異世界ライフは山あり谷あり

常盤今

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 ゲームとは違い負けたらリセットしてやり直すなんてできない。
 負けるということは即ち殺されて終わりなのだ。
 念には念を入れるべきだろう。
 即ち必殺技の開発をするべきということになるな!!
 決してロマン作業をする為のいい口実を見つけたとは思っていない。
 



……

…………


「1等級も2等級も大して違いはない。昔1等級が増えすぎたので更に上のランクとして銀級・金級を設置して上位者をそこに押し込んで1等級自体の人数を制限したんだ」

「どうしてそんな昔のことを知っているんだ?」

 コイツこう見えて結構年喰ってるんじゃないだろうな。
 獣人はある程度の年齢まで見た目の変化がないとかありそうだしな。

「2等級に昇格する際にギルド側から説明があるんだよ。人数を制限している以上1等級に死者か引退者が出ない限りは2等級は昇格できないからな。2等級~5等級に行われる昇格試験の模擬戦なんてなくて言ってしまえば順番待ちだからな。俺より弱い1等級もそこそこいるはずだぞ」

「それにしてもなぜ人数制限をするんだ? 増え過ぎたというが、今度は2等級の人数が増えるだけなんじゃないか? 1等級になると活動しなくなる冒険者も多いと聞くからそういうのを資格停止にしていけば人数も調整できると思うがなぁ」

「まさにそれが答えだ。1等級に上り詰める頃にはいい年齢だし目標もなくなる。金もたくさん稼げてるだろうしな。だから無理して依頼を受けたり討伐に行く必要もなくなる。
 1等級のリストにずらっと名前だけの活動してない連中が並んでいるんだ。外聞が悪いったらないだろ?
 引退すればいいと誰もが思うだろうが、いざ自分がそうなると1等級冒険者という肩書きが惜しくなって縋り付いちまうんだよ。
 あと資格停止にするというのも微妙な話だ。ケガや病気で年単位で養生するのは普通にあることだし、1等級と揉め事になるのはギルドとしても避けたいだろう。そして何より上を目指せと煽っておきながら1等級になった途端手の平を返していては冒険者からの信頼すら損なう結果に繋がりかねない」

「銀級・金級は1等級の新たな目標にはならないのか?」

「どうしても後付けの特別枠に見られちまうからな。まぁ1等級以上に銀級・金級は活動しないから(銀級・金級での)功績もなければ華々しい活躍もない。これでは憧れる対象にはならんだろう」

 ランテスは1等級を目指しているのだろうか?
 パーティーが解散した経緯を思うと迂闊には聞けないな。

「ランテスは将来的にはギルドの職員になるのか?」

「それも悪くないとは思っているな。今更剣を置いて他の生き方をするなんてできないし。まぁ職員になるにしてもどこか前線の街でだな。さすがに王都は何もなくてつまらん」

「以前の指導の時に居たもう1人の獣人も2等級冒険者だったりするのか?」

「元……だがな。アイツは俺と違ってメンバーが引退するからという円満なパーティー解散でその流れでアイツも引退してギルド職員になったという訳だ」

「なんだか話を聞いてるとギルド職員には元2等級とかがゴロゴロいる感じだな。討伐とか職員だけでやっても余裕なんじゃないのか?」

「王都は規模が大きいからな。指導の責任者のオッサンは元1等級だし魔法を教えている奴も元2等級でそこそこ腕がいい。そして俺達獣人が2人だから大概のことは何とか出来るな。
 だが地方だと元2等級の指導員なんて1人いればいいほうだぞ。自分は強くなくても教えるのがやたら上手いみたいな奴の方が指導するには向いてるしな」

「指導してもらう立場からすると強い人に稽古つけてもらいたいんじゃないのか?」

「俺もだが強い奴はどうしてとかなぜの部分をスキップしてしまうから説明できないんだよ。できてしまうからロクに理解すらしてなかったりする。貴様も魔法の基礎を教えてくれと言われたら困るのではないか?」

「うっ、確かに困るな……」

 俺の場合は基礎的な部分はほぼ『魔法の才能』スキルによるものだからな。教えられるはずもない。むしろ応用部分のほうが断然教え易い。自分で考えて試行錯誤してるのだから当たり前だけど。

「俺達は強者との対戦経験を積ませてやることと、強い奴にしかわからん問題点なり悩みに対応できればそれでいい」

 コイツなりによく考えて指導してるのだな。
 もっと熱血系でオラオラでしごいてるだけだと思っていたが。
 あのボコボコにされた厳しい指導がなければその後の強敵との戦いもどうなっていたか……
 あっ。
 元々は指導の礼のつもりだったんだよ。
 コイツが勝負とか言い出すから……、いや今回の模擬戦も貴重な経験だ。模擬戦の枠内とはいえ全力を出しての負けなんだ。

「確かにあの時のランテスとの対戦経験のおかげでバルーカに戻ってからの強敵達との戦いを生き残ることができたよ。改めて礼を言わせてくれ」

「礼には及ばんよ。せっかくボコってもあっさり死なれたのではこちらもツマランからな。それよりどんな奴とやり合ったんだ?」

「ああ。最初は……」




……

…………


「なんだ。ほとんど魔法で戦ってるじゃないか。剣を使え、剣を!!」

「む、無茶言うなよ! 剣術は素人に毛が生えたようなもんなんだぞ。殺されるだけだわ」

「生と死の狭間の中で研ぎ澄まされてこそ剣術の腕も上がるってもんだぞ。それにしてもそれだけの殺気を放つギルド職員か……
 名前すらわからないんじゃ何とも言えんが、元1等級だとしてもそんな奴いたかな?」

「職員ではなくランテスみたいにギルドと契約を結んだだけとか」

「なくはないだろうが、昇格試験の審判を職員ではない者が務めるなんてないはず…だが……」

「ギルドに調査依頼を出してあるから何かわかったら知らせようか?」

「興味がない訳ではないが、そこまでする必要はないさ。王都に来た時のついでにでも教えてくれ」

「わかった」

 2人して店を出る。
 随分と長く話し込んでしまったな。

「次会う時まで死ぬんじゃないぞ」

「ああ。次は絶対勝つからな!」

「10年早ええよ」

 互いにガッチリ握手して別れた。
 この世界に来てから初めて出来た友達なのかもしれない。
 ルルカとか俺のことをボッチ扱いしてる感があるからな。
 明日迎えに行った時にでも自慢してやるか……
 いや、友達と思うのならばそんなつまらんことで名前を出すべきではないよな。
 まさに強敵ともと呼べる存在なのだから。
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