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よく考えたら大勢の中で一人食事をするというのもこの世界に来た初期の頃以来か。
周囲を見る限りは男性兵士しかいないようで、会話の内容もどこそこの食堂の店員が可愛いとか、あの娘は誰々と付き合っているとかそんなモノが多い。
え? な、なに? バルーカのとある宿屋では追加料金を払うと女将さんのムフフなサービスを受けられるだと?!
マジかよ…………
女将という響きがしっとりとした着物美人を連想させるが、この世界に着物がないのが残念だ。
…………こ、こほん。もちろん俺にはルルカとロザリナというエロエロなご奉仕をしてくれる美女二人がいるのだから、そんな宿には一切興味はないが。
食事を終えて自分の部屋に戻る。
そう言えば冒険者ギルドも選抜した人員を軍に合流させているはずなんだけど、砦内でも行軍中にも一人として冒険者を見かけたことはなかった。
派遣が取り止めになったとかだろうか? そんなことを考えていると、
"コンコン"
と扉がノックされたので開けてみる。
「こんばんわ」
ナナイさんが訪ねて……
「ここがツムリーソの部屋ですか」
レイシス姫もいた…………
「いつまで経ってもツムリーソが来ないので私自ら足を運びました」
何のことを言っているのだろう??
「申し訳ありません。話が全く見えないのですが……」
「指揮所でそなたに合図を送ったではありませんか?」
あの目配せのことか!?
あんなんでわかるかっ!!
「あれだけではどういう意図かまではわからず……」
「他国とは言え王家の者に合図を送られたのならその意向を確認しに参上しなさい」
「今朝話した時はレイシス様は一人の武官としてこの場におられると御自分で仰っていましたが…………」
「わかりましたね?」
「…………ハイ」
くそぉぉぉぉ!
アルタナの姫君で姫様(=イリス姫)の友人じゃなかったらギャフンと言わせてやるのにぃぃ!!
「ツトムさん、ここではなんですから中へ入って頂いたほうが……」
「……そうですね。どうぞ」
この部屋は家の自室と同じぐらいの広さで、そんな空間にナナイさんとレイシス姫がいるのは不思議な感じだ。
お二人にはベッドに腰掛けてもらい、収納から果汁水をコップに注いでお出しする。
「それで……、どのような御用件でしょうか?」
「本日の戦いについて、その詳細を聞きに来ました」
「指揮所で自分が報告するのを聞いてましたよね?」
「詳細と言いましたよ? 具体的にはどのように敵を撃破したのかを聞かせなさい」
「ツトムさん、子爵からも詳しく聞いてくるように言われてまして……」
まぁ話すぐらいなら別にいいけどさ…………
「そなた、左腕の籠手が破損していますね。見事に切断されています」
「それはバルーカでの戦闘で…………」
レイシス姫が俺の左腕に手を添えてつぶさに観察している。
「その割に左腕には目立った外傷はありません。
…………そう言えば先の魔物のアルタナへの攻勢の際、レグの街では包帯兵士なる回復魔法の使い手が現れて多くの傷付いた兵士を回復し、切断された手足を繋げる奇跡まで行ったとか…………」
ギクッ!?
「ジィィーーーーーー」
金髪美人姫の間近からの凝視に耐えられず目を逸らしてしまう。
「包帯兵士の正体もツムリーソでしたか…………」
「えっとですね、今朝も言いましたが自分はあくまでも……」
「臨時に伝令役を務めただけと申すのでしょう? それは承知しております」
くっ……、や、やりにくい……
「姫様、とりあえずツトムさんからお話を聞きませんか?」
「そうですね。ツムリーソ話しなさい」
なんだろう? この微妙に噛み合わない感じは……
レイシス姫とは性格的に合わないとか相性が悪いとかいう奴なのかもしれない。
ただ、今日は二度も俺と話す為に足を運ばせてしまっているし、それに何より姫様からよろしく的な事を言われているからなぁ。
なるべく失礼が無いように対応するよう心掛けねば……
俺は慎重に言葉を選びながらバルーカでの戦闘の詳細をレイシス姫とナナイさんに語り始めた。
…
……
…………
「…………最後は右手に発動させた魔法でオークジェネラルを倒しました」
二人には脚色したり隠したりはせずになるべくありのままを話した。
隠そうとしたところで目撃者が多くいるので無駄ということもある。
ただ、初っ端の着地に失敗したところだけは格好悪いのでなかったことにしたけど……
「左腕を失いながら……」
ナナイさんはマジマジと俺の左腕を見つめている。
「オークジェネラルがそれほどまでの強敵に…………」
レイシス姫はジェネラルの進化に驚いているようだ。
ん? あれって"進化"なのだろうか?
