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しかし、俺とグリードさんだけでは黒オーガの攻撃を紙一重で凌ぐだけで精一杯だ。
せめてもう1人……
強者相手に戦える人がいれば……
そうだっ!!
「グリードさんっ!」
「なんだ?」
「そちらのギルド職員は凄腕の元1等級とか2等級だったりしませんか?」
「あぁ……、等級はわからないが戦力として期待したいのなら無駄だ。
あの人は斥候職だからな」
「そ、そうですか……」
チキショー!! いいアイデアだと思ったのに!
こうなったらもう覚悟を決めるしかないか……
例え勝機が僅かでもそれに賭けてこちらから仕掛ける。
為す術もないままやられるよりはマシなはずだ。
「グリードさん、奴の腕……1本だけでいいので抑えることはできますか?」
「できるわけねーだろ!!
……と言いたいところだが、やるしかないか」
「致命傷さえ避けてくれれば回復魔法で治しますので」
俺が生きていればだけど……
「あいつを倒すことができるんだな? 無駄死にはごめんだぞ」
!?!?
「…………保証はできかねます。成功率は2割から3割といったところでしょうか」
結局のところ俺達が勝つには風槍・零式をなんとかして奴に当てるしかない。
一意専心!
零式を当てることのみに特化する。
他のことは考えない。
「2割から3割か……
現状だと上出来な予測と思うしかないな」
具体的にはグリードさんを囮にして飛行魔法で突っ込む。
自分の近接戦闘術では何をしたところで懐に飛び込むまでに斬られると思うので、それならいっそスピード勝負で突っ込んだほうがマシだろうとの判断だ。
奴と密着した後で零式を発動させるまでに1度は斬られるはず。
その1撃を風槍を圧縮させている右腕を守った上で即死を免れれば零式を当てることができるはずだ。
メルクで黒オーガと戦った経験のある人から聞いた感じでは、武器を捨てて逃げ出せばそのまま見逃してくれる可能性もありそうだけど…………俺とグリードさんは無理そうかなぁ……
いかん。いかん。他のことは考えないのだった。集中しないと。
んん?
黒オーガが南の森のほうを見ている。
俺達から思いっきり視線を外しているわけなんだが…………
よくわからないが好機には違いない!
グリードさんと頷き合い一気に仕掛けた!
まずはグリードさんが向かっていく。
黒オーガもトンファーブレードを振りかざす。
不意を突かれたという動きではない。
誘い出されたか?
グリードさんは黒オーガと激突する瞬間、大剣から手を離した!
相手の大剣とトンファーブレードをかち合わせるつもりだった黒オーガは体勢を崩す。
グリードさんは一気に黒オーガの右腕を固めに掛かった。
ここだ!
俺は飛行魔法で黒オーガに突っ込んだ!
自身の右腕からグリードさんを剥がしにかかる黒オーガと、そこへ飛行魔法で激突する俺。
状況を確認する間もなく、風槍を圧縮していく。
グリードさんを剥がし終えた黒オーガは俺達を一気に斬ろうと……
しめた!
俺の近接戦闘術では俺"だけ"を狙われた場合どうにもできなかっただろう。
グリードさんと俺、2人一緒に斬ろうとするのなら何とかなる余地が生まれるかも!!
右腕を守る為に右へと回避するが、黒オーガの懐の中だと回避するスペースがなかった。
黒オーガの右腕の一閃によってグリードさんの右腕と俺の左足が斬り飛ばされる。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
下半身に激痛が走るが、構わずに右手の圧縮作業を終える。この瞬間にしか勝機はない!
風槍・零式を当てにいく……
だが、黒オーガは既に左腕による攻撃に移行していた。
トンファーブレードと風槍・零式が激突する!
"ガチッ"と音がしてトンファーブレードの棒の部分が呆気なく折れる。
と同時に黒オーガは素早く後方に跳んで距離を取った。
くそぉ。
足を失った分だけ踏み込むことができなかった。
地面に手と片膝を着ける。
黒オーガを見ると右手で左腕を抑えている。
武器を折っただけではなく、腕にそれなりのダメージを与えていたみたいだ。
しかし……
黒オーガがその気になれば俺とグリードさんに容易く止めを刺すだろう。
切断された足を早く繋げたいが、今は傷口を塞ぐほうが先か?
迷っていると黒オーガが先に動いた。
残った右腕のトンファーブレードで地面を斬り始めた!
