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第七章
36話 いざ美濃へ
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旅行当日。
大龍神社の前には一台の白いアルファードが停車している。これは無論、慎吾のものだ。身内をいれても三人なのに七人乗りとはこれいかに──と近所でいわれることもあるが、乗り物酔いをよくする眷属たちのために広々とした車内は必要だと奮発したらしい。
そして案の定、今回もその広さが役に立つようであった。
「ちょっと、なんでアンタたちも乗ってんのよ」
水緒が顔をしかめる。
運転席に慎吾、助手席に大地はいいとして、なぜか三列目にイタチ姿のかまいたちが乗車していたのだ。ちなみに二列目には、水緒のほかに人型の銀月丸とタヌキの朱月丸もいる。
次男紅玉はふんぞりかえって腹を掻いた。
「いいやねえか。美濃国っつったらオレらの住み処も近ェしよ──なあ蒼玉の兄者」
「うむ……心配召さるなお嬢。この鉄の馬にも大龍どのが結界を張ってくれたから、われらがカケラを奪うこともない」
「あ、っそ」
と言いつつも、水緒はカケラの入った袋をしっかりと胸に抱きしめる。
「なんだそれ、どういう意味?」
助手席から大地が顔を覗かせた。
答えたのは銀月丸だ。
「彼らはとある荒神さまの遣いによって、水緒さまのカケラを狙いに来とるのですが──一方で、以前大龍さまにご恩を受けたこともあり、強く出られぬのが本音のところ。しかしながら、天津国からはすべてお見通しなので、遣いをサボったら今度は彼らの命が危うい」
「大龍さまの結界を張ると、天津国からは結界の内の様子を見ることができなくなりますゆえ。神社内とこの車内は、監視の目を抜けられる聖地というわけです」
と、水緒の膝上でごろりと横になったタヌキもつけ加えた。うしろの席からは、翠玉が「ホントたまりませんぜ」と愚痴をこぼしている。
「四六時中見張られちゃ、こっちだって気分もわるくなりまさァ」
「まあまあ」
と、運転席の扉がひらいた。
いままで、諸々の荷物を車に積んでいた慎吾が戻ってきたのだ。出発の準備が整ったらしい。
「今日はイヤなことぜんぶ忘れて、楽しもう。うしろも人間になるならシートベルトするんだぞ。高速に乗るからな」
「はーい」
なぜか鎌鼬は上機嫌に返事をした。
知らぬ間に、慎吾になついたようだ。どうも慎吾はこういう人外のものに好かれやすい傾向にあるらしい。おもえば四眷属たちのなかでも慎吾の評価は異様に高い。
慎吾が着席したのを見計らって、大地がぐっと身を乗り出した。
「慎吾さん。いっしょに参加させてもらって、ありがとうございます。よろしくお願いします!」
「ああ。こちらこそ、いろいろと世話になってるって聞いたよ」
と言いながら座席の背もたれを少し起こす。
水緒はなあ、と苦笑してつづけた。
「母親に似てどうも気性の荒いところがあるから、扱いが大変だろうけど……うん。まあ大地くんならだいじょうぶだろ」
「はは……」
「なによ扱いって! 動物じゃないんだからっ」
「動物より厄介だよ、おまえは。さあ行くぞ!」
「おーーーッ」
そして車は発進した。
いざ、岐阜県へ。
※
「明森山か、知っとるぞ。縄張りは違えどお隣さんやでな」
イタチの紅玉が、鼻先を車外に出す。
高速道路の風圧が心地よいらしい。さすがは風をあやつる妖怪というべきか。対して、翠玉はすっかり車酔いをしたらしい。
二列目に移動して、水緒の太ももを枕にぐったりと寝こけている。
平気な顔の蒼玉は、三列目からひょっこりと顔を出した。
「あそこには鬼人族が住まうという。鉢合わせたことはないが──よほどに狂暴だそうだな」
「人を喰ってたよ。絵本では」
と、大地がつぶやく。
すると銀月丸は険しい顔で膝上のタヌキを撫でた。
「鬼人族とは、もともと人とおなじ生活をしとったが──人を喰うことが好きな人種でしてな。おまけに腕っぷしも人並み外れとる。そやつらがいつしか徒党を組んで族として独立したと記憶しとります」
「つまり鬼なの? 人なの?」
眉をしかめた水緒に、銀月丸は苦笑した。
「人は、残虐的で理解不能な人間のことを『鬼』と呼びますな。そんなようなものです。人であり、鬼であり……その族長たる存在にいたっては神ですらあるのですよ」
「ふうん──」
「いまからそんなとこに行くってのか。物騒だな……美波を置いてきてよかった」
慎吾がぼやいた。
