最強の商人〜脳筋商人とゆかいな仲間たち

パブロフ

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37話

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エウスの果てしない魔法チートの鱗片を垣間見た一行は、ただ今ダンジョン仮設村に向けて高速移動していた。

その移動方法はエウスとローラは透明な風の球体に包まれ、アポロは球体から伸びた縄を引きながら人とは思えないスピードで森の木々の上を跳躍している。

「酒の席で聞いてはいたが、アポロの脚力は人間離れしているな!」

「エウスさんの魔法もすごいですね。二人を引っ張っているはずなのに、まるで重さを感じません。これならもう少しスピード上げても大丈夫ですね」

透明な球体の正体は、エウスの風魔法の一種で、対象物の重さを軽減する効果を持つ。

エウス曰く、空気中の漂う魔力を弄るだけで使えるらしいのだが、彼の恩恵があって初めて成せるものだろう。

「まぁ移動スピードを上げるのには賛成だけど、仮設村の近くに着いたらまた歩くわよ」

二人の男が疑問符を頭に浮かべ出すと、ローラはため息交じりに言葉を続ける。

「村の中で変な噂が立ったらまずいでしょ?商売や演奏時に変な目で見られるわよ?」

「確かにお客さんに恐れられたら、商売どころじゃないですね」

「確かに俺の未来のファン達に逃げられるのは困るな…」

二人は数度頷き納得していると、遠くに仮設村が見えてきた。

夕暮れ前にもかかわらず村は狼煙のような煙が立ち上り、鐘の音が断続的なっているのが聞こえる。

「仮設村がモンスターに襲われてる!」

アポロの走るスピードが段々と上がっていく。

「闇系の魔力が蔓延しているな…仮設村はこんなにデンジャラスなところなのか?」

エウスは目を細め、独自の意見を述べた。

「そんな訳ないでしょ!アポロ状況教えて!」

「えぇ…どうやらダンジョンの方から、アンデッド系のモンスターが溢れてるみたいです。
村の人達も応戦してますが、状況はかなりマズイかも、すでに村の中にもモンスターが入ってきてるみたいです。早く助けないと!」

いつもコロコロ変わる幼さを残した青年の顔は次第に無表情になり、ルビーのような真っ赤な目が爛々と輝いている。

このままではアポロが先走り単独で村に突撃する勢いであった。

「エウス。昨日みたいにガラス玉で離れたところからでも声は送れるかしら?」

「あぁ可能だ。所でどうやって村のモンスターを駆逐するんだ?」

ローラは以前訪れた時の村の地形を思い出しながら頭をフル回転させる。

彼女が受けたことのある依頼は、難易度の低いものである。事前に充分な準備を行えば安全に遂行できた。

しかし、今回の敵はアンデッドの大群、一人ではとても相手にすることはできない。

当然、事前の情報も少なく、戦闘の準備もしていない。

自分一人ではとても手に余る。本当ならばセントクロスに戻り報告してギルド総出で対処するのが正解だろう。

しかし、そんなことをしていたら村の人々は虐殺され、被害は更に広がるだろう。

そして幸いなことに今回は規格外の戦闘能力を持つアポロと優秀であろう魔法使いのエウスがいる。

作戦次第では村の人々を助けられるかもしれない。

ローラは焦る気持ちを抑え込み。男二人に作戦を伝え始めた。

「では、私はローラさん達を招き猫の仮設村店におろして、村に入り込んだモンスターを駆逐します」

「で俺は街のみんなに村の中央に逃げる様に指示すればいいんだな!」

「そうよ。第二段階は村人と一緒に足跡の防衛ラインを構築するわ。その間アポロは悪いけどモンスターを遊撃してね」

「「了解!!」」

3人の初の共同作業は、村を蹂躙しようとするアンデッドの大群との、大規模戦闘になるのであった。
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