異世界保育士さん

なの

文字の大きさ
9 / 23
2. 異世界召喚

3 確認

しおりを挟む
 テーブルの真ん中に全員が見えるようにノートを置いて覗き込むと佑太郎くんの綺麗な字で全員分のステータスが書いてある。
 名前もわざわざ聞いてステータス表示とは別に漢字で日本名で書いてある。

 私が赤、観月ちゃんが黒、太一くんが青、佑太郎くんが緑で書かれていて固有スキルには黄色の蛍光ペンで分かりやすく線を引いてある。

 女子のノートか!

 ちなみに全員分佑太郎くんが書いた理由は、太一くんの文字が汚いのは男の子だからまぁ笑えたんだけど、観月ちゃんの文字がミミズが這ったような文字だったからやめた。
 数字もダイナミックな感じだった。
 たまに本人も分からなくなるらしいダイナミックさなのでノートの所持者である、すでに字の綺麗さが発覚してる佑太郎くんにお願いした。




【名前】サクラ・サエキ(冴木 桜)
【年齢】22
【レベル】1
【筋力】36
【知力】53
【敏捷性】20
【生命力】10
【職業】保育士
【スキル】鑑定*  所持界越え* 亜空間  言語全翻訳  多種コミュニケーション
【称号】異世界からの迷い人  愛の女神の加護


【名前】ミツキ・クラハシ(倉橋 観月)
【年齢】20
【レベル】1
【筋力】580
【知力】42
【敏捷性】631
【生命力】493
【職業】勇者
【スキル】鑑定*  光属性魔法*  火属性魔法
【称号】異世界からの旅人


【名前】タイチ・モチヅキ(望月 太一)
【年齢】19
【レベル】1
【筋力】83
【知力】869
【敏捷性】150
【生命力】30
【職業】魔術師
【スキル】鑑定*  空間魔法*  火属性魔法  水属性魔法  風属性魔法  地属性魔法  雷属性魔法  闇属性魔法  収納
【称号】異世界からの旅人


【名前】ユウタロウ・サトウ(佐藤 佑太郎)
【年齢】16
【レベル】1
【筋力】69
【知力】743
【敏捷性】40
【生命力】26
【職業】治癒術師
【スキル】鑑定*  治癒  
【称号】異世界からの旅人

「……冴木さ「いや待って!  確かに全体的にへぼいけど!  でもっもごっむーっ!」……いや、まだなにも言ってないし、多分言おうとしてたのと違うし。」

 ふぇ?
 太一くんの言葉を遮って弁解らしきものを口にししようとしたら口を塞がれた。
 異性にこんな風に口を塞がれるなんて経験をしたことがないから、もごもごしてたら唇に当たった太一くんの手の温かさに顔が赤くなっていくのがわかる。

 何故赤くなっているのか分からなかったみたいで怪訝そうにされたけど手を離してくれたので落ち着こうと思って太一くんから距離を取る。
 観月ちゃんと佑太郎くんの間に座ればよかつた……。
 ちなみに観月ちゃんは私の様子を見て察したらしくニヤニヤしている。
 くそぅ……察する能力高いな……。

「冴木さんのパラメーターが俺たちと比べると低いのは事実だけど、大事なのはそこじゃなくて。
 冴木さんだけ俺たちと明らかに違うことがいくつかある。

 1つ目、パラメーターの低さ。
 それぞれ職業に関係ありそうなものが3桁あるが冴木さんはない。
 まぁ、保育士にどのパラメーターも大して関係ないんじゃないかって話だが。

 2つ目、非戦闘職なこと。
 保育士が実は戦う保育士さんとかだったら別だが、俺たちの知ってる保育士は戦わないし数値を見る限りはまぁこの世界でも戦わないだろう。
 
そもそも戦闘に関係ない職業だと分かったから神官長も国王も興味なかったんだろうしな。

 そして3つ目、称号だ。
 特に称号はおかしい。
 愛の女神の加護とやらがついてるのも謎なんだが……俺たちは『異世界からの旅人・・』なのに1人だけ『異世界からの迷い人・・・』だ。

 それら全てを見たうえで俺が立てた仮説が1つ、冴木さんは俺たちの召喚に巻き込まれたんじゃないか?
 召喚されるべき人間は本来は3人だけだったんじゃないか?