これがゲームだったらクラスアップやランクアップみたいなシステムがあるけど……
普通に考えればジェネラル自身が修練の末に高度な戦闘技能を身に付けたと見るのが妥当なのだろうが、ゲーム的見方だからと頭から否定するのはどうなんだろう?
魔王かどうかはともかくとして、王都にあるという魔族研究所の報告通りに魔族側に統率者が現れたのだとしたらランクアップ的なことも可能になるのではないだろうか? 例えば今日使われた転移現象を起こすような魔族独自の魔道具を使ってとか……
「ツムリーソ、ウインドランス回転九連とは何ですか?」
"九頭風閃"と言ったところで訳わからないだろうからこちらの世界向けに翻訳したのだけど……
「回転するウインドランスを3×3の九つ同時に射出する魔法です」
「まずはそのウインドランスとやらから説明しなさい」
あれ? 風槍って俺が開発したんだっけ?
確か軍に回転系の魔法を教える時に思い付いたような……
「えっと……ウインドカッターが斬る、ウインドハンマーが叩くですので槍で突くことも可能だろうと開発したのがウインドランスなのですが……」
それにしても回転系の魔法と共に各国に情報伝達されているはずなのだけど。
その辺りの事情を知っていそうなナナイさんに説明を求めると、
「ウインドランスは射程が短いという欠点があることから習得が後回しになっているのが現状のようです。
特に南部三国は最前線を抱えているという事情もあり、回転させるサンドアローの習得を優先させております。
その影響で各国ともウインドランスの存在は一部の者以外には知られていないのではないかと…………」
風槍は俺の戦闘技能の中では重要な魔法なんだけどなぁ。
"槍"と付くのに攻撃魔法の中で最も射程が短いのはどうなんだろうとは思うが……もっともこれは俺のネーミングセンスの問題か。
周囲を見る限りは男性兵士しかいないようで、会話の内容もどこそこの食堂の店員が可愛いとか、あの娘は誰々と付き合っているとかそんなモノが多い。
え? な、なに? バルーカのとある宿屋では追加料金を払うと女将さんのムフフなサービスを受けられるだと?!
マジかよ…………
女将という響きがしっとりとした着物美人を連想させるが、この世界に着物がないのが残念だ。
…………こ、こほん。もちろん俺にはルルカとロザリナというエロエロなご奉仕をしてくれる美女二人がいるのだから、そんな宿には一切興味はないが。
食事を終えて自分の部屋に戻る。
そう言えば冒険者ギルドも選抜した人員を軍に合流させているはずなんだけど、砦内でも行軍中にも一人として冒険者を見かけたことはなかった。
派遣が取り止めになったとかだろうか? そんなことを考えていると、
"コンコン"
と扉がノックされたので開けてみる。
「こんばんわ」
ナナイさんが訪ねて……
「ここがツムリーソの部屋ですか」
レイシス姫もいた…………
「いつまで経ってもツムリーソが来ないので私自ら足を運びました」
何のことを言っているのだろう??
「申し訳ありません。話が全く見えないのですが……」
「指揮所でそなたに合図を送ったではありませんか?」
あの目配せのことか!?
あんなんでわかるかっ!!
「あれだけではどういう意図かまではわからず……」
「他国とは言え王家の者に合図を送られたのならその意向を確認しに参上しなさい」
「今朝話した時はレイシス様は一人の武官としてこの場におられると御自分で仰っていましたが…………」
「わかりましたね?」
「…………ハイ」
くそぉぉぉぉ!
アルタナの姫君で姫様(=イリス姫)の友人じゃなかったらギャフンと言わせてやるのにぃぃ!!
