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二章
re.《420》爆弾
しおりを挟む「ゃ·····なんで·····ッ」
「まだ·····」
こちらを気にするふうもなく、淫らな食事は続行される。
ジュルジュルすすられる音を股で感じながら甲斐性もなく達する。まるで、蜜を吸われる花になった気分だ。
気がつけば、意識は彼方へ流されていた。
「なんでダメなの?」
本日何度目かの同じセリフ。
ミチルは思わず頭を抱え込んだ。
あんなことをしたせいで、まだ日が明るいうちからお風呂に入って、さて説教を始めようとしたらこれだ。
彼が母親に望む愛情と現在のやり方は、きっと逸脱してる。
こんなの正しいやり方じゃない。そう、それを何度も説明しているのに、当の本人はちょっと不満そうに聞き返してくる。
「そんなことよりミーちゃんとぎゅーしたい」
「ニャ」
素足に触れてきた手から慌てて逃げる。
そうしたら、湖に溶けるようなローゼが視線で責めてくる。艶やかな美男子だが、やってることはとんでもない。
(自分のせいだ)
ずっと放置してたから、彼には分からないのだ。
アレがおかしいことも。
アンナコトを母親に要求することも。そして、欲情することも。
「でも、ミーちゃんのことが好きなんだもん」
ずっとそう言ってる、と、開き直る始末である。
「もっとミーちゃんのこと欲しい」
「ダメ」
かたむいてきた美形からも逃げて、結局ベットの端まで逃げる。
こんな攻防戦が1時間は続いただろうか。
「ダメ?」
ややあってからルビーが呟いた。
「それなら、僕ミーちゃんがいないと、何も出来ない」
いつもニコニコしてる彼にしては珍しく、不貞腐れた声色だ。
「ママがいないと死んじゃうよ」
「な·····」
元も子もないセリフは、間違いなくその通りなのだ。
もう何からどうしたら良いものか。
ただの子供が拗ねて言った言葉にしては重すぎる事実だから、沈黙が訪れる。
「!!」
甘えるようにまた擦り寄ってくるのを、どこか罰が悪くなりながら受け入れてしまう。あざといんだ。
抱きしめられるかと思ったら、彼はそのまま体を倒してきて、こちらの肩にトンと額をおいた。
髪の毛がくすぐったい。
輝く桜色の絹糸をぼうっと見ていたら、体は大きいのに、心許なく思える。
「撫でて」
ねだられるままそっと梳いてみる。
見た目より驚愕の触り心地だ。
(ちょっと、可愛い)
不覚にもそんなことを思いながら、解れ落ちた髪を耳にかけてやる。
違和感、とは違う。
あの路地裏で初めて会った時から、感じてる。
大人びた表情や、優雅な貴公子に見える外面や、恐ろしい陰謀を持った冷徹さが覗く度。
そして不安げに揺れる硝子玉に、影が落ちる時。彼が意味深に唇をなぞった瞬間も。
こんなに愛嬌たっぷりに甘えてくるのに───ずっと何か、妖しくて、危険な───それこそ爆発寸前の爆弾を相手にしている気分になる。
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