心の部屋。

ペテン師

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朝。

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 目から溢れる液体を。
 これで何度目かと数えた夜。
 あぁ、また朝が来る。
 逃げないと。
 光りの届かない何処かへ。
 闇に覆われ、何も見えなくていい。
 ただ、この溢れる液体の温もりと。
 ただ、この心を蝕む悲しみだけ。
 それだけ小さなポケットに詰めて、はやく逃げよう。
 さぁ、冷たい朝が来る。
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