自然と世界は廻る

已己已巳己

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第五十五話 両家到着

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増田 ここが、おそらく藤原家の本拠地だ。
星月 ここまで、結構長い道のりでしたね。
白上 とりあえず、極力戦闘は避けるつもりでいいんだよな?
小路 あたりめーだ。少なくとも俺と純は奴らに顔も合わせたくないからな。
実久 実久はどうすればいいー?
増田 実久は基本的に何があっても俺から離れないでほしいかな。能力維持は実久にしか頼れない。
実久 おっけー。
小路 実験体に関しては、俺の能力で何とでもなるが、どいつを優先的に持っていく?
増田 うーん、基本的に完成してる実験体を見つけたらそれ優先で。
白上 完成体と実験体って、どうやって区別するんだ?
増田 まあ俺自身の考えでは、ここには完成体の中でも特に重要な個体がいると予想している。まあ、実験室は別の場所にあるんだろうなって思ってるからさ。
星月 確かに、本拠地がいつ襲撃されてもおかしくない状況で実験体を本拠地においておくことはリスクが高すぎますよね。
白上 じゃあとりあえず、完成体の見分けは理解したけど、その完成体がもし起きてたらどうするんだ?
実久 え、そっちの方が連れてきやすくなーい?
小路 もしそいつが調教済みだったらと考えた場合の話だろ。その場合は、極力見つからないようにその場を立ち去ることだな。おそらく音波が勝てる可能性はかなり低い。
白上 了解。時間は?
増田 あまり長居したくない。ってのが本音かな。だから30分が限度で行こう。制限時間になったら、すぐにここに戻ってくる感じで。
白上 万が一、敵に見つかった場合はどうすればいい?
増田 音波の場合は、勝てないと悟った瞬間能力を最大限使って逃げてくれ。侵入者が来たことがばれれば隠密行動をする必要もない。みんなも異変を察知したらすぐに外に出ることを優先してくれ。俺が全員を救出し次第、全力で逃げる。そういうことにしよう。
小路 じゃあ、純と実久以外は全員1人行動な。
星月 分かりました。それでは、行きましょう。
白上 ああ、作戦開始だな。
増田 (藤原家は、俺の手でつぶす。そして伊集院家も、この実験体を使って消し去ってやる…)

~伊集院家~
剣城 ついたよ。
萩原 うおおおお!!めっちゃすごい!!w
相馬 すっごい走りがいがありそう!!
錫谷 敷地の広さ見た最初の感想がそれかよw
桜木 とりあえずしばらくはここでお世話になります。
剣城 そう堅苦しくせずに、自然体でいてくれると嬉しいな。
百鬼 水の使いの人に関しては興味があるけど、それ以外ここにいる意味はないから、できる限りは長居しないようにしたい!
剣城 そんな焦らなくても、百鬼家まで結構近づいたのも事実だし、本来歩くはずだった時間を有意義に使うって意味でここで過ごせばいいんじゃない?
葉月 それはそうだね。その分たくさん強くなれるしね!!
百鬼 それは、そうだけどさー。
剣城 とりあえず、まずは僕の父親に合わせるよ。
錫谷 マジか!?
葉月 すんごい光栄じゃん!!
百鬼 私って会ったことあったっけ?
剣城 それも含めて会って確かめてみるといいよ。案内するね。
相馬 すっげー楽しみ!w

