誰にも言えない初恋

山本未来

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大切なキーフォルダ

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「ねぇ、僕の赤ちゃんの時の写真見る?」


僕は棚にあるアルバムを取り出して

玲奈ちゃんのお母さんに渡すと

座って2人でページを一枚ずつめくっていった


「翔くんの赤ちゃんの時って可愛いね~

こんなに小さくて可愛いかったんだね~

可愛い服着せてもらってるね

小学校の入学式の写真も、なんか緊張してるね」



玲奈ちゃんママはくすっと可愛いく笑った


僕は玲奈ちゃんママにべったりくっついて

アルバムを見ながらニコニコしている

垂れた可愛い目をじーと見つめた



すると、部屋の扉が開きお母さんが

入って来た


「翔くん、玲奈ちゃんのお母さんにくっついて

ばかりで玲奈ちゃんのお母さん大変だよ~

ケーキあるからみんなで食べようか?」


「ケーキ食べる!玲奈ちゃんママ

食べに行こう!」僕は玲奈ちゃんママの

手を引っ張り急いで階段を降りた


テーブルには苺のケーキ、モンブラン、

チョコケーキがケーキの箱に入っていて

ビール、チューハイ、日本酒、お菓子、

おつまみが並べてあった



僕は玲奈ちゃんママと同じチョコケーキを

お皿に入れてもらい、お菓子を食べたり

ジュースを飲んだり、みんなでゲームを

したりした



お母さん達はお酒を飲んでいるせいか


とても楽しそうに話している


玲奈ちゃんのお母さんは顔が少し

赤くなっていたけど

赤くてもとても可愛いかった


お母さんはお酒は強い方で

全然顔色は変わらないけど

とても楽しいそうに笑っていた



「私、子供の頃にお母さんが、亡くなって

父親も厳格だったし、人間関係もあまり

上手く行かなくて、結婚してからも

色々あって波乱万丈の人生だったんだ」


普段、本音をあまり言わないお母さんは

玲奈ちゃんママに聞いて欲しかったのか

そんな話しをしだした



「色々あって大変だったんだね

でも沢山の事乗り越えて来たから

翔くんママは強いんだね」


玲奈ちゃんのお母さんは優しい目でお母さんを

見つめてそう言った



お母さんは強くない、外では凛としてるし

背も高くて、僕が言うのも変だけど

美人だから強い印象をみんな持っみたいだけど

本当のお母さんは家では些細な事で

泣いたり、怒ったりするし

人に心も開かない、だからあまり友達もいない



玲奈ちゃんのお母さんは、優しい雰囲気が

漂っていて、誰にでも心開くからか

いつも沢山の友達に囲まれていて

楽しそう、だからきっとお母さんも

玲奈ちゃんのお母さんには心開いていると

思った


時間はあっと言う間に過ぎて、

もう夜中の12時、そろそろ帰らないとって

みんなで片付けを済まして

玄関までみんなを見送りに行った



「今日は来てくれるありがとう。また来てね」

お母さんがそう言うと僕は

「玲奈ちゃんのおうちまで見送りに行って来る」

そう言って玲奈ちゃんママの手をとり

走り出した



玲奈ちゃんの家は、すぐ近くなので

あっと言う間に着くと

「翔くん、今日はありがとうね、凄く

楽しかったよ。あの宝物の貝殻も大切に

するね~」と貝殻を取り出して、僕の目の前

で振ってくれた


「うん。僕もキーフォルダ大切にするね~」

僕は照れながら走って家に帰ると


僕の部屋の机に入れた木箱を取り出して

玲奈ちゃんママからもらったキーフォルダを

見つめて目の前で振って見た

小さな鈴がついていて、リンリンリン

と可愛い音がした



僕の一番の宝物

そしてそれを握りしめて

今日1日の楽しかった出来事を

思い出していた

心の中は、雲の上に乗っているように

ふわふわして優しい気持ちで一杯だった

『楽しかったな~玲奈ちゃんママ

可愛いかったな~』


今日ね夜は、いつもとは違う

優しい風が吹いていた









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