鈴芭

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はじまりはじまり。前編

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はじまりは、一瞬だった。


お昼休みに彼を見つけて
一目惚れだった。

名前も知らない男の子に恋をした。




「おはよー美羽ー
  友だちと登校してるとこ目撃!!
  あの子はマジで天使だよぉ」

「あ、はよー。あー、前に言ってた人?」

「そーそー!美羽はどう思う?」

「どうって...別になんとも...」

波留は必死に熱弁するが
美羽にはあっさりスルーされてしまう。

そこにクラス1の美女と言われる、
凪沙たちのグループが寄ってきた。
あまりしゃべらないし波留はニガテだ。

「はーるーちゃん!おっはよぉ~。
  その男の子の名前は?何年何組?」

「わっ、凪沙ちゃん...おっおはよう。
  あ、さっき話してた男の子の名前は知らないけど、
  1年生だと思うよ、ネクタイの色が赤だったし...
  それに、1-Cからでてくるの見たよ。」

波留の通っている花の宮高校は
ネクタイが、1年は赤、2年は青、3年は緑
といって、色分けされている。

「えー!そんなに見てるのに名前も知らないの~?」

「うっうん...話したことないし...」

「ふーん。それじゃぁね」

「あっ、うん......」

凪沙たちは鼻で笑うように去っていった。

「あぁゆうタイプって敵多いだろうねぇ私嫌いだし。」

「えっ言っちゃう?」

波留はそう言いながらも
美羽の意見がもっともだと思った。



後で渚から聞いたこと
彼の名前は   風間 雪音
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