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1章

18話

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肉体派ネイガー村長に一郎とレウスは、早速エルフの砦跡の改築とリザードマンの集落の受け入れについて相談する。

一郎はネイガー村長に受け入れした時のデメリットとそれを上回るメリットがあることを丁寧に伝える。

デメリットは急激な村民の増加によって食料の消費が多くなること以前いた村の住民と摩擦が起こる可能性があること。

メリットとして村民の増加により生産性と防衛の負担が少なくことなどだ。

ネイガー村長は住処と初期の食料は援助するが、村にある食料の備蓄は決して多くない為、基本自力で生計を立てることを条件にあげた。

難民の受け入れではなく、能力のある種族の受け入れなら歓迎するとのことであった。

レウスは力強く答える。

「我々は元々戦闘狩猟種族です。豊富な水がある場所ならモンスターに遅れは取りません。必ずしやリバーウッド村に貢献できるでしょう」

「ならばよし!早々に移住してくるが良い。砦のことは一郎に全て任せているからから後は頼んだ」

ネイガー村長の即断即決は素晴らしいが、さりげなく改築の件はこっちに全投げしてきた。

「わかりました。レウスさんの集落はこの村から片道1週間ほどかかるそうなので、2週間で移住先の砦の改装を間に合わせたいと思います。
土木建築関係に優れた村人を紹介していただけませんか?改築の相談を専門家にしたいのです」

「うむ、それならばこの村基礎を作った大工の棟梁「フィート」を紹介する。ついて来い」

早速一同は棟梁のところに向かう。

10分ほどで大工の作業場についた。

村の規模を考えると大分大きい建物で、様々な材木が壁一面に立てかけられている。

そして磨き上げられた無数の工具が机の上にきれいに並んでいる。

一流の職人は仕事道具を自分の命の次に大切にすると聞いた事がある。

ここの工具を見て棟梁の腕は確かなのは間違いない。

この村の基礎を作る腕前、是非とも協力して欲しいものである。

作業場の奥から姿を表したフィートはいかにも職人といった姿で成人のヒューマンよりもだいぶ身長が低かった。

一郎は棟梁に鑑定をかけると次のように出た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
氏名 フィート
種族 ドワーフ
状態 健康
LV 10
HP300
MP100
スキル 木材加工(上級) 細工(上級) 斧術(中級)
魔法 土魔法(初級)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキルから傭兵でもやっていけそうな能力ながらしっかりと職人としての腕前がそのままスキルに反映されているようだ。

一郎は砦の改装を相談して2週間で工事ができるか相談した。

フィートに渋い顔をして答える。

「改装の案及び施工方法は概ね問題ない。しかし、それらに使う木材の確保と基礎工事に時間がかる。村の職人はわし入れて5人しかいない・・・基礎工事だけでも2ヶ月ほどかかるぞ」

レウスの集落は今存続の危機であり移動が遅れれば遅れるほど危機的状況に陥る。

一刻も早い対応が求められる。

やはり労働力が少ないと規模の大きいことが進まない・・・早くも暗礁に乗り上げかと思われた。

一同の重い空気を打ち破ったのは、遊び相手欲しさに集まって来た子供達の一言であった。

「一郎~またあのでっかいガイコツで高い高いして!!」

どうやら子ども達にとってブラックスケルトンは兵器ではなくアトラクションの認識のようだった。

「はいはい今大事な仕事の話ししてるからまた後でね・・・?
ガイコツ?棟梁ちなみに単純作業なら私のスケルトン200体で四六時中休みなく働けますがその場合基礎工事期間どうなりますか?」

「「「それだ!!」」」

暗礁に乗り上げかけた改装案は子供達の一言で一気に解決に進んだ。

一郎のスケルトンは細かい作業は出来ないが木材を数人で運ぶことはできる。
ブラックスケルトン動きは遅いが力があるので考え方次第では次第でちょっとした重機になる。

しかも棟梁とPTを組めば遠隔式の能力を使って遠くにいても連絡とれるのだ。

極めてつけにスケルトンはに疲労も愚痴も言わず黙々と作業を行うことができる。

今まで戦力としてしか考えていなかった一郎には目からウロコの落ちる発想であった。

マジックバッグから入っていた串焼きを子供達に渡し頭を撫でる。

そしてブラックスケルトンを使役して遊んであげた。

翌日からスケルトンエンドレス工事を始める一郎であった。

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