Dolphin Blue

★雅也とドルフィン

雅也は０時過ぎに辰巳第一ＰＡに寄り道をしていたのだがドルフィンが通り過ぎて行ったのが視界に入った。

雅也はとっさに運転席に乗り込みドルフィンを追いかけた。

この時の綾乃はバックミラーを覗き込む事なくマフラー音だけで 雅也の８０スープラが後方にいることに気付く。

初めてこの８０スープラと出会った時から綾乃は気には掛けてはいたのだがチューニングがしてある車はマフラー音もそれぞれに個性がある。

それはマフラーにしても社外品を取り付けカスタム、チューニングするからだ。

綾乃はそれなりの車が近づいてくると２回目ともなればマフラー音だけで区別が出来るようになっていた。

自然と綾乃も８０スープラを意識するようにはなっていたのだがお互いに本気モードでバトルがしたいとは思えなかった。

スピードは多少、お互いに出ていたもののバトルという感じではなく雅也がドルフィンの走りを見ていたにすぎなかった。

<一体　あのドライバーは誰なんだ。あの３２　どことなく穂の花を感じてならない。まるで穂の花が蘇ったようだ>

雅也はブツブツと独り言を言いながら複雑な想いが込み上げていた。
ドライバーの顔を見たい気持ちも強いが、その反面、見たくはない気持ちもあった。

雅也は穂の花に惚れていた。過去形ではなく今もずっと・・・

雅也は恋心を抱いていた頃に起こった事故の出来事をけして忘れることはない。