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第二章 メモリー&レイルート
まあ、大人の女性ってとこかな♪
しおりを挟む「いやー、ほんまに凄かったわ。自分。」
「どうも有り難う御座います。」
「しかしこれで東の国も大分強くなりましたね。唯一のネックであった守護者の不在を解消し、そしてこれほど強いとなれば南の国のミミ様達も脅かすほどではないかと思います。」
「いやいやそんな、まず私が足を引っ張らないように頑張るだけです。」
机を囲んで談笑するのは、西の国と東の国、それぞれの代表と側近達。西の国の代表ニシ、側近のナオ、東の国の代表アズ、そして新たに東の国に側近として加わったエドである。
西の国、東の国の親善試合を終え、西の国の城でお互いの健闘を称え合っているといったところだ。
「ほな、ここらでお開きとするかね。」
「はい。ではお二人の寝室の方へご案内致します。」
「ありがとうございます。」
夜も更けた頃に、ナオはアズ、エドの二人を寝室へ案内する。その後は特に何も問題はなく、四人全員がベットの中で眠りについた。
だが、真夜中。何かが動いたような小さな物音でニシが目を覚ます。
「……なんや?」
そのまま起き上がり、物音の正体を確かめるべく、おそるおそる部屋を出る。そこでニシが目にしたのは…。
「あ、こんばんは。こんな夜更けにどうもすいません。」
見たことの無い人物だった。全身を黒装束で包み、そこから覗く顔はとても整っている。眼と、そして髪色、共に鮮やかな黒色の美しい女性がそこに立っていた。
「!?あんた誰や、それに何で勝手に人の家に」
「あー、いやいやちょっと私用でですねー。」
「何いってるんやこいつ、おーいナオ警察、ナオぉ!」
「全く、人の話を最後まで聞いてくださいよ。それに警察よりエドさんがそこにいるんですからエドさん呼んだ方が早いでしょ。…まあ、私はそのエドさんに用があって来たんですけどね。」
慌てふためくニシに対して坦々と話す来訪客。その表情からは感情が読み取れず、ますます不気味さを感じる。
「……話を聞いたがこの私に何の用だ。黒づくめ。」
カタンカタンと、金属音を鳴らしながら歩み寄ってきたのは、全身に鎧を纏った世界最強戦士、東の国側近、エドだ。
「エドさんっ…!!」
そして彼女の登場に声を震わせたのは、エドに用があってやって来たという黒装束の来訪客だった。
エドに駆け寄り、その鎧の体を思いっきり抱き締める。
「……誰だ?お前は。」
「もうっ!誰って、私ですよ!!白雪七海ですっ!!」
「なッ!!本当か!お前、背丈が倍ぐらいになってるじゃないか!!」
思わぬ再開に驚いた声をあげるエド。そして頭を撫でられ、とても嬉しそうな表情を見せる白雪七海と名乗った少女。
「まあ、あのときは私も小学生だったし。でも今はもうJKで来年はJDになるんだよ~。」
「じぇいけい?とじぇいでぃい?とは、一体どういう意味だ?」
「うーん、まあ、大人の女性ってとこかな♪」
「ふん、ほざけ。貴様はまだまだ赤子同然だ。」
楽しそうにじゃれあう二人。だが、それに全くついていけないのは二人の関係についてもよく分からず、その場で見ているだけのニシだ。
「楽しそうなところ悪いんやけど、そいつは誰なんや?」
いてもたってもいられず、来訪客を指差しながら、ニシは思わず質問をぶつける。
「ああ、彼女は白雪七海といいます。ニシ様は12年前の世界対戦はご存知ですよね?」
「それくらいは知っとる。一般常識や。」
「すいません。…彼女はその世界対戦の英雄の一人です。」
英雄、と言われ、自慢げな表情を浮かべる白雪七海。だがニシには一つ気になることがあった。
「その世界対戦が12年前やろ?でも七海ちゅーとったか、七海は見たところ14から16くらいやん?そんな赤子が何で英雄なんや?」
「私は今18です、当時は6歳ですね。……まあ、私にはちょっとした特技がありまして。」
「特技?」
「はい、そうです。私は生まれつき………超能力が使えるのです。」
「超能力やって!?」
「はい、それで今回はこの事でエドさんに話があって…。」
「?、どうしたんだ。」
「いや、ちょっとここでは話づらいので……ニシさんは席を外して貰っていいですか。」
「もともと立ち話で席なんか座っとらんけどな。まあ、部屋に戻っとくわ。」
そう言って、自分の部屋へと戻っていくニシ。そしてこの場にはエドと七海の二人だけになった。
「……一応、こちらへ。」
七海は廊下を突き当たりまで歩き、隅々まで回りを確認してから話を始める。
「……今回、私がここにやって来たのは、とある調査についての報告とそれについてエドさんに協力してもらいたいからです。」
「ほう。」
「調査については12年前の世界対戦で私と同じく英雄となったーーーーーが、どうやらこの世界に来ているようなのです。」
「何!?それは本当か!!」
「それでーーーーについて、エドさんに協力してもらいたいのです。」
「ーーーーー」
「ーーー」
「どうや?ちゃんと録音できとるか?」
「はい、恐らく。」
「ふっふっふ。いいこと聞いたわ。」
「(後で大変なことにならなきゃいいけど。)」
その頃アズはふかふかのベットで楽しい夢を見ていました。
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