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ファッションショー 女子編
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女子の着替えをしている間、僕らは当然試着室の前に立っている。 少々おかしな人に集団に見えるかもしれないが、女性専門の服を扱っているだけで男性も一緒に入ってくる女性だってザラだ。 なので特に気にされる様子もなく、ただ時が流れるのを待つ。
「なぁ、今更なことを聞いても良いか?」
「奇遇だね。僕も聞きたいことがあったんだ。」
「多分疑問に思ってることはみんな同じだと思う。 だからせーので言ってみる?」
僕の提案に2人は頷く。
「じゃあいくよ・・・せーの」
『勝敗って、誰が決めるの?』
全員同じ質問をして、顔を見合わせる。
「まぁ、その質問になるよね。 普通。」
「だって一人一人コーディネートしちまったら審査員いなくね?」
「どこまで考えて作った企画なのやら。」
坂内君のその一言に、僕たちは唸った。 いくら女子達のコーデをしたところで審査する人がいなければ何も意味がない。 そもそも僕らをコーディネートしたときだってそれは同じことだ。 誰も審査をせずにただただ似合う服を見繕っただけにすぎない。
「なんだか、いいように使われたように感じるのは僕だけかい?」
「というかこれが彼氏彼女、みたいな関係になったとき、こんなことが続くのか?」
「流石にそれはないとは思うけど、ちょっと考えちゃうよね。」
「男子諸君? そろそろ準備出来たわよ?」
僕らがぶつくさ言っている間に濱井さんの声ですぐに見れる体勢に戻る。 まあそんなことをする意味は無いんだけれど、なんだかそんな気がして仕方なかったのだ。
「じゃあまずは先鋒濱井 梨麻から行きまーす!」
ジャッと開けられた試着室のカーテンの向こうにいた濱井さんは袖の短いジャンパーに少し短めのタンクトップを着ているため必然的にへそ出しスタイルになっている。 ホットパンツにルーズソックスと、一昔前のギャルかな? と思わせる服装になっていた。
「明るくて活発なのに加えて、もうすぐ夏だから、夏らしい服装に仕立てあげてみた。 なかなかに似合ってるぜ。」
「ありがとう小舞。 肌を見せるのはまだ恥ずかしいけれど、慣れれば十分に外を歩けそう。」
「むぅ、季節の先取りは視野に入れていなかったな。 僕もまだまだ見立てが甘かったか。」
「そんなことないですよ坂内君。 坂内君が選んできてくれた服も素晴らしいものばかりですよ。」
そう言って江ノ島さんが入っていた試着室のカーテンが開かれる。
まず目に入ったのは彼女の頭に被っている、頭よりも一回り大きい、赤色のベレー帽だった。
そんなベレー帽から下に目線を落とし、白のジャケットに緑のアウター、そしてベレー帽よりも濃い色の赤を基調としたチェック柄のスカート姿というかなり大人なスタイルになっていた。
「おー! これはまた大変身を遂げたなぁ!」
「普段大人しめだからこそ際立つその風貌。 坂内君やるねぇ。」
「僕だって伊達に演劇部で先輩達の衣装を見ているわけではないのでな。」
自慢げにそう言う坂内君。 これは・・・僕のコーデ、大丈夫かな?
