世界樹の管理人～なぜ彼は異世界でモテるのか？～（仮）

冒険は準備がめんどくせぇ

４．ピンクブタの相手はめんどくせぇ

両手で顔を覆ったがそれだけでは強烈な光から目を守り切ることなどできずあまりに強い光にオレは耐え切れずに転げ回りながら「目がぁ！目がぁ！」と叫んでしまった。

今ならム○カさんの気持ちが良く分かる。

これは堪らん、叫び声を上げるのも頷ける。

なんなんだ！なんなんだ！！

あの強烈な光は！

ああもう、こんなアスファルトの上で転げ回ってしまったらもうスーツはボロボロでになって使えないだろうな。

はぁ、めんどくさいけど明日の仕事に来ていく新しいスーツをこれから買いに行かないとまた家に帰るのが遅くなるな。

それにしてもおかしいなアスファルトの上で寝転がっているのにゴツゴツしてないし熱も感じないような・・・。

ちょっと目の痛みが落ち着いたところで蹲ったまま薄っすら目をあけて周りの景色に見回してみると。

目の前には映画にでもでてきそうな大草原というさっきまでとかけ離れた光景があたりに広がっていたのだ。

「は？え？ん？はぁ！！？」と声にならない叫び声をあげながらガバッと全身をバネにして飛び起きた。

駅前の構想ビル郡やの信号待ちをしていた車、せわしく歩く人々、猛スピードで通り過ぎる自転車、そしてあの禿げたおっさんもすべて消えて、周りには一面の大草原が広がっていた。

前方の少し離れたところというか比較対象がないから実際には何キロも離れているかもしれないがとにかくいくつかエアーズロックにでもありそうなゴツゴツした岩が転がっている。

右手側に目を向けるとには現在も激しく活動しているのか黒い噴煙をモクモクと上空いっぱいに広げている火山がそびえ立ち、熱に強い生態なのか普通は生物が近づかないような火口付近には多くの鳥が飛んでいるようだ。

ただもしあれが本当に鳥なら全長がとんでもないことになるが今は自分に危険が及ぶわけでもないので気にしないをことにする。

反対の左手にはオレは行ったことはないが富士の樹海のような森が広がっておりここから見える木々だけでも屋久杉のようにとてつもなく大きいことが分かる。

そんな巨大な木々が生えている森から姿は見えないが聞いたこともないような動物の鳴き声がここまで届いて来る。

火山と同じように森にも通常とは異なる生物がいる可能性が高い。

通常と異なる木々が生えているのだから当たり前かもしれないが。

そして後方にはここから火山よりはるかに遠く離れているはずなのに見上げるほど高い山脈が広がっている。

少なくともオレは今までこんな光景をＣＧ映画くらいでしか見た来ない。

「夢を見てるのか？」

あの強烈な光によって倒れたオレは現在夢を見ているのか？

頬を抓ってみる。

痛い上に全く夢から覚める気配がない。

フヨフヨ。目の前に何かが浮いている。

「う～ん？幻覚か？」

光の発光パターンによって脳が刺激されて幻覚を視ているのかもしれない。

自分の名前、年、出身地、素数、などいろんな事を考えてみるが得に意識の混濁等は無いかな？

自己診断だけどさ。

フヨフヨ。

目の前を右から左に何かが通り過ぎる。

「う～ん、変な薬はやってないし、呼吸も苦しくないから脳内ホルモン系でもないかな～？」

今のオレが持っている知識ではこれが現実ではないと決定できるものはない。

フヨフヨ。

目の前を左から右に何かが通り過ぎる。

ええ、分かってます。

目の前に薄っすらとピンク色で手乗りサイズのブタ？が頑張って羽を羽ばたかせて飛んでいるの。

雰囲気は坊ネ○ミみたいだけど、世間一般では可愛いのだろうけどオレ動物苦手だ。

それに今は現状を把握するのが重要でなによりオレがコイツの相手をするのがめんどうだから無視で！

そんなことを思いながら現状の変化について考えを巡らしていると。

フヨフヨ浮いていたピンクのブタが「ブヒブヒ！！」（無視してんじゃねえ！）と叫びながらスピードを上げてこっちに向かって突っ込んで来た。

「ん！あぶない！」

反射的に頭を振ってピンクブタの突進をヒョイと避けれた！

「ブヒ！」（避けんなよ！）

ブタが振り返って鳴く。

「避けるに決まってるだろ！ん？？なんでブタの言ってることがオレは分かるんだ？ブヒとしか鳴いてないし聞こえないぞ？」

「ブヒ！ブヒブヒ！」（ブタじゃぁねぇ！オレは主の使い魔だから意思疎通ができんだよ！）

「ブタと意思疎通って・・・、もしかしてオレ意思がお前に筒抜けってことかよ！オレのプライバシーを侵害するなのなら今すぐ止めろ！」

「ブヒ。ブヒブヒ！」（意思疎通だから心が読めるわけじゃないぞ。ただこっちが伝えたいことが伝わるだけだ。それとさっきからブタじゃねえって何度も言ってんだろ！）

また突撃してきたので今度は余裕をもって右手をブタの頭に当てて突進を阻止した。

「う～ん、それならいっか？それとお前はどこからどう見てもピンクのブタだろ？」

めいんどうくさいブタに出会ったものだ。