剣城 戻ったよ、父さん。お客さんを連れてきたよ。
?? そうか、よく戻った。ほう、土産話は後で聞くことにしようか。
葉月 この人が…!
剣一郎 改めまして、私が伊集院家現党首、伊集院剣一郎いじゅういんけんいちろうだ。
剣城 父さん。この人たちはを連れてきたのは理由があるんだ。
剣一郎 ああ、なんとなく理解はしているよ。
剣城 本当!?
剣一郎 やはり最近の議題は最終戦争について持ちきりだ。少なくとも、私たちはこの戦争を長引かせるわけにはいかないと思っている。それはきっと向こうも同じはずだ。そして、剣城もまたその危機感を覚えていることも知っていた。今回に関しても、きっとそれに関連したことなのだろう?
剣城 そうだね。まずは、驚きの報告を、本人からしてもらった方がいいかな。
剣一郎 ほう?
剣城 全滅したという噂の、お嬢さんにさ。
百鬼 私の出番かな…?どうもこんにちは、百鬼組の長女、百鬼みなもって言います。
剣一郎 …はっ!?
剣城 僕も初めは驚いた。だが、彼女の話を聞く限り、本当らしいんだ。
剣一郎 なるほど…それは、朗報であったな…
 剣一郎はしばらく考えたのち、みなもに対して視線を向けた。
剣一郎 みなもよ、父親の言いつけは、守っているか?
百鬼 言いつけ?…あ、
 みなもは急な問いに少し悩んだ末、昔彩里達にした話を思い出した。
百鬼 次期党首として、自由と堕落の奔放主義を象徴する人になるべきって話のことですか?
剣一郎 そうだね。それで、それを君はどう思う?
葉月 (ここでみなもが答えたら、どうなるんだろう…)
 彩里に限らず、そこにいた全員がそう思っていた。
百鬼 私は、次期党首として、奔放主義を象徴する人になりたい。でも、そのためには、この戦争を終わらせなくてはいけないと考えています。
剣一郎 それは、父親からの言いつけか、それとも自身の考えか?
百鬼 私は、今までたくさんのことをみんなと過ごして、より考えが固まった。自分の意思は、他の誰にも変えられない。例え父親でも、あなたでも。
剣一郎 そうか…
 その時、剣一郎はゆっくりと腰を上げた。
葉月 (何か、まずい気がする!!!)
 彩里はすぐに時太に目線を合わせに行く。
灰白 !!!(俺だけじゃねえ!これは、何かやばい!!)
剣一郎 理解した。
百鬼 …っ!
 みなもは異様な雰囲気の中、刀を抜かずその場に立ち尽くした。
剣一郎 はは、なるほどな。大きくなったもんだ。
葉月 (…は)
百鬼 …へ?
 みなもは思わず抜けた声が出てしまった。
剣一郎 いやあ、実に久々だね、みなもくん。
百鬼 え、会ったこと、あったっけぇ?
 みなもは斜め上を見て、気の抜けた顔をした。
剣一郎 覚えていないのも無理はない。君と会ったのは、君が生まれて間もない頃ただ1回だけだったからね。
百鬼 あ、なるほど。
剣城 父さん、あまり変な気配を漂わせないでくれよ。
剣一郎 まあまあ、あいつの真似をしたまでだよ。
百鬼 あいつ?
剣一郎 君の、父親さ。
百鬼 …!!
剣一郎 少し怖がらせてしまったね。かつてのあいつと同じようにふるまおうと努力したつもりだったんだが…
百鬼 父と、仲がとてもよかったんですね。
剣一郎 ああ…そうだな。
百鬼 (最初に父のことが出てきたときは、この人につかみかかろうとした。でも、この気持ちは私よりも長く生きてるこの人の方が分かりきってるはずだ。そんな人が、私の心を少しでも軽くさせようとしてくれたんだと、今知った。この人は、なるべくしてなった党主だ。)
剣一郎 じゃあ、自己紹介がてら、君たちの能力でも教えてくれ。剣城の報告も含めて、これまでの旅路を教えてほしい。
剣城 え、僕まだこの人たちが旅人だなんて言ってないよ?
剣一郎 見ない顔だ。ある程度その予測はつくさ。
剣城 なるほどね…(父は、僕よりもよく調べ、よく学ぶ人だ。顔が広いだけじゃなく、知り合った人全員の顔と名前を覚えている…どうりですぐにわかったわけだ。)

