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「ミリスさん、ひょっとして死霊術は昇格試験で使っても大丈夫だったりします?」
「特に禁止とする規定はありませんね」
これ、俺1人で十分昇格試験を勝てるな。
3等級はもちろんのこと、2等級相手でも余裕で勝てそう。
「ですが!
死霊術は魔法なのですから、使えるのはツトムさんが出る試合だけですよ?」
さすがに死体だけで試合を成立させることはできないか。
でも…………
「勝ち抜き戦か集団戦なら問題ないですよね?
自分1人でも普通に勝てそうですが…………」
「場合によっては集団戦では、使用する個体数に制限を受けるかもしれません」
集団戦は同数による対戦みたいな規定があるのかも。
「……………………」
ミリスさんが何か言い辛そうな、そんな表情をしている。
「どうかしましたか?」
「えっと…………、ツトムさんを担当している私でさえ、死霊術を使っての昇格試験参加はずるいなと感じてしまいます。
当然ながら他の職員や冒険者から相当な反感が生まれそうで、ツトムさんにとってあまりよろしくはないのかな、と…………」
まぁこんな方法で昇格試験を突破するのは自分でもずるいと思う。
強い死体を手に入れた者が勝つってだけだからなぁ。
スキルレベルや操る際の消費MP量など、越えなければならないハードルがあるとはいえ、だ。
「そうですね。
これ以上等級を上げるつもりもありませんし、ちょっと聞いてみただけです」
「(ほっ)それなら良かったです」
登録作業を終えたミリスさんと別れ、俺は南の森へと飛んだ。
そろそろ日も沈むので本来なら家に帰るところだが、どうしても死霊術で操った黒オーガやジェネラル達が戦うところを見たくなったのだ。
実際、生前の強さを発揮できるのか知る必要もあった。
LP(=レベルポイント)を32ポイントも使ったのに弱体化してたら大損もいいとこなのだ。
数体の小集団は無視して、それなりの獲物を求めて南下していく。
しばらくして、西に向かっている30~40体の魔物の集団を発見した。
自分たちの集落に帰還する途上だろうか。
着地して収納から黒オーガたちを出す。
(魔物どもを蹂躙せよ!)
オークリーダーに率いられた30体以上のオークに対して、死霊術で操った6体が攻撃を仕掛けた!
…
……
…………
指示通りの蹂躙が繰り広げられた。
相手がオークリーダーと通常種では生前の強さを発揮できたかまではわからないが、少なくとも極端に弱体化してないことだけは確定した。
そこそこ満足な結果が得られたが、誤算が2つあった。
1つは、狩りには向かないということだ。
攻撃力が高過ぎて、綺麗な死体が残るように止めを刺すということができないのである。
3体の特殊個体はもちろんのこと、オークキングやジェネラルも斧で力任せに相手を破壊してしまう。
唯一オークジェネラル高技量型だけが得物が大剣ということもあり、3体に1体ぐらいの確率で綺麗に止めを刺していた。
戦闘途中から、『首を落とすように』という指示を出したのだが、どの個体も指示通りに動くことはなかった。
このことから死霊術は攻撃魔法と同じく、スキルレベルを上げただけではその性能をフルに発揮できず、攻撃魔法における必殺技?新魔法?に該当する熟練度みたいなものを上げる必要があるのだろう。
2つ目の誤算は、二本角の黒オーガだ。
まるで役に立たず、以前の強さを発揮できなかったのである。
得物であるトンファーブレードが、1本は製作中でもう1本は鍛冶屋に預けているので仕方ない面はあるのだが、まさかロクに格闘術が使えないとは思わなかった。徒手空拳で戦う三本角の上位種なのに意外だった。
戦いの最後のほうで高技量型の大剣を持たせてみたらそこそこ使えるみたいなので、トンファーブレードが仕上がるまでの代替えとして大剣を買うつもりだ。
あとこれは余談だが、2体の三本角の強さは同じぐらいみたいだ。
俺はてっきりギルド本部から派遣された2等級パーティー『チェイス』を圧倒した個体のほうが強いと思い込んでいたが、アルタナ王国で倒した個体も引けを取ってなかった。特に足技に優れてるみたいだった。
「ただいま~」
「「「お帰りなさいませ」」、また随分と遅かったですね」
早速ルルカから突っ込みが入る。
もう完全に夜になってしまったしな。
「死霊術を習得できたので、ギルドで登録したり実戦における性能を確かめたりしてたんだ」
「それはよかったですね」
「「おめでとうございます」」
「ありがとう」
「さぁ、ディアも待ちわびてますし夕食にしましょう」
「わ、私は別に……待ちわびてなど…………」
ディアのお腹が鳴る音が聞こえてきそうだな。
だから遅くなった時は先に食べるよう言ってあるのに、頑なに待ってるし。
「そうだ!
死霊術を習得できた記念に、特殊個体に踊りでもさせてみようか」
「ツトムさん?」
なんか久しぶりにルルカから結構なプレッシャーが…………
「死霊術は家の中ではダメですからね」
「あ、ああ」
その、遊ぶなら家の外でしなさい的な言い方はどうなんだろう?