「じゃあ最後に館のコーディネートだな。 どっちから見せる?」
「んー・・・じゃあ安見さんから? 安見さん、大丈夫そう?」
「すみません。 今終わりましたので。」
そう言って安見さんの試着室のカーテンが開けられる。
僕の安見さんのコーデは、上は普通の白のシャツなのだが、青色のサスペンダースカートによるシンプルなものにした。 シンプルゆえにあまり着飾らなくてもそのままの安見さんを演出できると思ったからである。 ロングスカートが似合うのは今回の私服で分かったしね。
「ふむふむ。 かなりシンプルに決めてきたね。」
「ですが、須今さんはこうしている方がかなりらしくなっていますわ。」
「ありがとうございます江ノ島さん。 私も気に入っているんです。」
そう言ってもらえてなによりだ。 うんうんと首を縦に振っていると、小舞君から肩を叩かれる。 そしてその後に腕を回らせて、小舞君の方に近づけさせられる。
「シンプル故に分かりやすい。 それを計算でやってたら、お前相当なもの持ってるぜ、ひひひ。」
何を言っているのかさっぱりな僕に、小舞君は指を差す。 そして指差した先を見ると、シンプル故に安見さんのボディラインが強調されている。 しかもサスペンダー部分が胸の部分に乗っているので、それはそれでかなり危うい。
「・・・あっ・・・」
「なんだよ、随分とセンスがあると思ったら。 木の葉を隠すなら森の中ってやつか? 館の意外な性癖が暴露されたか?」
「ちょっ・・・! 小舞君! そんな風な言い方・・・!」
「あの・・・私も・・・良いですか?」
小舞君のニヤニヤ顔で迫られているのをなんとか止めようとしているときに、最後の試着室の方から声がかけられる。 中に入ってるのは円藤さんだから、そろそろ着替え終わったのだろう。
「大丈夫だよ。 円藤さん。」
そう声をかけると今までの人と違い、恐る恐ると言った具合でカーテンが開けられる。
そこにいた円藤さんはレモン色で彩られたワンピースに白のつばが大きいブレードハットをつけさせてもらった。 彼女の身長や顔からしてちょっと幼く見えてしまうかもしれないが、彼女に合うようにコーデしたので、あまり文句を言わないで欲しいところだ。
「きゃー! 可愛い! お人形さんみたい!」
「なるほど。 彼女のコンプレックスを敢えて強調させることによって、彼女「らしさ」を与えたのか。」
「とてもお似合いですよ。 円藤さん。」
みんなから好評をもらって、円藤さんも恥ずかしながらも、みんなに同調している。
「なんというか、ここまで来ると、半分は才能なのではないかと考えてしまいますよ。」
「そんなことはないよ。 彼女に合わせただ・・・け・・・」
隣に現れた安見さんの姿を見ようとして、目線が自・分・が・コ・ー・デ・し・た・せ・い・で・強調されてしまった胸にいってしまって、すぐに「バッ」と顔を逸らしてしまった。
「どうしました? 館君。」
「いやぁ・・・別に・・・」
「今こいつな、自分の犯した過ちに苦悩をしとんねん。」
「過ち?」
「須今がその服を着てしまったがために起きた事象のせいで・・・」
「そこまで言う必要ないじゃないか!」
小舞君が口走る前に僕が止める。 ここでイメージダウンなんかされたらたまったもんじゃないんだ。
そんな会話を他のみんなも聞いてきて、どうやら唐突に僕が叫び始めたように見えたため混乱を極めさせてしまった。 ごめんみんな、そんなつもりは無かったんだよ。
「なぁ、今更なことを聞いても良いか?」
「奇遇だね。僕も聞きたいことがあったんだ。」
「多分疑問に思ってることはみんな同じだと思う。 だからせーので言ってみる?」
僕の提案に2人は頷く。
「じゃあいくよ・・・せーの」
『勝敗って、誰が決めるの?』
全員同じ質問をして、顔を見合わせる。
「まぁ、その質問になるよね。 普通。」
「だって一人一人コーディネートしちまったら審査員いなくね?」
「どこまで考えて作った企画なのやら。」
坂内君のその一言に、僕たちは唸った。 いくら女子達のコーデをしたところで審査する人がいなければ何も意味がない。 そもそも僕らをコーディネートしたときだってそれは同じことだ。 誰も審査をせずにただただ似合う服を見繕っただけにすぎない。
「なんだか、いいように使われたように感じるのは僕だけかい?」
「というかこれが彼氏彼女、みたいな関係になったとき、こんなことが続くのか?」
「流石にそれはないとは思うけど、ちょっと考えちゃうよね。」
「男子諸君? そろそろ準備出来たわよ?」
僕らがぶつくさ言っている間に濱井さんの声ですぐに見れる体勢に戻る。 まあそんなことをする意味は無いんだけれど、なんだかそんな気がして仕方なかったのだ。
「じゃあまずは先鋒濱井 梨麻から行きまーす!」
ジャッと開けられた試着室のカーテンの向こうにいた濱井さんは袖の短いジャンパーに少し短めのタンクトップを着ているため必然的にへそ出しスタイルになっている。 ホットパンツにルーズソックスと、一昔前のギャルかな? と思わせる服装になっていた。
「明るくて活発なのに加えて、もうすぐ夏だから、夏らしい服装に仕立てあげてみた。 なかなかに似合ってるぜ。」
「ありがとう小舞。 肌を見せるのはまだ恥ずかしいけれど、慣れれば十分に外を歩けそう。」
「むぅ、季節の先取りは視野に入れていなかったな。 僕もまだまだ見立てが甘かったか。」
「そんなことないですよ坂内君。 坂内君が選んできてくれた服も素晴らしいものばかりですよ。」
そう言って江ノ島さんが入っていた試着室のカーテンが開かれる。
まず目に入ったのは彼女の頭に被っている、頭よりも一回り大きい、赤色のベレー帽だった。
そんなベレー帽から下に目線を落とし、白のジャケットに緑のアウター、そしてベレー帽よりも濃い色の赤を基調としたチェック柄のスカート姿というかなり大人なスタイルになっていた。
「おー! これはまた大変身を遂げたなぁ!」
「普段大人しめだからこそ際立つその風貌。 坂内君やるねぇ。」
「僕だって伊達に演劇部で先輩達の衣装を見ているわけではないのでな。」
自慢げにそう言う坂内君。 これは・・・僕のコーデ、大丈夫かな?
