自然と世界は廻る

已己已巳己

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第三十五話 大戦争三大事件

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小路 基本的には、産まれて能力が発現するまでに、神の使いってのは決まるんだが、たまーに能力を持ってから神の使いになる奴がいるんだよ。
星月 つまり、小路さんの能力は、あくまで先天的な能力の封鎖ができるだけで、神の能力までは能力の範囲外ってことなんです。
白上 それにしても、強さによって能力の禁止ができるおっさんが無理っていうなら、神の使いはランクいくつなんだよ。ってかそもそも小路のおっさんってランクいくつだっけ。
小路 まあ、言われてしまえば4にあたるが…3までは能力の範囲内にあたる。
松木 え、じゃああの太陽神は2か1ってことですか!?
 想定外の事実に愛実は憶測を広げていた。
増田 冗談wだとしたら国が無くなる程度のやつと戦ってたことになるぞw
実久 え、でも、純なら2と戦ってたってなっても納得いくわ。
小路 純も確か4だよな。でも実久のサポートありなら、一時的な3にはなってたと思うぞ。
星月 ただ、神の使いは神から授かったもので、自身の能力としてはカウントされないんですよ。
白上 は!?じゃあつまり…
 白上は視線を純に移す。
増田 そうだ。神の使いの使う能力はランクという概念に当てはまらない。この能力社会における、唯一の異質な存在なんだよ。
 純は少しニヤついてそうつぶやいた。
白上 じゃあ、純がそこまで神の使いを欲しがってた理由って…
増田 戦争のもとをたどれば、こちらのランクはお見通しと考えた時、唯一の透明人間になれる戦力の確保ができるんだよ。まあ、先天的に固有の能力が付いた奴の方が、数としては片手ほどしかいないだろうから優先順位は高いけどね。ただ太陽神、いわばアマテラスの神は最高神と名高い神だ。それを含めると今回の結果は納得といえば納得なんだよな。
星月 固有能力持ちのランクで表すなら、純の父親と同じ、ランク2相当だと思われます。
小路 先天的な固有スキル持ち、俺が見た中ではあれと…もう1個か。以来聞いたことすらねえからなー。ただ、何年前だったっけなー。あの年は酷かったぞー!w
 小路は頭を押さえながらニヤついてそう言った。
実久 あなたが活躍した年ー!?
小路 いや、それより前だ。たしか、戦争が始まってから…3年だったかなぁ。お前らは知ってるか?今に至るまでに起きた、大戦争三大事件をよw
 小路は、今までにないほどの笑顔を全員へ見せた。
星月 もちろんです。
白上 もちろんしらねーけど?
小路 なんだよ香菜、つまんねーな。
増田 俺も一応2つは分かるぞ。
実久 ででで?どんなのなのー?
 実久は興味津々でそう聞いた。
小路 まずは、この今日まで続く大戦争が始まった事件、「藤原家暗殺未遂事件ふじわらけあんさつみすいじけん」からだな。
 そういうと、小路はあぐらをかいて座り、それから話し出そうとした。
白上 あーそれか!なら俺もわかるわ。
小路 これは今生きてる奴ならほとんどのやつが知ってるだろうから、割愛かつあいするぜ。んでその3年後よ。
実久 やばいって言ってた年ね!
小路 そうだ。この年に起きたのは「幼子蹂躙事件おさなごじゅうりんじけん」だ。
白上 おっと…これは結構むごい感じなんだな。
星月 いえ、私も初めは誤解しましたが、逆なんです。
実久 というと?
小路 そうなんだよな。この事件が三大事件と呼ばれる理由が、この事件は歴史上観測してきた中で、都市伝説と思われていたはずのランク1が初めて現れたからだ。
松木 え、それと子供に何の関係があるんですか?
小路 感が悪くってありがたいぜー。何を隠そう、その幼子こそ、史上初のランク1保持者だったからだ。
白上 そんなのありかよ!?
星月 どうやら、その子が今も生きていた場合、私たちと同じ年に当たるそうですよ。
白上 同年代でそんなのが生きてたら成長意欲無くなるってー…
星月 同感です。
 2人は落ち込みながら下を向いた。
小路 お、これは香菜も知らないらしいな?w
星月 え?
小路 その事件は、唯一戦争を一時中断して、藤原と伊集院が結託して倒しに向かったってのは知ってるだろ?
星月 はい。それで場を収めたと…
小路 そいつ、現場から姿を消してるんだよ。
星月 !?
???? 第一、小路さんとそのお友達、そして私と両軍の中でもエリート軍の、どれか一つがいなきゃ少なくとも、あそこで両軍とも死んでましたからね。
実久 え…そんなやばかったんだ…ってことは、やっぱりあなたって強くて素敵!!
小路 まあそれほどでもないんだがな。
 嬉しそうに抱き着く実久に対し、小路は気まずそうにそう返した。
星月 当時幼子は3歳、身元不明となると、親の存在が気になりますよね。
実久 そうね、親の能力に近い能力を持って産まれてくる子もいるものね!まあ、うちの子は駄作だったけど。
小路 それに関しては俺はあまり知らないけども…まあ話を戻そう。あの能力を3歳児の頭で使いこなせるわけがないんだ。だから当時は対処法が分からなくてな…
増田 俺の親も参戦したんだよ。だから当時の状況なら覚えてるさ。
 増田の顔は幼子蹂躙事件の話が出てきた瞬間から明らかに態度が変わっていた。
小路 そういえば、そうだったな…えっと、次が最後だ。これは「藤原家神様融合事件ふじわらけかみさまゆうごうじけん」だ。
白上 名前だけ聞いたら、神と人間を一体化させるってことだろ?
小路 ああその通りだ。だが、失敗してな。
星月 正式には、融合段階まではうまくいってたんですよね。
小路 よく知ってるじゃないか。だが、融合した個体に異変が起きてな。そのまま適応できずに融合と同時に死んじまったんだ。
増田 へー。初めて聞いたな。
小路 ただここでまずかったのがその神の個体自体も一緒に死んでしまってな。
白上 その話だと、神が実在するってことじゃねーか。
小路 いや、これは言い方が悪かったな。正確に言えば、捕らえた神の使いの能力を別個体に移動して活用するって実験だったんだ。
松木 なんで動かす必要があったんですか?
小路 それはまあ、移動先の個体の産まれが関係するんだ。
白上 あー、じゃあ有名どころのお偉いさんとかになるのか。
小路 藤原家直系の息子だ。
白上・増田 …は?
小路 おそらく、党首は実力をつけるため、次世代まで戦争を長引かせるつもりだったんだろう。そこで使ったのが、実力と権力を持ち合わせた子供の作成ってことだ。
星月 私としても、それを初めて知ったときは吐き気がしました。
増田 ああ、だから俺は藤原を離れたんだよ。
白上 俺も初め、お前に声をかけられた時は、めっちゃ警戒したさ。
小路 まあそりゃあん時ひっでぇ顔してたもんなw
白上 仕方ねえだろ!w
実久 私はあなたがいたからねー。
小路 そうだなー!w
 すると、2人はまたイチャイチャし始めた。
???? 未成年がいる場でいちゃつかないの。音波を見なさいな。
白上 げぇぇ…
星月 まあまあ…
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