『もしも外来種を日本から一掃したら?』

蜜柑ブタ

文字の大きさ
1 / 1

『もしも外来種を日本から一掃したら?』

しおりを挟む

  あるところに、何でも願いをひとつだけ叶えてくれる神様がいて、その人間は偶然にもその神様に出会いました。
  そしてその人間は、願いを言いました。


 『日本から外来種を一掃してくれ』


  そう言いました。
  そして神様は叶えてくれました。

  海から、山から、川から、大地から、家から……。

  日本のすべてから外来種が消えました。

  翌日、その願いを叶えてもらった人間はテレビを付けました。
  速報ニュースが入っていました。

  飼われていたペットだけじゃなく、日本中、ありとあらゆる動物植物や、農家が育てていた作物、そして家畜が突然消えたと放送していました。

  焦ったその人間は、急いで神様に問いました。
  外来種を消して欲しいと言っただけなのにと、怒りました。
  しかし、神様はとてもとても落ち着いた声と、穏やかな微笑みを浮かべて言いました。



  お米は、どこから来たのか知っているかい?
  中国からやってきたんだよ、っと。

  牛や豚や鶏は、どこから来たのか知っているかい?
  海外から食料にするために連れて来たんだよ、っと。

  農作物や観葉植物は、どこから来たのか知っているかい?
  その多くは、海外から持って来たんだよ、っと。

  肉も魚も野菜も、実は、海外から人間が持ってきたんだよ。
  知らなかったのかい?
  じゃあ、仕方ないね。



  でも、それらは、すべて外来種だろう?
  日本は、輸入してきた外来種で生計を立てていたんだよ。それだけの話じゃないのかい?
  とてもとても落ち着いた声で、穏やかな笑顔をして、神様は言いました。
  消して欲しかったのは、迷惑を掛けている動物や植物だけだと怒りました。
  けれど神様は、君は『外来種を消して欲しい』と言っただけじゃないかと言いました。だから言われたとおり、日本じゃなく海外から連れてこられた動物や植物を消してあげたんだ、っと言いました。
  人間は、元に戻してくれと泣いて必死に懇願しました。
  けれど、神様が叶えられる願いはひとつだけ。それ以上はできませんでした。
  そして二度と叶えた願いは消せませんでした。


  そうして日本人達は必死に生きるために海外から再び輸入動物や植物を輸入しようとしましたが、なぜか輸入するとすべて死んでしまい、腐って消えました。
  日本由来の少ない食料を巡って争いが起きました。
  やがて日本は死の国として恐れられ、誰もいなくなり、『外来種を消して欲しい』と願った人間も、どこからかその願いを叶えてもらったことがバレてしまって誰にも知られることなく殺されて死にましたとさ。



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

思いを込めてあなたに贈る

あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

処理中です...