「特に禁止とする規定はありませんね」
これ、俺1人で十分昇格試験を勝てるな。
3等級はもちろんのこと、2等級相手でも余裕で勝てそう。
「ですが!
死霊術は魔法なのですから、使えるのはツトムさんが出る試合だけですよ?」
さすがに死体だけで試合を成立させることはできないか。
でも…………
「勝ち抜き戦か集団戦なら問題ないですよね?
自分1人でも普通に勝てそうですが…………」
「場合によっては集団戦では、使用する個体数に制限を受けるかもしれません」
集団戦は同数による対戦みたいな規定があるのかも。
「……………………」
ミリスさんが何か言い辛そうな、そんな表情をしている。
「どうかしましたか?」
「えっと…………、ツトムさんを担当している私でさえ、死霊術を使っての昇格試験参加はずるいなと感じてしまいます。
当然ながら他の職員や冒険者から相当な反感が生まれそうで、ツトムさんにとってあまりよろしくはないのかな、と…………」
まぁこんな方法で昇格試験を突破するのは自分でもずるいと思う。
強い死体を手に入れた者が勝つってだけだからなぁ。
スキルレベルや操る際の消費MP量など、越えなければならないハードルがあるとはいえ、だ。
「そうですね。
これ以上等級を上げるつもりもありませんし、ちょっと聞いてみただけです」
「(ほっ)それなら良かったです」
登録作業を終えたミリスさんと別れ、俺は南の森へと飛んだ。
そろそろ日も沈むので本来なら家に帰るところだが、どうしても死霊術で操った黒オーガやジェネラル達が戦うところを見たくなったのだ。
実際、生前の強さを発揮できるのか知る必要もあった。
LP(=レベルポイント)を32ポイントも使ったのに弱体化してたら大損もいいとこなのだ。
数体の小集団は無視して、それなりの獲物を求めて南下していく。
しばらくして、西に向かっている30~40体の魔物の集団を発見した。
自分たちの集落に帰還する途上だろうか。
着地して収納から黒オーガたちを出す。
(魔物どもを蹂躙せよ!)
オークリーダーに率いられた30体以上のオークに対して、死霊術で操った6体が攻撃を仕掛けた!
…
……
…………
指示通りの蹂躙が繰り広げられた。
相手がオークリーダーと通常種では生前の強さを発揮できたかまではわからないが、少なくとも極端に弱体化してないことだけは確定した。
そこそこ満足な結果が得られたが、誤算が2つあった。
1つは、狩りには向かないということだ。
攻撃力が高過ぎて、綺麗な死体が残るように止めを刺すということができないのである。
3体の特殊個体はもちろんのこと、オークキングやジェネラルも斧で力任せに相手を破壊してしまう。
唯一オークジェネラル高技量型だけが得物が大剣ということもあり、3体に1体ぐらいの確率で綺麗に止めを刺していた。
戦闘途中から、『首を落とすように』という指示を出したのだが、どの個体も指示通りに動くことはなかった。
このことから死霊術は攻撃魔法と同じく、スキルレベルを上げただけではその性能をフルに発揮できず、攻撃魔法における必殺技?新魔法?に該当する熟練度みたいなものを上げる必要があるのだろう。
2つ目の誤算は、二本角の黒オーガだ。
まるで役に立たず、以前の強さを発揮できなかったのである。
得物であるトンファーブレードが、1本は製作中でもう1本は鍛冶屋に預けているので仕方ない面はあるのだが、まさかロクに格闘術が使えないとは思わなかった。徒手空拳で戦う三本角の上位種なのに意外だった。
戦いの最後のほうで高技量型の大剣を持たせてみたらそこそこ使えるみたいなので、トンファーブレードが仕上がるまでの代替えとして大剣を買うつもりだ。
あとこれは余談だが、2体の三本角の強さは同じぐらいみたいだ。
俺はてっきりギルド本部から派遣された2等級パーティー『チェイス』を圧倒した個体のほうが強いと思い込んでいたが、アルタナ王国で倒した個体も引けを取ってなかった。特に足技に優れてるみたいだった。
「ただいま~」
「「「お帰りなさいませ」」、また随分と遅かったですね」
早速ルルカから突っ込みが入る。
もう完全に夜になってしまったしな。
「死霊術を習得できたので、ギルドで登録したり実戦における性能を確かめたりしてたんだ」
「それはよかったですね」
「「おめでとうございます」」
「ありがとう」
「さぁ、ディアも待ちわびてますし夕食にしましょう」
「わ、私は別に……待ちわびてなど…………」
ディアのお腹が鳴る音が聞こえてきそうだな。
だから遅くなった時は先に食べるよう言ってあるのに、頑なに待ってるし。
「そうだ!
死霊術を習得できた記念に、特殊個体に踊りでもさせてみようか」
「ツトムさん?」
なんか久しぶりにルルカから結構なプレッシャーが…………
「死霊術は家の中ではダメですからね」
「あ、ああ」
その、遊ぶなら家の外でしなさい的な言い方はどうなんだろう?
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