な、何をしている?
すぐに周囲に土煙が立ち込めてくる。
煙幕か!?
地図(強化型)を見ると黒オーガらしき赤点は南へと移動していった。
「くそっ…………
どうなった?」
「退却したようです」
退いてくれた?
「そ、そうか…………」
とにかく斬り飛ばされた左足のところへ這って移動し、回復魔法で繋げる。
体が酷く重たい……
疲労や生き残った安堵感もあるだろうが、それに加えて血を流し過ぎたのかもしれない。
次にグリードさんの右手を拾い、
「俺はこのザマだ、もう引退するしかない」
「アンタはよくやったよ!」
「このぐらいの傷、すぐに治りますよ」
「いい戦いだったぜ!」
「ナタリア、3人になってしまったが後のことを頼む」
「グリード……」
何やらめんどくさいことをしているグリードさんの右手を掴んで、
「ツ、ツトム、おまえ短剣持って何を……
ん? おまえ、左足、なんでくっついて…………」
モイヤーさんの回復魔法で塞がったグリードさんの右腕の切断面を浄化済の短剣で切り裂いていく。
「い、痛っ! お、おい! やめろぉぉぉぉ」
「ツトム君、君はもしかして……」
新たな傷口と右腕を回復魔法で繋げる。
「言ったじゃないですか。回復魔法で治しますって。
引退なんてまだ早いですよ。
(グリードさんにはバルーカの為に今後も馬車馬の如く働いてもらわないと)」
「俺の右腕…………動くぞ…………
ツトム、ありがとうな。
だけどなぜそんな邪悪な顔をしてるんだ?」
「気のせいですよ。
それと失った血液は補充されませんから数日は安静にしててくださいね」
「数日か。武闘大会にはギリギリ間に合いそうだな」
「グリードさん達も武闘大会に出場されるのですか?」
「出るのは俺だけだけどな。ツトムも出るのか?」
「はい。明後日にアルタナ王国に行くことになります。
グリードさん達は明日出発ですか?」
アルタナ王国まで馬車で2日かかるとしても出場手続きはかなりギリギリなんじゃ……
「いや、俺は3等級だから本予選からの出場だ。ゆっくり休んでから出発しても十分間に合う」
「出場手続きは……」
「こちらのギルドからの要請でアルタナ王都の冒険者ギルドが参加手続きを代行してくれるんだよ」
なんだこの扱いの差は!
これが格差社会というやつか!!
「とりあえずもう1度右腕斬り落としませんか?」
「おまえはオーガかっ!」
『鬼か』の異世界版なんだろうな。
せめてもう1人……
強者相手に戦える人がいれば……
そうだっ!!
「グリードさんっ!」
「なんだ?」
「そちらのギルド職員は凄腕の元1等級とか2等級だったりしませんか?」
「あぁ……、等級はわからないが戦力として期待したいのなら無駄だ。
あの人は斥候職だからな」
「そ、そうですか……」
チキショー!! いいアイデアだと思ったのに!
こうなったらもう覚悟を決めるしかないか……
例え勝機が僅かでもそれに賭けてこちらから仕掛ける。
為す術もないままやられるよりはマシなはずだ。
「グリードさん、奴の腕……1本だけでいいので抑えることはできますか?」
「できるわけねーだろ!!
……と言いたいところだが、やるしかないか」
「致命傷さえ避けてくれれば回復魔法で治しますので」
俺が生きていればだけど……
「あいつを倒すことができるんだな? 無駄死にはごめんだぞ」
!?!?
「…………保証はできかねます。成功率は2割から3割といったところでしょうか」
結局のところ俺達が勝つには風槍・零式をなんとかして奴に当てるしかない。
一意専心!
零式を当てることのみに特化する。
他のことは考えない。
「2割から3割か……
現状だと上出来な予測と思うしかないな」
具体的にはグリードさんを囮にして飛行魔法で突っ込む。
自分の近接戦闘術では何をしたところで懐に飛び込むまでに斬られると思うので、それならいっそスピード勝負で突っ込んだほうがマシだろうとの判断だ。
奴と密着した後で零式を発動させるまでに1度は斬られるはず。
その1撃を風槍を圧縮させている右腕を守った上で即死を免れれば零式を当てることができるはずだ。
メルクで黒オーガと戦った経験のある人から聞いた感じでは、武器を捨てて逃げ出せばそのまま見逃してくれる可能性もありそうだけど…………俺とグリードさんは無理そうかなぁ……
いかん。いかん。他のことは考えないのだった。集中しないと。
んん?
