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54話 星に誓いを
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「ただいまー…っと、誰も居ないか」
「おかえり、相川」
「うおっ…電気つけねぇでなにしてんだ。びっくりするじゃん」
「え、電気つくの?」
「この前から夜はつけてたろ。魔石を幾つか事前に補充してるから普通につくはずだぞ」
それを聞き健太は音楽室の電気を付けにいくと、本当に電気が着いたことに目を輝かせていた。
「おお…!な、なぁこれってどこの電気でも魔石?を補充したら電気つくのか?!」
「あーまぁ見てみないことには分からんができるんじゃないか?大抵の物はできるはずだぞ」
「なら、更衣室も…」
「まぁ、今度見てみるよ。さ、もう日も暮れたし…っと、そうだ。明日はすまんが俺は別行動で良いか?ちょっと農園を見に行きたいんだ。最近あまり行ってなくてな」
「おう…って、農園?そんなのあるのか?」
健太が音楽室の隅に片していた布団を敷いている途中に「農園」という言葉に反応して振り返って再び聞いてきた。
「おう。ガチャから出てきた作物を植えて農園を作ったんだ。今は野菜と果物だけだが、薬草とかも森に生えてはいるが探す手間があるし、高品質のものを作るためにも作っておきたいし、なんなら飼育場とかもいずれは作りたいところだな」
「な、なぁそれ俺も見に行っても良いか?!」
「おうじゃあ明日2人で見に行くか」
「やった!じゃあちょっとあいつらに伝えてくる!」
「おう…って、ちょっと待て。今いくと魔物が彷徨いているから日が昇ってからにしろ」
「あ…そ、そうだな」
「ま、今は飯食って早いこと寝て、そんで明日に備えよう」
「ああ」
2人はそれぞれ夕食を食べたあと、健太は先に布団に入り元々持っていた本を読み始めた。
「いっくん、俺ちょっと屋上に行ってくるから遅かったら先に寝ててくれ」
「ああ、わかった。ちなみになにするんだ?」
「魔法の練習と風呂作れるか試してみる」
「見に行っても?」
「見ててもつまらんぞ」
「魔法の使い方教えてくれ」
「ああ、それもそうか…ただ、それはもう暫くした後にしよう。下手に魔法を始めると鍛錬がそっちにいってしまう。出来れば先に基礎を作り上げたい」
「うーん…まぁ、わかった」
「じゃ、おやすみ」
「おう」
音楽室を非常口から出て屋上へ上がると、俺は星空を見上げた。
「久しく静かな時がなかったが、空は地球と変わりないんだな。たまには魔物にも怯えなくていいこの静かで落ち着いた空気が恋しくなるものだな」
俺は床へ寝そべり、暫く星を眺め続けた。そして、気持ちが落ち着いてくると、自然と涙が零れ、そして身体が震え出す。
今更ではあるが、孤独さと恐怖の実感、そしてもう二度と地球へは戻れないのだという、寂しさによるものだと、直ぐに分かった。
「神様はなんで、俺たちをこんな世界に来させたんだ…俺たちがなにをしたんだ?なにか悪いことでもしたか?誰かは団結し、誰かは無謀な挑戦をし、誰かはわけも分からず孤独に最期を迎える。
善の神が居るならば、なぜお前たちはこの光景を何もせずに傍観しているんだ?お前たちがこのようなことをしなければ、亡くなった奴らも、今精一杯生き延びようと足掻いている奴らも、今も平和に何気ない生活に満足して暮らしていたはずだ。
お前たちの勝手で罪のない奴らが死んでいっているんだ。人を殺して悪と言うならば、神々は全て悪なんじゃないのか?」
悲しみと怒りの混じったその声を空に捧げても、帰ってくるものはなにもない。
彼は起き上がり、決意を空に表明した。
「覚悟しておけ、俺はあいつらを守り、必要ならばお前たちをも滅ぼす。そして、俺の大切な人達を全員、必ず地球へ帰還させる。例えこの世界を滅ぼしてでもそれは叶えさせてもらう。