「じゃあ最後に館のコーディネートだな。 どっちから見せる?」
「んー・・・じゃあ安見さんから? 安見さん、大丈夫そう?」
「すみません。 今終わりましたので。」
そう言って安見さんの試着室のカーテンが開けられる。
僕の安見さんのコーデは、上は普通の白のシャツなのだが、青色のサスペンダースカートによるシンプルなものにした。 シンプルゆえにあまり着飾らなくてもそのままの安見さんを演出できると思ったからである。 ロングスカートが似合うのは今回の私服で分かったしね。
「ふむふむ。 かなりシンプルに決めてきたね。」
「ですが、須今さんはこうしている方がかなりらしくなっていますわ。」
「ありがとうございます江ノ島さん。 私も気に入っているんです。」
そう言ってもらえてなによりだ。 うんうんと首を縦に振っていると、小舞君から肩を叩かれる。 そしてその後に腕を回らせて、小舞君の方に近づけさせられる。
「シンプル故に分かりやすい。 それを計算でやってたら、お前相当なもの持ってるぜ、ひひひ。」
何を言っているのかさっぱりな僕に、小舞君は指を差す。 そして指差した先を見ると、シンプル故に安見さんのボディラインが強調されている。 しかもサスペンダー部分が胸の部分に乗っているので、それはそれでかなり危うい。
「・・・あっ・・・」
「なんだよ、随分とセンスがあると思ったら。 木の葉を隠すなら森の中ってやつか? 館の意外な性癖が暴露されたか?」
「ちょっ・・・! 小舞君! そんな風な言い方・・・!」
「あの・・・私も・・・良いですか?」
小舞君のニヤニヤ顔で迫られているのをなんとか止めようとしているときに、最後の試着室の方から声がかけられる。 中に入ってるのは円藤さんだから、そろそろ着替え終わったのだろう。
「大丈夫だよ。 円藤さん。」
そう声をかけると今までの人と違い、恐る恐ると言った具合でカーテンが開けられる。
そこにいた円藤さんはレモン色で彩られたワンピースに白のつばが大きいブレードハットをつけさせてもらった。 彼女の身長や顔からしてちょっと幼く見えてしまうかもしれないが、彼女に合うようにコーデしたので、あまり文句を言わないで欲しいところだ。
「きゃー! 可愛い! お人形さんみたい!」
「なるほど。 彼女のコンプレックスを敢えて強調させることによって、彼女「らしさ」を与えたのか。」
「とてもお似合いですよ。 円藤さん。」
みんなから好評をもらって、円藤さんも恥ずかしながらも、みんなに同調している。
「なんというか、ここまで来ると、半分は才能なのではないかと考えてしまいますよ。」
「そんなことはないよ。 彼女に合わせただ・・・け・・・」
隣に現れた安見さんの姿を見ようとして、目線が自・分・が・コ・ー・デ・し・た・せ・い・で・強調されてしまった胸にいってしまって、すぐに「バッ」と顔を逸らしてしまった。
「どうしました? 館君。」
「いやぁ・・・別に・・・」
「今こいつな、自分の犯した過ちに苦悩をしとんねん。」
「過ち?」
「須今がその服を着てしまったがために起きた事象のせいで・・・」
「そこまで言う必要ないじゃないか!」
小舞君が口走る前に僕が止める。 ここでイメージダウンなんかされたらたまったもんじゃないんだ。
そんな会話を他のみんなも聞いてきて、どうやら唐突に僕が叫び始めたように見えたため混乱を極めさせてしまった。 ごめんみんな、そんなつもりは無かったんだよ。
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