黒オーガが南の森のほうを見ている。
俺達から思いっきり視線を外しているわけなんだが…………
よくわからないが好機には違いない!
グリードさんと頷き合い一気に仕掛けた!
まずはグリードさんが向かっていく。
黒オーガもトンファーブレードを振りかざす。
不意を突かれたという動きではない。
誘い出されたか?
グリードさんは黒オーガと激突する瞬間、大剣から手を離した!
相手の大剣とトンファーブレードをかち合わせるつもりだった黒オーガは体勢を崩す。
グリードさんは一気に黒オーガの右腕を固めに掛かった。
ここだ!
俺は飛行魔法で黒オーガに突っ込んだ!
自身の右腕からグリードさんを剥がしにかかる黒オーガと、そこへ飛行魔法で激突する俺。
状況を確認する間もなく、風槍を圧縮していく。
グリードさんを剥がし終えた黒オーガは俺達を一気に斬ろうと……
しめた!
俺の近接戦闘術では俺"だけ"を狙われた場合どうにもできなかっただろう。
グリードさんと俺、2人一緒に斬ろうとするのなら何とかなる余地が生まれるかも!!
右腕を守る為に右へと回避するが、黒オーガの懐の中だと回避するスペースがなかった。
黒オーガの右腕の一閃によってグリードさんの右腕と俺の左足が斬り飛ばされる。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
下半身に激痛が走るが、構わずに右手の圧縮作業を終える。この瞬間にしか勝機はない!
風槍・零式を当てにいく……
だが、黒オーガは既に左腕による攻撃に移行していた。
トンファーブレードと風槍・零式が激突する!
"ガチッ"と音がしてトンファーブレードの棒の部分が呆気なく折れる。
と同時に黒オーガは素早く後方に跳んで距離を取った。
くそぉ。
足を失った分だけ踏み込むことができなかった。
地面に手と片膝を着ける。
黒オーガを見ると右手で左腕を抑えている。
武器を折っただけではなく、腕にそれなりのダメージを与えていたみたいだ。
しかし……
黒オーガがその気になれば俺とグリードさんに容易く止めを刺すだろう。
切断された足を早く繋げたいが、今は傷口を塞ぐほうが先か?
迷っていると黒オーガが先に動いた。
残った右腕のトンファーブレードで地面を斬り始めた!
な、何をしている?
すぐに周囲に土煙が立ち込めてくる。
煙幕か!?
地図(強化型)を見ると黒オーガらしき赤点は南へと移動していった。
「くそっ…………
どうなった?」
「退却したようです」
退いてくれた?
「そ、そうか…………」
とにかく斬り飛ばされた左足のところへ這って移動し、回復魔法で繋げる。
体が酷く重たい……
疲労や生き残った安堵感もあるだろうが、それに加えて血を流し過ぎたのかもしれない。
次にグリードさんの右手を拾い、
「俺はこのザマだ、もう引退するしかない」
「アンタはよくやったよ!」
「このぐらいの傷、すぐに治りますよ」
「いい戦いだったぜ!」
「ナタリア、3人になってしまったが後のことを頼む」
「グリード……」
何やらめんどくさいことをしているグリードさんの右手を掴んで、
「ツ、ツトム、おまえ短剣持って何を……
ん? おまえ、左足、なんでくっついて…………」
モイヤーさんの回復魔法で塞がったグリードさんの右腕の切断面を浄化済の短剣で切り裂いていく。
「い、痛っ! お、おい! やめろぉぉぉぉ」
「ツトム君、君はもしかして……」
新たな傷口と右腕を回復魔法で繋げる。
「言ったじゃないですか。回復魔法で治しますって。
引退なんてまだ早いですよ。
(グリードさんにはバルーカの為に今後も馬車馬の如く働いてもらわないと)」
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ツトム、ありがとうな。
だけどなぜそんな邪悪な顔をしてるんだ?」
「気のせいですよ。
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「出るのは俺だけだけどな。ツトムも出るのか?」
「はい。明後日にアルタナ王国に行くことになります。
グリードさん達は明日出発ですか?」
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「いや、俺は3等級だから本予選からの出場だ。ゆっくり休んでから出発しても十分間に合う」
「出場手続きは……」
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