【完結】悪役令息に転生した社畜は物語を変えたい。

亜依流.@.@

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《187》聖徒の神

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ふとデリックを思い出す。彼は聖徒の力を使いこなしていた。

デリックは、既に神の意思に操られているのかもしれない。
とすると、反乱の首謀者になり皇帝を殺したのは、彼の意思では無いという事になる。


(デリックが、自我を失った状態にあるなら·····)


蘇ったのは、ある日の炎天下。
剣練部の休憩時間毎に、水を汲んできてくれた。
出会えたことを大袈裟なくらい喜んで、幸せだと涙を流していた。
デリックは、少し変わっているけれど、素直で優しい青年。そう希望を抱かずにはいられなかった。

彼も、ノワにとっては一人の友人だったからだ。


「デリックは·····」


「ああ、彼には神の御心が宿ることはありませんよ。女神の意思を宿すことが出来るのは聖力の多いノワ様にのみ可能です」


彼を心から恨まずに済む。そんな期待は、呆気なく裏切られた。


「ノワ様の聖力は桁違いです」


後半から、ルイセの言葉は耳に入ってこなかった。


(デリックの目的は、何だ?)



『やっと、2人きりになれましたね』

『あなたの事で頭がいっぱいな方ですから』



彼らの言葉が、脳内で反芻する。
デリックは、なぜか自分に執着している。
確信はないが、ルイセの警告を逆手にとることが出来るかもしれない。

───そう、自分の本来のキャラクターは、根っからの悪役令息だ。
利益のためなら、どんな姑息な真似も厭わない。トカゲのように色を変え、相手の弱みに付け込んで、懐に入り込もうとする。


(デリックに取り入って、隙を見て逃げ出そう)


国を救う鍵は、自分が持っている。
この国も、大切な人も、必ず取り戻す。

ノワは固く決意した。


例え、デリックを殺すことになったとしても。



















時計の針は、午前二時をまわった。

城はしんと静まり返っている。
廊下には、5メートル単位に見張りの騎士が立っていた。

彼らを通り過ぎ、デリックは一つの扉の前で立ち止まる。

この中に、ノワがいる。
いつでも手の届く場所に、彼がいる。
口角は知らず知らず持ち上げられた。

計画の全ては、ノワを手に入れるためだ。

彼を思う時のみ、胸は鼓動を感じ、身体には熱がみなぎる。
叶うはずがなかった。触れる事さえ奇跡のように、崇高な存在だった。

しかし、彼が誰かを想っていることを知ってしまった。
そんなことはあってはいけなかったのだ。

だって彼は、神そのものだから。

彼は、この自分の神だ。
そして───本当は出会ったころから抱えていた欲望を、穢れていると押し殺していた。

もう決めたのだ。
誰かに取られてしまうなら、誰の手にも渡らないよう、閉じ込めてしまおうと。









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