異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

文字の大きさ
1 / 454

プロローグその1

しおりを挟む
「今回はラッキーだったな」

 クレーム対応に取引先に向かった時は憂鬱で仕方なかったが、結局は先方の勘違いで逆に接待されてしまった。とは言っても社員の出張土産らしい菓子の詰め合わせを3箱ほど持たされただけだが。

 車を走らせ会社へ帰る男の名前は川端努、30歳。中小企業に勤める現在彼女なしのオタク趣味の独身者である。学生時代と社会人で1人ずつ女性と付き合ったのだが長続きせずに終わり現在に至る。

 明日からの3連休はゲーム漬けになるぞー!そんな決意を固めた時だった。意識が後方に引っ張られる感じになり体が動かなくなる。
 ヤバイ!運転中だぞ!
 懸命に足を動かしてブレーキペダルを踏もうとするが1ミリたりとも足は動かず意識が途絶えた。




……

…………


「うぅん……ハッ!」

 ガチャガチャ…
 意識が戻り慌ててブレーキペダルを踏むが反応せずそもそも車自体停まってる状態だ。

 あたりを見回すがぼんやりとした白い空間としかわからない。
 ドアを開けてモクモクと白い煙の漂う地面?に恐る恐る足を踏み入れると普通に立つことができた。

「川端努よ……」

「え?」

 キョロキョロと辺りを見回すと上空にピカピカと発光する球が浮かんでいた。

「我はそちの認識で言うところの『神』もしくは『管理人』のような存在である」

 神様だって!?

「事故で死亡した其の方には異世界に行くかこのまま輪廻の輪に加わるか選ぶことができる」

「死んだ!?」

 死んだなんて覚えねーぞ、だがこの状況は……。

「即死だったので覚えてないのは当然だな。許容量を超えた傷を負ったせいで記憶が欠けたのだろう」

 納得なんてできないが納得するしかない状況かー。

「いくつか質問してもよろしいですか?」

「構わんぞ」

「死んだ人全員に異世界に行くかどうかの選択権があるのでしょうか?」

「普通の人間にはないな」

「なぜ私にはあるのでしょう?」

「まず無信仰者であること。
 幼き者と寿命近くで死亡してないこと。
 この世に未練のない者。
 即死した者。
 強き魂を持つ者。
 悪しき者でないこと。
 条件としては大雑把に言うなら以上であるな」

「神様なのに無信仰者であることが条件なのですか?」

「我は厳密には神ではないので、信仰対象に僅かでも信心を捧げてしまうとそれが架空の存在であってもその者に介入することができなくなるのだ」

 案外不便なのだな……。
 しかし無信仰者なんて現代社会ではそこそこいそうな感じだが?

「先の条件はあくまで魂のことであり、近い前世に信仰者がいてもダメだぞ」

「そうなると一気に対象者は激減しますね。この『強き魂を持つ者』というのは私には無縁のような?」

 なにせ殴り合いのケンカなんてしたことないし。

「それも前世が含まれる事項だな。高潔な支配者階級だったり勇敢な戦闘者であった者は強き魂になる傾向が強いようだ」

 おかげで異世界に行けるのなら前世の自分に感謝だな!←さすがオタク趣味なだけあって異世界ものは大好物らしい。


 おっとこれは聞いておかないと。

「異世界とはどのような世界なのでしょう?」

「お主の好きな魔物が跋扈する剣と魔法の世界だな。スキルもあるぞい」

 見透かされてるみたいだ(汗 SF世界かもしれないだろう!!

「基本的に進んだ文明には行けないぞ。
 異世界行きは遅れた文明のとこだけじゃ」

 なるほど、異世界ものの大半が中世ファンタジーな訳だ。リアルと創作物が見事にリンクしてる。

「自分が行く予定の世界は他に異世界から来た人はいますか?」

「そちが初めての異世界人になるな。他にも世界は多数あるし、条件をクリアする人間も極まれなことから仮に同じ世界に送るとしてもずっと後の時代となるだろう」

 同じ境遇の仲間がいないのは寂しいと思うべきなのだろうか?
 次は遂にこの質問を……

「異世界行きを選んだ場合何かスキルみたいなものは頂けるのでしょうか?」

 ここ大事!すごく大事!

「魂の強さに応じた能力やスキルを与えよう」

 キター!チート来たか!?無双キタコレ!!

「そちが想像してるのとは大分違うが……」

 いいんです。今だけでも夢見させて……。




「最後に神様(仮)にとって私を異世界に送る目的またはメリットはなんでしょうか?」

「『強き魂を持つ者』は世界に良き影響を及ぼすのだ。特に近代化前の世界では及ぼす影響が更に大きくなる」

「英雄的な行動や生き方を求められてるということでしょうか?」

 ハードル高いな! オイ!

