来たけど何だったのか……ってあれれ?
 あのとき真っ暗な森って感じだったのに何でここはこんなに明るいんだろう?
 意識を失う前は明らかに暗かったのにこの周辺だけ明るいよね……?

「ふおー、柔らかい~……ふにょふにょしてて可愛いぃ……」

 ママイタチ(と勝手に予想)から落ちたときの尻餅をついた体制から少し動いて地面に座り込んめ考えていれば、一匹膝の上に乗ってきたから抱き上げる。
 抱き上げた靴下くんはを確かにぬるっとした動きをしそうなほどの柔らかいふにょふにょお肉だった。
 そういえばママイタチも柔らかくて顔の埋まるブリッジ体制になった。

 色々考えてたはずのことが脳みそからパーンて飛んでいって少しの間撫で撫でしてたけど、辛抱たまらんといった感じで顔を埋めたらとりあえず獣臭くて現実には帰ってこれた。

 うぅ、野生だから当たり前だよね……。
 むしろ顔近付けない限りそんなに臭くないことということを凄い子たちだ、と褒めるところなのかもしれない……けど臭い……。


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