お前たちが手を出したのは誰かを思い知らせてやる!」
「おかえり、相川」
「うおっ…電気つけねぇでなにしてんだ。びっくりするじゃん」
「え、電気つくの?」
「この前から夜はつけてたろ。魔石を幾つか事前に補充してるから普通につくはずだぞ」
それを聞き健太は音楽室の電気を付けにいくと、本当に電気が着いたことに目を輝かせていた。
「おお…!な、なぁこれってどこの電気でも魔石?を補充したら電気つくのか?!」
「あーまぁ見てみないことには分からんができるんじゃないか?大抵の物はできるはずだぞ」
「なら、更衣室も…」
「まぁ、今度見てみるよ。さ、もう日も暮れたし…っと、そうだ。明日はすまんが俺は別行動で良いか?ちょっと農園を見に行きたいんだ。最近あまり行ってなくてな」
「おう…って、農園?そんなのあるのか?」
健太が音楽室の隅に片していた布団を敷いている途中に「農園」という言葉に反応して振り返って再び聞いてきた。
「おう。ガチャから出てきた作物を植えて農園を作ったんだ。今は野菜と果物だけだが、薬草とかも森に生えてはいるが探す手間があるし、高品質のものを作るためにも作っておきたいし、なんなら飼育場とかもいずれは作りたいところだな」
「な、なぁそれ俺も見に行っても良いか?!」
「おうじゃあ明日2人で見に行くか」
「やった!じゃあちょっとあいつらに伝えてくる!」
「おう…って、ちょっと待て。今いくと魔物が彷徨いているから日が昇ってからにしろ」
「あ…そ、そうだな」
「ま、今は飯食って早いこと寝て、そんで明日に備えよう」
「ああ」
2人はそれぞれ夕食を食べたあと、健太は先に布団に入り元々持っていた本を読み始めた。
「いっくん、俺ちょっと屋上に行ってくるから遅かったら先に寝ててくれ」
「ああ、わかった。ちなみになにするんだ?」
「魔法の練習と風呂作れるか試してみる」
「見に行っても?」
「見ててもつまらんぞ」
「魔法の使い方教えてくれ」
「ああ、それもそうか…ただ、それはもう暫くした後にしよう。下手に魔法を始めると鍛錬がそっちにいってしまう。出来れば先に基礎を作り上げたい」
「うーん…まぁ、わかった」
「じゃ、おやすみ」
「おう」
音楽室を非常口から出て屋上へ上がると、俺は星空を見上げた。
「久しく静かな時がなかったが、空は地球と変わりないんだな。たまには魔物にも怯えなくていいこの静かで落ち着いた空気が恋しくなるものだな」
俺は床へ寝そべり、暫く星を眺め続けた。そして、気持ちが落ち着いてくると、自然と涙が零れ、そして身体が震え出す。
今更ではあるが、孤独さと恐怖の実感、そしてもう二度と地球へは戻れないのだという、寂しさによるものだと、直ぐに分かった。
「神様はなんで、俺たちをこんな世界に来させたんだ…俺たちがなにをしたんだ?なにか悪いことでもしたか?誰かは団結し、誰かは無謀な挑戦をし、誰かはわけも分からず孤独に最期を迎える。
善の神が居るならば、なぜお前たちはこの光景を何もせずに傍観しているんだ?お前たちがこのようなことをしなければ、亡くなった奴らも、今精一杯生き延びようと足掻いている奴らも、今も平和に何気ない生活に満足して暮らしていたはずだ。
お前たちの勝手で罪のない奴らが死んでいっているんだ。人を殺して悪と言うならば、神々は全て悪なんじゃないのか?」
悲しみと怒りの混じったその声を空に捧げても、帰ってくるものはなにもない。
彼は起き上がり、決意を空に表明した。
「覚悟しておけ、俺はあいつらを守り、必要ならばお前たちをも滅ぼす。そして、俺の大切な人達を全員、必ず地球へ帰還させる。例えこの世界を滅ぼしてでもそれは叶えさせてもらう。
お前たちが手を出したのは誰かを思い知らせてやる!」
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