 電車も倉橋先輩が乗った駅から多分閉じ込められた。
 俺はこの中だと一番最初にあの車両に乗ったが今思うと不自然なほどあの車両は空いていた。
 隣の車両には人が入ってきていたのにあの後ろから2つ目の車両は俺たち以外誰も入ってこなかったんだ。

 冴木さんが乗った駅の1つ手前はホーム後方が改札口側だったにも関わらず、だ。」

「じゃ、じゃあなんで桜さんだけ電車に乗ることが出来たのかって話になりませんか……?」

「そう、だから仮説。
 冴木さんが乗ってきた謎は解明されない。
 たまたま迷い込んだ、としか思えないかな……迷い人だし。

 1人だけ非戦闘職なことと称号が迷い人だからそうなんじゃないかって思っただけで確かめる方法はないし、ここにいる事実は変えられない。

 どうしたって日本人……いや、地球人は俺たち4人しかいないって事実はかわんねぇよ。」

 巻き込まれ、かぁ……
 ありえない話ではないよねぇ、私だけ職業本当おかしいもんね……保育士ってなんだよ、保育士(笑)だよ、まじで。

「まぁ……私の待遇がどうなるかは分かんないし、ここを出て行くにしてもある程度はここで情報を集めた方がいいと思うんだよね。
 魔王が本当にいたとしてもいなかったとしても、このままだと帰れないし、この世界のことも何も知らない。
 今のまま外に出ても本当に戦えるのかも分からな……ってあれ?

 そういえば皆がいなくなった後に幽霊みたいな人が出てきて話しかけられた。」

 なんか色々いっぱいいっぱいで1人になったときのこと忘れてた。

「あたしたちが消えた後すぐに来なかったのはその人と話してたから?」

「3人が消えちゃった後に1人で怖くなっちゃって泣いちゃってたら、なんか声が聞こえて顔を上げたら透けた綺麗な女の人が目の前にいたの。
 なんて言ってたかな……助けてあげられなくてごめんとか、巻き込まれたとか、せめて愛される力をーとか……
 あ、力が弱くて助けられないみたいな感じで言ってた気がする?

 話したっていうか、一方的に話しかけられて気付いたら意識失ってここにいた。」

「なるほど?
 綺麗な幽霊みたいに透けた女の人ねぇ……。
 まぁでも巻き込まれたのは確実なのかな。」

「地球の女神様とか……ですかね?
愛される力をくれるとかだと称号にもある愛の女神……ヴィーナスとか?」

 うーん、綺麗だったしありえる。
 でも私はそれ聞くと某セーラー服の戦士を思い出しちゃうから、髪の色オレンジじゃなくて黒だったよ、と言いたい。
 けど絶対佑太郎くんに伝わらないからやめとく。

「まぁ調べることすら出来ないし、それは置いとこうよ!
 巻き込まれたもなにもあたしたちだって同じようなもんじゃん?
 きたくて来たわけじゃないんだからさ。

 愛される力を桜がもらっているなら悪いものではないしさ、とりあえずこれからどうするか考えよう。」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜

文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。 花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。 堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。 帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは? 異世界婚活ファンタジー、開幕。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

残念女子高生、実は伝説の白猫族でした。

具なっしー
恋愛
高校2年生!葉山空が一妻多夫制の男女比が20:1の世界に召喚される話。そしてなんやかんやあって自分が伝説の存在だったことが判明して…て!そんなことしるかぁ!残念女子高生がイケメンに甘やかされながらマイペースにだらだら生きてついでに世界を救っちゃう話。シリアス嫌いです。 ※表紙はAI画像です

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

異世界から来た華と守護する者

恋愛
空襲から逃げ惑い、気がつくと屍の山がみえる荒れた荒野だった。 魔力の暴走を利用して戦地にいた美丈夫との出会いで人生変わりました。 ps:異世界の穴シリーズです。

処理中です...