「ツトムさん、ここではなんですから中へ入って頂いたほうが……」
「……そうですね。どうぞ」
この部屋は家の自室と同じぐらいの広さで、そんな空間にナナイさんとレイシス姫がいるのは不思議な感じだ。
お二人にはベッドに腰掛けてもらい、収納から果汁水をコップに注いでお出しする。
「それで……、どのような御用件でしょうか?」
「本日の戦いについて、その詳細を聞きに来ました」
「指揮所で自分が報告するのを聞いてましたよね?」
「詳細と言いましたよ? 具体的にはどのように敵を撃破したのかを聞かせなさい」
「ツトムさん、子爵からも詳しく聞いてくるように言われてまして……」
まぁ話すぐらいなら別にいいけどさ…………
「そなた、左腕の籠手が破損していますね。見事に切断されています」
「それはバルーカでの戦闘で…………」
レイシス姫が俺の左腕に手を添えてつぶさに観察している。
「その割に左腕には目立った外傷はありません。
…………そう言えば先の魔物のアルタナへの攻勢の際、レグの街では包帯兵士なる回復魔法の使い手が現れて多くの傷付いた兵士を回復し、切断された手足を繋げる奇跡まで行ったとか…………」
ギクッ!?
「ジィィーーーーーー」
金髪美人姫の間近からの凝視に耐えられず目を逸らしてしまう。
「包帯兵士の正体もツムリーソでしたか…………」
「えっとですね、今朝も言いましたが自分はあくまでも……」
「臨時に伝令役を務めただけと申すのでしょう? それは承知しております」
くっ……、や、やりにくい……
「姫様、とりあえずツトムさんからお話を聞きませんか?」
「そうですね。ツムリーソ話しなさい」
なんだろう? この微妙に噛み合わない感じは……
レイシス姫とは性格的に合わないとか相性が悪いとかいう奴なのかもしれない。
ただ、今日は二度も俺と話す為に足を運ばせてしまっているし、それに何より姫様からよろしく的な事を言われているからなぁ。
なるべく失礼が無いように対応するよう心掛けねば……
俺は慎重に言葉を選びながらバルーカでの戦闘の詳細をレイシス姫とナナイさんに語り始めた。
…
……
…………
「…………最後は右手に発動させた魔法でオークジェネラルを倒しました」
二人には脚色したり隠したりはせずになるべくありのままを話した。
隠そうとしたところで目撃者が多くいるので無駄ということもある。
ただ、初っ端の着地に失敗したところだけは格好悪いのでなかったことにしたけど……
「左腕を失いながら……」
ナナイさんはマジマジと俺の左腕を見つめている。
「オークジェネラルがそれほどまでの強敵に…………」
レイシス姫はジェネラルの進化に驚いているようだ。
ん? あれって"進化"なのだろうか?
これがゲームだったらクラスアップやランクアップみたいなシステムがあるけど……
普通に考えればジェネラル自身が修練の末に高度な戦闘技能を身に付けたと見るのが妥当なのだろうが、ゲーム的見方だからと頭から否定するのはどうなんだろう?
魔王かどうかはともかくとして、王都にあるという魔族研究所の報告通りに魔族側に統率者が現れたのだとしたらランクアップ的なことも可能になるのではないだろうか? 例えば今日使われた転移現象を起こすような魔族独自の魔道具を使ってとか……
「ツムリーソ、ウインドランス回転九連とは何ですか?」
"九頭風閃"と言ったところで訳わからないだろうからこちらの世界向けに翻訳したのだけど……
「回転するウインドランスを3×3の九つ同時に射出する魔法です」
「まずはそのウインドランスとやらから説明しなさい」
あれ? 風槍って俺が開発したんだっけ?
確か軍に回転系の魔法を教える時に思い付いたような……
「えっと……ウインドカッターが斬る、ウインドハンマーが叩くですので槍で突くことも可能だろうと開発したのがウインドランスなのですが……」
それにしても回転系の魔法と共に各国に情報伝達されているはずなのだけど。
その辺りの事情を知っていそうなナナイさんに説明を求めると、
「ウインドランスは射程が短いという欠点があることから習得が後回しになっているのが現状のようです。
特に南部三国は最前線を抱えているという事情もあり、回転させるサンドアローの習得を優先させております。
その影響で各国ともウインドランスの存在は一部の者以外には知られていないのではないかと…………」
風槍は俺の戦闘技能の中では重要な魔法なんだけどなぁ。
"槍"と付くのに攻撃魔法の中で最も射程が短いのはどうなんだろうとは思うが……もっともこれは俺のネーミングセンスの問題か。
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