37 / 71
(37)
「気に入らないことがあるなら、いくらでも改善する。だから、やり直そう」
木陰の下に立ち止まった翔は、口を開くなりそう言った。
優介は、無意識に半開きになった口を閉じる。
あれだけ酷い態度をとったのに、翔はまだ自分と付き合っていたいという。
「好きじゃなくなりました」
突き放すために、嘘を付いた。
本当は、初めの頃よりずっと翔のことが好きになっていた。
けれど、想い人が二人もいるなんておかしい。恋人がいるのに、司のことも好きになってしまった。
自分は最低な奴で、翔と付き合う資格なんてない。
「·····好きじゃ、なくなった?」
翔が、優介の言葉を反復する。
ホームルームの予鈴が、沈黙を壊す。優介は翔の横をすり抜けようとした。
行先は、長い腕にさえぎられた。
「これからはただのペア関係になるわけだ」
「は、はい·····」
受け入れてくれた。優介は多少の寂しさを感じながらも、安堵のため息をついた。
「それなら、もう甘やかす必要も無いね」
「?」
「ペアとして俺の命令に従ってもらうよ。耐えられないなら、いつでもペアを解除しよう」
ペア関係は、お互いが同意すれば解除することが可能だ。
しかし、ペアを途中解除した生徒は規則として百万円の罰金を支払う義務が発生する。
優介の家は決して裕福とは言えない。規則違反ごときで五百万円など払えるわけが無かった。
つまりペアの解除など、優介には鼻から不可能だ。
さっさと歩き去る翔の背中が冷たい。
嫌われてしまった。
(自業自得だ)
解除しようと言われないだけマシな方だ。せめて、ペアとしての責務は全うしよう。
どんなに辛いことでも構わない。
(だって·····)
優介は、翔が去っていった道を眺め、唇を引き結んだ。
あなたにおすすめの小説
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?