~数十分後~
剣一郎 ほーー!!こいつは面白いwそれで今に至ると!
葉月 そうなんですよーw
剣一郎 だが、本当につらい旅路だったろう。特に2人はね。
 剣一郎は鈴音と千聖の方を見そう言った。
萩原 でも、今言った通り、とても楽しかったですよ!
桜木 困ることもたくさんありましたが、今までの人生で何よりずっと、色鮮やかな景色を見れました。
剣一郎 そうかそうか!!そいつはすまなかった!!
剣城 父さん、それで、少しばかりここに滞在した後、みんなを百鬼家まで送りたいんだ。
剣一郎 実家に帰省するのか。それもまた、少しはいいかもな。
剣城 ただ、最終戦争がいつ始まってもおかしくないこの現状で、ここを離れるのも危険だと思うんだ。
剣一郎 つまり、あいつが必要ってことだな?
剣城 …え?
??? お、出番っすか?
 その瞬間、ずっとスタンバっていたかのように颯爽さっそうと現れた男が、嬉しそうにそう言った。
剣一郎 ずっとそこに居られたら仕方ないだろうw
葉月 気づいてたんですか!?
剣城 この人は…!
大西 あ、皆さんどうも、盗み聞きしてました!w大西了(おおにしりょう)って言います
~仲良くしてくれると嬉しいな!!
桜木 あ、どうも…
剣一郎 こいつのことは、剣城から聞いてるかは知らんが、君たちのいい練習相手になるだろう。特に、みなもくんと彩里君にはね。
2人 !!
 その時、2人には思い当たる節があった。
葉月 もしかして、剣城が言ってた人…!?
剣城 そうだよ。父さんとの古い仲で、父さんと互角にやりあえる程度の実力の持ち主だ。
大西 やだなーそんなんじゃないって剣城ーw
剣一郎 昔はよく2人で模擬戦をやったものよw
大西 とは言っても、最後にやったのは十数年前だろ?
剣一郎 はは、そうだったな。
 2人には笑顔の裏腹に、どこか寂しそうな雰囲気が纏っていた。
百鬼 それで、その人が水使いの達人ってことだよね?
剣城 そう言うことになるね。
大西 なんか達人になってるの意味わかんねーw俺はただの一般人なのにw
剣城 無理があるって…w
大西 とりあえず、稽古ならまあいつでも声をかけてくれ!いつでも相手してやるぞ!!
剣一郎 あー、その件に関してなんだが…
大西 ?
剣一郎 最終戦争がいつ始まってもいいように、できる限り多くの時間で稽古をしていてほしいんだ。期間は、一週間としよう。それまでは、みんなも百鬼家に行くのを待っていてほしい。
岩田 俺は構わないですが、みんなは?
錫谷 俺も問題ないぜ。
桜木 みんなみなもの考えが第一って思ってると思います。
萩原 それもそうだね!
百鬼 分かった。わかりました。ではこの一週間、よろしくお願いします。
葉月 自分も、よろしくお願いします!
大西 おお!それじゃあさっそく2人は俺と一緒に模擬戦からしてみよーう!!
葉月 え!早速!?
大西 思い立ったら吉日きちじつっていうだろー?
百鬼 じゃあ、行こう。彩里。
葉月 みなもも準備おっけーなんかいwもちろん!!
剣一郎 それでは、残りの6人は自由にしてもらってもいいが、時太君には、少し話を聞かせてほしいな。
剣城 !!!
 この時、剣城は初めて時太と出会ったときのことを思い出した。
灰白 わ、分かりました。
剣一郎 ここにいる間は側近を1人1人に付けるから、困ったときはそいつに相談してくれ。
桜木 分かりました。
相馬 おお!!俺に側近が着くなんて…!
錫谷 相馬の側近さん、ご苦労様です…
相馬 まだなんもやってないだろww
岩田 それじゃあ、各自で行動開始だな。
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