空想未来戦記 【ジルコン】

蜜柑ブタ

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SS12  空での戦い

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 敏雄は、不機嫌さ丸出しの顔をしていた。
  しかし、ジルコンの外殻に包まれていてその表情は外には出ていない。
 『なんだ~? 俺がいたら不服か、ガキんちょ君。』
  グレー色に緑の外殻を持つ新型ジルコンの姿になっているディアブロが挑発してくるように言ってくる。
  どうやら雰囲気でバレてるらしい。
 『お前、分かりやすいぜ。』
 『うるせえな!』
 『お? やる気か?』
 『ワクワクするね!』
 『ユイリンさん…。』
  ディアブロと喧嘩しかけた敏雄だったが、後ろで暢気に元気にそう言ってる、外殻が真っ白の新型ジルコンの姿のユイリンにガクッとなり、力が抜ける思いがした。
 『なあに?』
 『のほほんとしてんな。』
  ディアブロもユイリンの空気の読めなさには、少し呆れているようだ。
 『頑張ろうね!』
  ユイリンは、そう敏雄に言った。
  なお、チームメイトは、敏雄、ディアブロ、ユイリン以外にもいる。全員で六人なのだが、残り三人はこちらの様子を見ているだけで必要以上に近寄っては来ない。
  そして、レーダーがアンバーの存在をキャッチし、警報音が鳴り響いた。

 『総員! 出撃準備!』

  そう合図がかかり、カタパルトへ。
  そして、一斉に出撃となった。

  ターゲットのアンバーは、空中を飛行していた飛行機を襲っている真っ最中らしい。

  敏雄は、空中戦は初めてだったのでかなり緊張していた。
  現場に急行すると、そこには、大小様々なアンバーが空に浮いた状態で飛行機にまとわりついていた。
 『機内の乗客はまだ無事に生きている! 乗客の安全第一にアンバーを各個撃破を狙え!』
  敏雄はそれを聞いて、余計に緊張した。
  ここは、上空だ。もし飛行機の機体の胴体が壊れれば、中にいる乗客の命はない。
  敏雄がそのことで頭がいっぱいになってる間に、ディアブロと、他三人の新型ジルコンがアンバーに取り付かれた飛行機に迫った。
 『トシオ!』
 『あ、ああ…。』
  横にいたユイリンに話しかけられ、ハッとした敏雄が慌てて追いかけた。
  ディアブロが、飛行機の機体の装甲に足を乗せて、翼にまとわりついているアンバーを抱えて剥がして捨てる。大きさは、大きくても5メートル前後と小型、中型程度だったので苦も無く剥がしていく。
  そのディアブロの手際の良さに遅れてきた敏雄は驚いた。
 『何をやってる! とっとと殺(や)れ!!』
  ディアブロが敏雄に向かって叫んだ。
  敏雄とユイリン以外の新型ジルコンが、剥がされて宙に浮いたアンバー各個撃破していっていた。
  ディアブロが最後の一匹を抱えて、敏雄に向かって投げつけた。
 『うわああああ!』
  敏雄は、ビックリして、思わずそのアンバーを抱きとめた。
 『抱きとめるんじゃない! 蹴るなり殴るなりしろ、ガキんちょ!』
  抱きとめた端からアンバーが敏雄を包み込むように蠢いた。
 『トシオ!』
  ユイリンがアンバーの肉鎧を殴って溶かし、敏雄を救い出した。
 『しっかりして!』
 『ご、ごめん!』
 『謝るのはあと! トドメを!』
 『あ、ああ!』
  敏雄を言われるまま、半分溶解したアンバーの肉鎧にトドメの蹴りを入れ、核を外へ出させて核を掴み、腹の口で喰った。
 『お前らこっち来い!』
 『なんだよ!?』
 『言われなくても分かれ、クソガキ! 飛行機をこのまま飛行場に着陸させるのを手伝え!』
 『あ…。』
  見ると、ディアブロを始めとしたジルコン達に支えられた状態の翼も車輪も溶かされてしまった飛行機があった。もし手を放したら確実に墜落だ。
  慌てて敏雄とユイリンが飛行機に手を貸し、そのまま近くの飛行場の滑走路へ運んで降ろした。
 『おい。』
 『…言われなくても分かりますよ。』
  ディアブロの怒った声に、敏雄が不機嫌に答える。
 『レオナード先輩の訓練を受けてるんだよな?』
 『…ですけど?』
 『クソガキ。お前は、新型ジルコンとか以前に戦う人間としてもダメだぜ。』
 『俺だって…、好きで…。』
 『アンバーに親を殺されて恨みがあるわりにゃ、消極的に見えるがな。本気で恨んでるのか? 親のことなんざもう忘れたか?』
 『なんだと!』
 『やめて! 喧嘩はダメ。』
  喧嘩になりかける二人の間にユイリンが割って入った。
  直後。悲鳴が聞こえた。
  三人がそちらを見ると、着陸した飛行機がアンバーへと変じかけていた。降りるのが後に回っていた乗客の半分がそのアンバーに飲み込まれた。
 『くそ!』
  ディアブロが飛び、そのまま飛び蹴りを飛行機から現れたアンバーに食らわした。
  溶けていく肉鎧から、溶かされかけている乗客が吐き出され滑走路に投げ出されて断末魔の悲鳴を上げている。
 『うぅ!』
  ユイリンがその様子を見て怯えてしまう。
 『ち、くしょう!』
  敏雄は、激情のまま、アンバーに飛びかかり、殴り蹴った。
  アンバーの分厚い肉鎧がどんどん溶けていく。その溶ける速度は、ディアブロが攻撃したよりも圧倒的に速かったため、ディアブロは外殻の中でビックリしていた。
  敏雄は絶叫を上げ、核をつかみ出し、腹の口で喰った。
  ジルコンの探知器と、飛行場に設置されているレーダーの範囲内のアンバーの反応が全て消えた。
  敏雄は、ハーハーっと外殻の中で荒い呼吸を繰り返した。
 『ガキんちょ…、お前…。』
 『取り消せよ……。』
 『は?』
 『さっきの言葉、取り消せ!』
 『……納得いかないな…。』
  ディアブロは、忌々しそうに呟いた。
 『殺すぞ!』
 『トシオ! 落ち着いて!』

  “帰還”

『う、おおおおお!?』
  帰還命令がきたため、シズに機体操作が奪われた敏雄は、情けない声を上げながら飛んでいった。
  残されたディアブロとユイリン、そして他三人のジルコンは、ぽかーんとした。そして遅れて帰還したのだった。

  帰還した後、外殻であるシズと分離した敏雄がディアブロに殴りかかる事件が発生した。
  ユイリンが必死に敏雄を落ち着かせようとし、さらに追い打ちかけて研究所の科学者達や軍人達が幸香の命を盾にしてきたのでそれにキレた敏雄がそっちを攻撃しようとしたため、ディアブロが後ろからジルコン形態で押さえつける事態となった。
  ディアブロが押さえつけていても、素の状態の敏雄の力は強く、手加減していては弾かれそうなほどだった。
  ディアブロは、表情の変わらない外殻の下で舌打ちした。

  ジルコン・プロトタイプとの融合機である、敏雄の方が、圧倒的にジルコンとしての能力が高いのだということを認めるのがイヤだったのだ。


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