執着の勇者と贖罪の魔王~赤い瞳は愛欲に燃える~

ツジウチミサト

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1「勇者」と「魔王」

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「いいよ。体に聞いてあげる」

 答えないイルフィに微笑みかけると、ハヴェルは急に体を引いた。

 え、と思う間もなく彼が口の中でブツブツと何かを唱え出す。それが解呪の呪文であったことに気づいたのは、脚を捕らえていた縄が消えたからだ。

 手の戒めはそのままに、自由になった脚はすぐ、股の間に陣取ったハヴェルに抱え上げられる。その膝が胸に付くまで折り畳まれるに至り、イルフィは彼の意図を察して顔面を蒼白にした。

「そんな、嘘だ、ハヴェルッ……ひぅうッ!」

 尻の双丘の間に顔を寄せたハヴェルが、孔の縁をべろりと舐めた。そのまま窄まりに舌先をねじ込まれ、内臓を直接ねぶられる恐怖と吐き気が喉にせり上がる。

 だがそれも一瞬のこと。尻肉が左右に押し開かれ、剥き出しになった襞の薄桃色がハヴェルの眼前に晒されると、焼けつくような羞恥がイルフィの思考に火花を散らした。

「あぁ、あっ、くぅ……っ!」

 熱い肉の具合を確かめるように、ハヴェルはじっくりと孔を舌でほじくっていく。
 じゅるっ、と唾液を注ぎ込む音が聞こえ、それを追って舌先が狭くて熱い襞をまさぐる。

「んうっ……あう、うんぅ……っ!」

 イルフィは半ば目を潤ませながらかぶりを振る。
 こんな恥ずかしいこと耐えられない、やめてほしい。

 尻孔を舐めてほぐされる責め苦は永遠かのように長く続き、腰から下がどろどろに蕩けても終わらない。恥じれば恥じるほど快感が膨れ上がっていくようで、イルフィの強固であるはずの意志は、次第に自制を失っていった。

「も、もう……やめ……、やめてぇ……!」

 ついには哀願を発してしまったイルフィに、ハヴェルはようやく顔を離した。

 終わった。そうイルフィが安堵した一瞬の隙に、熱い切っ先がぐずぐずに綻んだ孔へと押し当てられる。

 それがハヴェルの屹立であることに気づいたのは、破瓜の痛みと共に押し入られた後だった。

「ぃっ……――――!」

 容赦なくねじ込まれる熱のかたまりに、身が裂けそうなほどの激痛が走る。
 ぐっ、ぐっ、と力任せに腰を進められ、太くて硬い質量が奥をこじ開けていく圧迫感。イルフィは悲鳴すら上げられず、全身を痺れさせながら目を見開き硬直する。

「きつい、ね……。ほらやっぱり、僕が最初だ」

 やがてハヴェルの男根は、イルフィの最奥まで犯しきった。

「あっ…あっ……」

 みっしり腹を埋められた苦しさに激しく胸が上下する。汗ばむ薄い胸を見下ろして、ハヴェルが舌なめずりしたようだった。

「……たまんない」
「や、待て、動くな、やだっ……!」

 イルフィの呼吸が整うのを待たず、ハヴェルが乱暴に腰を使い始める。
 獣かのような荒々しい打ちつけに、イルフィは波に揉まれる木の葉のように翻弄されるしか出来ない。

「やっ、あっ、ああ……! くっ、ぁっ…あんっ……」

 しかし力なき悲鳴は徐々に悩ましい艶を帯び始め、愉悦に悶える嬌声へと取って変わっていく。痛みだけではない確かな快感が滲むのを、浅ましく乱れる己の姿に自覚せざるを得ない。

「あうっ……あ、あっ……」

 奥を突き上げられた衝撃に背中が反り、その震えが収まらないうちにまたごりごりと奥をこすられる。

「イルフィ、気持ちいい? いいよね?」

 生理的な涙でぼやけていたイルフィの視界が、不意に焦点を結ぶ。
 見上げた先にいたのは甘くも精悍な美しい顔。――ハヴェル。
 
 自分が誰よりも守りたかった子ども。人間であることを捨ててまで苦しみから逃がそうとした最愛の子が、大人の男になって今、自分を手酷く犯している。全身で欲しいと訴え、一心不乱に求めてくる。

「イルフィ……好きだよ、イルフィ、イルフィ……!」

 獣のように腰を振るハヴェルは、明らかに歓喜していた。熱い息を乱して、狂おしいほどの執着と興奮を爆発させている。

(こんなにも、私のことを……)

 ごりごりと媚肉をこする逞しい男根を、イルフィは無意識に食い締めていた。
 そんな懐く反応をハヴェルも感じ取ったのだろう、高みを極めるように腰の動きを加速させていく。

「あっ、あんっ……んぅっ、うう……ッ!」
「イルフィ、イルフィ、僕のだ、僕のモノ……!」

 ハヴェルが歯を食いしばり、雄くさい息を漏らしながらイルフィの中で熱を爆発させた。

 迸りながらもハヴェルの腰は止まらず、奥の奥へとねじ込みながら精の全てを注ぎ込む。
 これ以上はないという最奥にまで熱い楔を打ち込まれ、イルフィは受け止められないほどの快感で全身を痺れさせた。

(……私の中に、ハヴェルがいる)

 呆然とするほどの長く尾を引く余韻。

 イルフィの腹に自身を収めたまま、ハヴェルが体を伸ばして顔を近づけてくる。
 唇を合わせ、薄く開いたその間から舌を差し入れられるのを、イルフィは最早抵抗する気力もなく受け入れた。

「……ん、あ……あぁっ……」

 滴るような口づけを交わしながら、イルフィはハヴェルの手が導くままに、白蜜を花芯からそっと吐き出した。 
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