ちなみに美波は、さんざん行きたいとわめいていたが、事情を鑑みた慎吾が「危険だから」とむりやりに置いてきたのだ。
しかし、鎌鼬のふたりはうれしそうに「最高やねえか」と小躍りする。
「一度、鬼人族にゃケンカを売ってみたかったで。一石二鳥やな兄者」
「ああ。鬼人族が出てくりゃ、俺たちもいろいろ誤魔化せるだろうし」
「あんまり物騒なマネはせんでくれよ。あくまで今回の目的は水緒のカケラ集めの一環なんだから。……」
「はいはいはい、わかってますって」
ぜったいにわかってない。
慎吾が顔をしかめて首を振る横で、大地がくるりと鎌鼬に目を向けた。
「誤魔化すっていうくらいなら、いっそのことその荒神とやらの言うことなんか聞かなきゃいいんじゃないの? たいした恩もねえんだろ」
「いや大地どの。それは──」
と銀月丸がにがい顔をする。
すると、その言葉を受けて車酔いのために息も絶え絶えなタヌキが、銀月丸の膝にあずけていた頭をゆっくりとあげた。
「ダキニの姐さまに逆らうということは、その身を以って死以上の苦しみを抱くとおなじことだと聞きますぞ……」
「ん──でもさ、大龍さまに恩があんだろ。その娘である天沢をつけ狙うなんて真似、あんたたちらしくないじゃんか。いっそのこと大龍方について反旗を翻してやろうぜ!」
「簡単に言いやがりますねェ」
と、翠玉がもったりと首をあげる。
しかしその声はどこかうれしそうだ。三列目に座る長男次男も「ほぉ」と口の端をあげている。
「オレが男と認めたヤツがそんなことを言っとる。どうする兄者」
「ふーむ」
蒼玉はちらと水緒を見た。
「お嬢はどうおもう」
「えっ……そ、そりゃあみんながこっちについてくれたら、それほど心強いことはないよ。うれしいよ」
「それによってわれらもアンタも、えげつねえほどにダキニの姐御から命狙われてもか?」
「そんなのはどっちについたって同じことでしょ。だいじょうぶ、あたし最近はすこし強くなった気がするし。いざとなったら眷属のみんなも、たぶんお父さんだって助けてくれる!」
たぶんって──と朱月丸は不安げに水緒を見上げたが、銀月丸は満足そうにうなった。
「もちろんですぞ」
「ええ銀月丸……本気なん」
「なんだ朱月丸、不満か。水緒さまがいうのだ。それがしらはお支えするのみ」
「まったくオオカミは従順一途じゃからのー」
と、朱月丸はくすくすとわらう。
物騒なマネはやめてくれな、慎吾はいまいちどつぶやいた。
大龍神社の前には一台の白いアルファードが停車している。これは無論、慎吾のものだ。身内をいれても三人なのに七人乗りとはこれいかに──と近所でいわれることもあるが、乗り物酔いをよくする眷属たちのために広々とした車内は必要だと奮発したらしい。
そして案の定、今回もその広さが役に立つようであった。
「ちょっと、なんでアンタたちも乗ってんのよ」
水緒が顔をしかめる。
運転席に慎吾、助手席に大地はいいとして、なぜか三列目にイタチ姿のかまいたちが乗車していたのだ。ちなみに二列目には、水緒のほかに人型の銀月丸とタヌキの朱月丸もいる。
次男紅玉はふんぞりかえって腹を掻いた。
「いいやねえか。美濃国っつったらオレらの住み処も近ェしよ──なあ蒼玉の兄者」
「うむ……心配召さるなお嬢。この鉄の馬にも大龍どのが結界を張ってくれたから、われらがカケラを奪うこともない」
「あ、っそ」
と言いつつも、水緒はカケラの入った袋をしっかりと胸に抱きしめる。
「なんだそれ、どういう意味?」
助手席から大地が顔を覗かせた。
答えたのは銀月丸だ。
「彼らはとある荒神さまの遣いによって、水緒さまのカケラを狙いに来とるのですが──一方で、以前大龍さまにご恩を受けたこともあり、強く出られぬのが本音のところ。しかしながら、天津国からはすべてお見通しなので、遣いをサボったら今度は彼らの命が危うい」
「大龍さまの結界を張ると、天津国からは結界の内の様子を見ることができなくなりますゆえ。神社内とこの車内は、監視の目を抜けられる聖地というわけです」
と、水緒の膝上でごろりと横になったタヌキもつけ加えた。うしろの席からは、翠玉が「ホントたまりませんぜ」と愚痴をこぼしている。
「四六時中見張られちゃ、こっちだって気分もわるくなりまさァ」
「まあまあ」
と、運転席の扉がひらいた。
いままで、諸々の荷物を車に積んでいた慎吾が戻ってきたのだ。出発の準備が整ったらしい。
「今日はイヤなことぜんぶ忘れて、楽しもう。うしろも人間になるならシートベルトするんだぞ。高速に乗るからな」
「はーい」