「そうではない。そちがあちらでどう生きようと自由だ。行った直後に死んだとしても問題はない。
 そちの魂が異界の輪廻の輪に組み込まれることが重要なのでな」

 オレ個人の生き方に制約がないなら問題ないか。

「わかりました。異世界に行こうと思います!」

「うむ。ではまず最初にそちの所持品を全て没収する。あちらの世界に持ち込むと問題があるものばかりなのでな」

「ハイ……」

 車とスーツのポケットに入れてるスマホと財布、腕時計が一瞬で消えた!
 仕方ないな、スマホもタブレットも充電できなきゃ持って行っても意味ないし、車もガソリンが切れればただの鉄の箱でしかない。
 もっとも車は社用車でオレのではないのだが……。

「さて、これからスキルを授けるのだが、何か希望はあるか?」

 重大な時間が来たな。
 ここでの選択がこれからの異世界ライフに極めて強く影響するのは間違いない!
 まずは定番の……

「はい、あちらの世界の言葉をしゃべれるようになりたいです」

 コミュニケーションは大事だからね!

「うむ、他にあるか?」

 異世界行きを聞いてから心をざわつかせてる問題に着手してみる。

「あの、若返ることは可能でしょうか?」

「可能じゃぞ、こちらの年齢の半分の15歳でどうだ?」

「是非それでお願いします!」

 やった!

「そちの魂の容量的に次が最後だな」

 もう!? 欲しいスキルがまだまだたくさんあるのにぃ(涙)
 異世界スキル三種の神器『アイテムボックス・鑑定・転移』も無理かー。

「ひとつ助言するなら先に申した通り魔物の跋扈する世界なので戦闘系のスキルは必須じゃぞ」

「う~~ん」

 重力魔法とか時空魔法か?
 もっとチートな……

「言っておくが人の手に余る力は無理じゃぞ」

「う!?」

「そもそもそちの魂に入らんしな」

 ならばひとつで多方面をカバーできるのがいいな。

「せっかくの異世界ですので魔法全般が使えるスキルが欲しいです」

「よかろう。『魔法の才能』を授けよう。なかなか優秀なスキルじゃぞ」

「ありがとうございます」

「では向こうに着いたらまず『ステータス』と念じてみるがいい」

「ハイ」

 もう行く感じなのだろうか。
 展開早いな!

「良き二度目の人生を」

 いきなり落下する感覚が襲ってきた!

「色々とありがとうございましたぁ~」

 体や意識全体が落下していく中でなんとかお礼を言ったとこで意識が途絶えた。





……

…………



「!?」

 気が付くと草原の上に立っていた。

 前方に森があり、左右にも遠くに森が見えるがそこまで一面の草原風景である。

「すごいな、地球にはない風景だ。おそらく」 

 おっと、言われた通りに『ステータス』と念じてみ……

 顔の前に液晶画面が表示される。


川端努 男性
人種 15歳
LV1

HP 10/10
MP 30/30

力  5
早さ 5
器用 5
魔力 10

LP 0P

スキル
異世界言語・魔法の才能


 ちゃんと15歳になってるしスキルもあるな!
 ただ……
 ステータス低!!
 この世界の人がどのぐらいの数値かはわからんが神様(仮)の言った通りチート無双は無理と考えるべきだな!憧れがなかったと言えば嘘になるが……
 魔力とMPが高いのは魔法の才能のおかげか?
 LPとはなんだろう?
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。 しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。 全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。 クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

器用貧乏な赤魔道士は、パーティーでの役割を果たしてないと言って追い出されるが…彼の真価を見誤ったメンバーは後にお約束の展開を迎える事になる。

アノマロカリス
ファンタジー
【赤魔道士】 それは…なりたい者が限られる不人気No. 1ジョブである。 剣を持って戦えるが、勇者に比べれば役に立たず… 盾を持ってタンクの役割も出来るが、騎士には敵わず… 攻撃魔法を使えるが、黒魔道士には敵わず… 回復魔法を使えるが、白魔道士には敵わず… 弱体魔法や強化魔法に特化していて、魔法発動が他の魔道士に比べて速いが認知されず… そして何より、他のジョブに比べて成長が遅いという… これは一般的な【赤魔道士】の特徴だが、冒険者テクトにはそれが当て嵌まらなかった。 剣で攻撃をすれば勇者より強く… 盾を持てばタンクより役に立ち… 攻撃魔法や回復魔法は確かに本職の者に比べれば若干威力は落ちるが… それを補えるだけの強化魔法や弱体魔法の効果は絶大で、テクトには無詠唱が使用出来ていた。 Aランクパーティーの勇者達は、テクトの恩恵を受けていた筈なのに… 魔物を楽に倒せるのは、自分達の実力だと勘違いをし… 補助魔法を使われて強化されているのにもかかわらず、無詠唱で発動されている為に… 怪我が少ないのも自分達が強いからと勘違いをしていた。 そしてそんな自信過剰な勇者達は、テクトを役立たずと言って追い出すのだが… テクトは他のパーティーでも、同じ様に追い出された経験があるので… 追放に対しては食い下がる様な真似はしなかった。 そしてテクトが抜けた勇者パーティーは、敗走を余儀無くされて落ち目を見る事になるのだが… 果たして、勇者パーティーはテクトが大きな存在だったという事に気付くのはいつなのだろうか? 9月21日 HOTランキング2位になりました。 皆様、応援有り難う御座います! 同日、夜21時49分… HOTランキングで1位になりました! 感無量です、皆様有り難う御座います♪

【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。 ※2026年半ば過ぎ完結予定。

【書籍化決定!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆皆様のおかげで、書籍化が決定致しました!3月中旬頃、発売予定です。よろしくお願い致します。 ※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...