【完結】僕らの関係─好きな人がいるのに、学園の問題児に目をつけられて─

亜依流.@.@

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《番外》①-1

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山下隆広はプリントに赤を入れる手を止めた。
机上にあるのは、ある生徒の答案用紙だ。

常に冷静を保っている山下だが、この時テスト期間ばかりは、毎回期待を裏切って──いや、むしろ裏切らずに見事な赤点をとる生徒のお陰で頭を抱えさせられる。

今年で30歳、教師生活も8年が経とうとしているが、進学校でここまで成績について悩まされる生徒は、後にも先にもこの生徒だけだろう。未だに山下の中で優介がなぜこの学校に入学できたのかという疑問は解決されていない。

1問1問採点していくと、間違えているのは補習で何度も解かせた問題。
見事な間違えっぷりだ。今までの特訓の日々は幻覚だったのではないかとさえ思える。

つい昨日も「先生、俺やっと数学とわかりあえた!」と仔犬のようにきゃんきゃん飛び回っていた阿呆を、遠い目で思い返す。
 
いや、全くわかりあえていない。会話をするどころか同じテーブルにもつけていないではないか。
明日のテスト返却で不安げにこちらを覗き込んでくる例の生徒が安易に想像できて、山下はため息をついたのだった。







「うぇ·····」


出席番号一番、入谷優介は、テスト返却で案の定顔を苦渋にゆがめた。


「放課後に多目的室で補習をするから来なさい」


山下の言葉に項垂れる彼だが、それはこちらがしてみたいくらいだ。


「wwwww」


「こんだけ補習に呼ばれるとか…もう、先生に嫌われてるとしか思えねーなww」

「先生こんなにお馬鹿な生徒持って大変ですね」


仲の良いクラスメイト2人にいじられ、優介の頬はたちまち真っ赤にふくれあがる。

まるで林檎のようである。眺めていると、緑の濃くなった優介の視線がキッとこちらを睨みつけた。


「せ、先生は俺の事嫌いじゃない!」






バカ呼ばわりされたことはどうでもいいのだろうか。
どこが抜けている優介は、「絶対に嫌いじゃない」と断言する。それは俺にしか分からないと思うが。


「じゃあ、先生に好かれてると思えば?ww」


「先生、こんなに馬鹿で阿呆でどうしようもない馬鹿な優介のこと好きっすか?」


「だ、大輝!」


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