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《311》
押しつぶされてしまいそうな恐怖心が芽生えた頃、片手を握られる。
長い指が指の間に絡みつく。
「ンン·····はふっ·····」
ノワはだんだんと落ち着いていった。
不安が消え去ると、交代するように、猥りがましい感情が尻尾を出しはじめた。
「んぅん」
掠れた吐息が、逆立った肌を愛撫する。
「·····あ·····っ」
尾骶骨の辺りに固いものが当たった。
ノワはおずおずと斜め後ろを振り返る。
スラックスを突き破りそうなほど育った棍棒があった。
それが、ぐりぐりと押し付けられる。
初めての現象ではない。
こうして慰みを施している時、いつからかイアードの性器が腫れ上がっていることに気づいた。
初めて知った時は恐ろしかったが、彼はノワを抱こうとはしなかった。
やっぱり、女じゃないから、そういう考えにすら及ばないのだろうか。
その時は安堵したのとともに、胸に僅かな軋みを感じていた。
「ん、·····んっ」
今ではもう、そんなことはどうでもいい。
自分を助けて命を落とした彼が生きている。
自分は聖徒として、彼のパートナーとして、尽力を尽くしたい。
多くを望むつもりは無い。
これで良いんだ。
ちゅ、ちゅ、と、甘い音を立て、頬から首筋、鎖骨へと舐めるようなキスを落とされる。
まるで、愛されているみたいに錯覚する。
「·····はぁ·····っ·····ぁ·····」
スリーパーを剥かれ、大きな手が、下着の上から尻を撫でる。
ノワは振り返り、彼と向かい合った。
目の前には広い胸元しか見えなくなる。抱き締められているみたいで、安心する。
シャツから覗いたしなやかな身体に、ドキリと鼓動が跳ねた。
彼の舌がノワの唇を舐める。
何度かなめとられているうち、知らず知らず口が緩んでいった。
温もりが離れそうになる。
ノワは無意識にイアードを追って、舌を突き出した。
「はぁ·····はぅ·····っ」
唇の端から唾液がこぼれ落ちる。
動きを止めた赤い瞳が、じっとりとこちらを見下ろしていた。
(口の中にも、欲しい)
「イアード·····」
ノワはだらしなく舌をあらわにしたまま、呟いた。
やがて、尖った顔がゆっくりと顔を傾けて、願い通り唇を塞ぐ。
「ん·····ぅ·····♡」
ノワは相手のシャツにしがみつき、必死に舌を絡め返した。
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