なぜか鎌鼬は上機嫌に返事をした。
知らぬ間に、慎吾になついたようだ。どうも慎吾はこういう人外のものに好かれやすい傾向にあるらしい。おもえば四眷属たちのなかでも慎吾の評価は異様に高い。
慎吾が着席したのを見計らって、大地がぐっと身を乗り出した。
「慎吾さん。いっしょに参加させてもらって、ありがとうございます。よろしくお願いします!」
「ああ。こちらこそ、いろいろと世話になってるって聞いたよ」
と言いながら座席の背もたれを少し起こす。
水緒はなあ、と苦笑してつづけた。
「母親に似てどうも気性の荒いところがあるから、扱いが大変だろうけど……うん。まあ大地くんならだいじょうぶだろ」
「はは……」
「なによ扱いって! 動物じゃないんだからっ」
「動物より厄介だよ、おまえは。さあ行くぞ!」
「おーーーッ」
そして車は発進した。
いざ、岐阜県へ。
※
「明森山か、知っとるぞ。縄張りは違えどお隣さんやでな」
イタチの紅玉が、鼻先を車外に出す。
高速道路の風圧が心地よいらしい。さすがは風をあやつる妖怪というべきか。対して、翠玉はすっかり車酔いをしたらしい。
二列目に移動して、水緒の太ももを枕にぐったりと寝こけている。
平気な顔の蒼玉は、三列目からひょっこりと顔を出した。
「あそこには鬼人族が住まうという。鉢合わせたことはないが──よほどに狂暴だそうだな」
「人を喰ってたよ。絵本では」
と、大地がつぶやく。
すると銀月丸は険しい顔で膝上のタヌキを撫でた。
「鬼人族とは、もともと人とおなじ生活をしとったが──人を喰うことが好きな人種でしてな。おまけに腕っぷしも人並み外れとる。そやつらがいつしか徒党を組んで族として独立したと記憶しとります」
「つまり鬼なの? 人なの?」
眉をしかめた水緒に、銀月丸は苦笑した。
「人は、残虐的で理解不能な人間のことを『鬼』と呼びますな。そんなようなものです。人であり、鬼であり……その族長たる存在にいたっては神ですらあるのですよ」
「ふうん──」
「いまからそんなとこに行くってのか。物騒だな……美波を置いてきてよかった」
慎吾がぼやいた。
ちなみに美波は、さんざん行きたいとわめいていたが、事情を鑑みた慎吾が「危険だから」とむりやりに置いてきたのだ。
しかし、鎌鼬のふたりはうれしそうに「最高やねえか」と小躍りする。
「一度、鬼人族にゃケンカを売ってみたかったで。一石二鳥やな兄者」
「ああ。鬼人族が出てくりゃ、俺たちもいろいろ誤魔化せるだろうし」
「あんまり物騒なマネはせんでくれよ。あくまで今回の目的は水緒のカケラ集めの一環なんだから。……」
「はいはいはい、わかってますって」
ぜったいにわかってない。
慎吾が顔をしかめて首を振る横で、大地がくるりと鎌鼬に目を向けた。
「誤魔化すっていうくらいなら、いっそのことその荒神とやらの言うことなんか聞かなきゃいいんじゃないの? たいした恩もねえんだろ」
「いや大地どの。それは──」
と銀月丸がにがい顔をする。
すると、その言葉を受けて車酔いのために息も絶え絶えなタヌキが、銀月丸の膝にあずけていた頭をゆっくりとあげた。
「ダキニの姐さまに逆らうということは、その身を以って死以上の苦しみを抱くとおなじことだと聞きますぞ……」
「ん──でもさ、大龍さまに恩があんだろ。その娘である天沢をつけ狙うなんて真似、あんたたちらしくないじゃんか。いっそのこと大龍方について反旗を翻してやろうぜ!」
「簡単に言いやがりますねェ」
と、翠玉がもったりと首をあげる。
しかしその声はどこかうれしそうだ。三列目に座る長男次男も「ほぉ」と口の端をあげている。
「オレが男と認めたヤツがそんなことを言っとる。どうする兄者」
「ふーむ」
蒼玉はちらと水緒を見た。
「お嬢はどうおもう」
「えっ……そ、そりゃあみんながこっちについてくれたら、それほど心強いことはないよ。うれしいよ」
「それによってわれらもアンタも、えげつねえほどにダキニの姐御から命狙われてもか?」
「そんなのはどっちについたって同じことでしょ。だいじょうぶ、あたし最近はすこし強くなった気がするし。いざとなったら眷属のみんなも、たぶんお父さんだって助けてくれる!」
たぶんって──と朱月丸は不安げに水緒を見上げたが、銀月丸は満足そうにうなった。
「もちろんですぞ」
「ええ銀月丸……本気なん」
「なんだ朱月丸、不満か。水緒さまがいうのだ。それがしらはお支えするのみ」
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