自然と世界は廻る

第四十九話 剣城との邂逅

灰白　（時間停止！！）

灰白　なんだ、この殺気…あと一瞬でも遅れていたら大けがをしてたかのような安心感…周りをよく見る…って、伊集院の人がいない！？
　時太はあたりを見渡していくと衝撃的なことに気づく。
灰白　こいつ…空から奇襲をかけてきている！？
剣城　…
　剣城の目は、達人との試合で見せた殺気立つ目と変わらなかった。
灰白　しかもこの斬撃、最初はよく見えなかったけど風圧か何かが刃先から発射されてる！この時間停止の解除直後に、何とかして２人を戦闘態勢に入らせないと…ここで全員間違いなく死ぬ！！
　時太は残り数秒間で悩んだ末、２人を信頼して行動した。
灰白　ここで解除だよ。気づけ！！

葉月　（ん？なんか場所が変わった…？）守れってことか！！
　彩里は即座に時太が時間停止によって自身の場所を移動させたことに気が付いた。
百鬼　（殺気！？）
　みなもは自身が移動したことには気づかなかったが、空からの殺気を時太より遅くも正確に察知し刀を取り出していた。
灰白　ナイス２人とも！！
剣城　…冒険者ですよね。
灰白　いきなり攻撃してきてなんですか！？
剣城　お前は、どっちだ。
灰白　は！？
　剣城は一瞬で時太の間合いに入り、そう尋ねた。
剣城　…？
灰白　いや困った顔されてもこっちが困るわ！！
葉月　何が目的なの！？
剣城　…僕は伊集院家当主の息子だ。
３人　！？
百鬼　は…！？聞いたことないぞ！
剣城　それはあたり前だよ。公表していなかったからね。藤原家が神様融合事件を隠していたように。
葉月　（さっきみなもが言ってた事件！？）
灰白　それより、なんで俺を単体で狙った！！
剣城　僕は、この世界を恐怖のどん底に落とした藤原家暗殺未遂事件をはじめとしたこの大戦争を終わらせる。そのために戦争が始めってから今までのことを、しれる限りの全てを知った。
灰白　だからなんだよ！
剣城　…？やっぱり何かおかしい。
灰白　さっきから何がおかしいんだよ？
剣城　君から殺気を全く感じられない。
葉月　そりゃあ不意に攻撃してきたとはいえ簡単に人を殺したい衝動に駆られるような人じゃないしね。
　彩里は警戒しながらそう言う。
剣城　…すみません。思い違いでした。
　剣城は剣を鞘にしまいながらそう言った。
百鬼　ねえ、ちょっと気になったんだけどさ、あなたは神様融合事件についてどこまで知ってるの？
剣城　皆さんに不快感を覚えさせてしまったお詫びとしてお教えします。藤原家神様融合事件に使われた最初の被検体は、調べによると現在推定１５歳。能力は一部の人しか知られていないはずだが、推測としては理解できることがあります。
葉月　推測…（さっきから、でたらめ言ってるようには思えない…この人の言うことは、何か説得力があるな。）
百鬼　それは？
剣城　噂には埋葬されたはずの遺体は誰かに盗まれた説が濃厚だが、僕は被検体自身がそこから脱出したと思っています。そこから推察できる能力は瞬間移動、すり抜けの能力、死者蘇生の能力あたりが妥当かと思っています。
葉月　確かに自分自身で出たって発想なら、その考えが正しいかも。
剣城　あなたたちはやけに事件について興味がおありの用ですが、何か調べている方たちなのですか？僕としては、その風貌からはまだ子供のように思えますが。
百鬼　子供じゃないし！ｗもう１５歳なんですけどぉ！？
剣城　なるほど、僕は１６です。
百鬼　何ーマウントとんのか！？ｗ
剣城　そんなつもりはないのですが。
百鬼　なんか腹立つなーｗ
葉月　…自分たちも、この戦争を終わらせて平和な世界を作るために冒険をしてます。
灰白　（ナイス切り出し！）
剣城　なるほど…ですが、あなたたちがこの件に首を突っ込むのはやめておいた方が身のためだと思います。
百鬼　何文句あんのー？
葉月　いったんその喧嘩口調やめなさいｗ
剣城　単刀直入に、あなたたちがどちらの軍につこうが、まともな戦力になるとは思えません。
百鬼　こいつ一回ぶっ飛ばしていいかなぁ？ｗ
葉月　やめなさいｗ
灰白　でも、自分たちがどっちについてるかこの人は知らないもんね。
剣城　あらかたあなたたちの心は理解できます。藤原の見方では、ここまできれいになりません。
百鬼　なんか褒められてる気がしないんだが？
剣城　あなたたちの安全のためにも、引き返した方が身のためです。少なくとも、私を倒せる程度の強さを誇らない限りはのちに行われるであろう全面戦争や最終決戦では犬死にが妥当です。
灰白　最終決戦？
剣城　僕の見立てでは、藤原家には神様融合事件からの失敗を見直し、融合の成功体がすでに数人…いや十数体、ひどくて数十体いる可能性が大いにある。これが一気に放出されたときが、最終決戦の始まりになると思います。その時は、伊集院側に軍配はなかなか上がらないでしょう。
葉月　自分達は、もしその時が起きるなら伊集院の方につくつもりだけど、何か役に立てないですか？
剣城　皆さんのランクを見せてもらえないと何とも言えないですね。
百鬼　私はこの通り５だよ。とはいっても、あんたは少なくとも４かそれ以上でしょうけど。
葉月　自分も５です。
灰白　俺は６。
剣城　皆さんの能力は？
百鬼　私もあなたとおなじ剣の能力。属性は水。
葉月　自分も水を使える能力です。
灰白　俺は時を止める能力だけど…
剣城　時間停止能力…やはりあなたが怪しいんですよね。
灰白　たしかに遺体が自分の意思で動いてたとしたら時間停止も一種の移動手段にはなるだろうけど、埋葬されたならそこから出られないでしょｗ
剣城　（この人たち、なぜか話してて親近感が沸く…）時止を泊める能力なら、確かに不可能ですね。しかし、こうは考えませんでしたか。時間を操る能力だとは…
灰白　考えたことはあるけど、やれたらしてるよｗそれに俺が最初の被検体なら伊集院側についてるこの現状で、話せることは話してると思う。
葉月　それに時太とは７歳の時から一緒に過ごしてたしね！
剣城　なるほど…みなさんとは私の貴重な資料の１つとして記録させてください。
百鬼　それは別にいいけど、あんたの能力も聞きたいんだけど？私達だけ教えるのは不公平でしょ！
剣城　そう言えばそうでしたね。
　そう言うと剣城は手の甲を見せた。
剣城　ランクは３、能力は、剣にのみ宿る、四元素全てです。
百鬼　…は？
灰白　マジ・・・か！？
葉月　（四元素…全部！？）